Written by 山羊
 
 

【第一日(7月9日)】

新潟港から小樽行きのフェリーに乗る。 
 
「あざれあ」総トン数 20,554トン

        旅客定員 926名

      航海速力 22.7ノット

トラック 186台、乗用車 80台積載可能。

カミさんはターミナル3階から歩いて乗船。

わたしは斜度10度ほどの桟橋を愛車を駆って。

一等船室をリザーブ、5000円ほど割高だがツィンベッド、トイレ・浴室つき。

小樽まで18時間足らずの船旅。                                                    
 

 
                                                                                         

秋田県沖辺でのサンセット。

最上段のデッキに出てシャッターチャンスを狙ったが、少し早かったみたい。なにせ凄い風、

波しぶきで、髪の毛はバサバサ、粘々。

船内へ降りていくと、左舷のロビーは満席。

立ち見する人も多数。

すぐ大浴場へ飛んでいく。

 

【第二日(7月10日)】 

早朝4時50分に小樽港に接岸。

何度か見た風景だが、旅情を感じる。

観光客の姿も皆無。

川縁の街灯はガス燈とのこと。

石造りの倉庫群は夜になるとライトアップ

されるという。

 

ひたすら、海―日本海を左に見て北上す

ることに。一時間ほど走ったら、石狩川

にさしかかる。標識を見て河口の公園に

向う。

渡りをする鳥たちの休息地で、観察のた

めの展望台があった。
 
 

                                            

以前来たときは未開通だった海岸線も、

いまはすっかり整備され快適に走れる。

留萌は夏祭りの最中。

家々の玄関口には、いろいろ飾りがして

あったが、砂浜に引き上げられている

沿岸漁民の小船も満艦飾だった。

ついこないだ遭難のニュースを聞いたと

き、この船でないことを祈っていた。

 
 

留萌を過ぎるといよいよオロロン街道。

途中、天売島行きの乗船場の案内看板を

見かけた。その近くに大きなオロロン鳥

の広告塔があった。

 

果てしなく続く道。左はひたすら日本海。

一般道だが、大抵の車は時速100キロ以上で走っている。

 

今日の目的地、稚内まであと50キロ

くらいの地点で、右に直角に折れ、10

キロほど入ったところにサロベツ原野が

ある。

花盛りだと思ってたのに、わずかにキスゲだけが咲いていた。

いわく、熊笹が侵入してきて可憐な花たちを追いやってしまったのだと。

中央の建物は案内所。

観光バスも次から次とやってくる。
 

ノシャップ岬に立ち寄る。

車から出るとひんやり。いつのまにか気温

は14℃に下がっている。何か羽織らないと

寒く感じる。空も曇ってきた。

 

ノシャップから宗谷岬までは25キロ

ほどある。

到達することに意義を感じて、曇り空

の下を睡魔と闘いながら車を駆る。

 

30分ほどまどろんだらしい。

カミさんはその間に、日本最北端の店で、

仕事でイギリスにいってる娘との約束を果たしてきたらしい。それは、17日

に彼女の自宅へ生ウニを届ける、という

依頼。2つぶ(送料込み)で、四千なにがしだったとか。

 
 

投宿予定のホテルを探すのにウロウロ。

この最果ての駅のすぐ近くにあった。

カミさんは全日空ホテルのキャンセル待ちを

しきりに申し入れていたらしいのだが、こち

らが思い立ったのが急だったので、入り込む

余地はなかったというわけ。

小さな磨りガラス窓が1個ついた薄暗い部屋

で一夜を明かした。

 

【第三日(7月11日)】

朝6時30分に朝食をとって、荷物をまとめ、フェリーターミナル

へ。7時30分発。

礼文までは2時間足らず。薄ら寒く、雨もよいだと思っていたのだが、そのうち陽が上ってきて爽やかな日和となる。

礼文島の香深港について海の方

をみやると、真ん前に利尻富士

が浮かんでいた。
 
 

帰りの船まで3時間余りしかな

いので、観光バスによる周遊は

望めなかった。

歩いて桃岩山頂をきわめることにする。

胸突き八丁を3.2キロ。ここで

平生のウォーキングが生かされた。息を切らしながらも、休まず

に到達。

高山植物をいちいち確かめる、と

いうデリカシーをわたしは持ち

あわせていない。

なにせ、韋駄天の山羊なのだ。

 

 

稚内港に戻ったのが午後3時半。

休むまもなく出発。旭川まで明る

いうちに着きたい。

ところが、カミさんの話では180

キロくらいだというので、何とか

いけるだろうと思っていたら、標識には、260キロとなってるではないか。これは大変!

しかし、そこは韋駄天。午後6時

には、旭川グランドホテルに。

ここは一流。昨夜の不快を払拭す。
 

【第4日(7月12日)】

快晴。きょうは苫小牧まで昨日の

感じからだと楽勝ムード。

まず、富良野のラベンダー畑。

金魚草も満開だった。

いたるところ観光バスだらけ。とくに

台湾人らしい旅行団には驚いた。ここ

まで来るか、という感じ。

 

カミさんは、入園料500円を払って

ドライフラワーにするラベンダー摘み。

 

途中、日高の競走馬の生産地に立ち寄

るつもりだったが、道路の分岐点を見

逃してしまった。

帰りを急ぐことにする。
 

 

苫小牧東港のフェリーターミナル

は分かりにくいところにあった。

どうも供用を開始してから、漸く

旬日を経たばかりだったらしく、

ろくに看板も立っていないのだ。

 

ようよう辿り着いたら、出港まで

3時間もあった。

岸壁で釣りをする人たちを目当て

に、ラーメン屋台のバスが来ていた。

苫小牧は北海道有数の工業都市。

新潟に着いたのは、13日午後3時。

       THE END
 
 

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