序章 銀髪の美しい女
「残念だよ・・・君なら解ってくれると思っていたのだが・・・」
私の目の前に立つ美しい女は冷めた表情でそう言った。
その女は黒いコートに帽子、ズボンまで全身黒ずくめであった。
黒い帽子からは銀の美しい髪が腰のあたりまでのびていた。
その髪は黒いコートのせいでいっそう美しく見える。
女はうでに何か妖しい紋章の描かれた腕章を付けていた。
女は私にそう言ったあと、その黒いコートの内側に手を入れ、
次の瞬間・・・
私はその時、自分の身に何が起こったのか理解できなかった。
すべてを理解する前に私はその場に倒れた・・・
倒れる瞬間に私が見たものは女の手に握られた
奇妙な形の銃であった・・・
倒れた私は冬の冷たい道に全身をまかせ意識を失った。
男が意識を失った後、女は冷たい表情のまま、
無言でその場を去っていった・・・
ここは人と悪魔の住む世界。
人間は自分達に危害を及ぼす悪魔達を狩るために
科学(化学)という力を手に入れた。
そして、ここにも悪魔を狩る足音が聞こえる。
ここは廃虚と化した街の半壊したビルの中・・・
そこには追う者と追われる者がいた。
追っている者は黒いコート、帽子、ズボンの美しい女であった。
美しい銀の髪に手には奇妙な形の銃が握られていた。
銀髪の女はその場に立ち止まり周りを見回した。
どうやら追っている者を見失ったようだ。
女は静かに目を閉じ銃を持った右手を顔の前に、
もう片方の手を天にかかげた。
すると天にかかげた手が光に包まれ、その光が左の方に流れた。
「・・・右か・・・」
女の冷めた表情から声が発せられた。
女はその場から走り去った。
女がたどりついたのはくずれかけたビルの一室であった。
壁は崩れ、向かいのビルと大きな月が見えていた。
もう一人、何者かが片ひざを突いた男が女をにらみつけていた。
その男は一見すると人間に見えるほど人に近い形容をしていた。
しかし、人間とは決定的に違う点がいくつかあった。
暗紫の瞳にとがった角、そして男の背中には黒く大きな翼が・・・。
突然銀髪の女が口を開いた。
「しょせん魔王といってもそれは魔界での話・・・
この世界では貴様の強大な力は維持できまい。」
魔王と呼ばれた男は女をいっそうにらみつけ
「貴様らごとき下等な生き物と話す舌はもたん!!」
と、答えた。
その言葉にいらだちを覚えた銀髪の女は
その怒りを冷たい表情で押し隠し再び口を開く。
「バーミリオン戦役の英雄ともあろう者がこの世界に
長時間いることが死につながるということが分からぬ
わけでもあるまい。
この世界で何をしていた。今回貴様はこの世界で
誰も殺ってないし、食ってない。
答えろ!!何をしていた!!」
女は冷たい表情がくずれ感情が表に出た様だ。
だが、魔王と呼ばれた男はたじろぐ様子もなく静かに答えた。
「いったはずだ・・・・貴様と話す舌はもたん・・・・」
女はその答えに自分の感情を表に出した言葉に少々の
はずかしさを感じた。
そして女は男に向かって言った。
「・・・ならば・・・死ね・・・」
女は銃をかまえる。
が、それより早く男が行動を起こしていた。
魔王を呼ばれた男の足元に2つの魔法陣が出て、そこから
黒い円柱が出てきた。
そして中から女の倍近くはある魔族が一体ずつ出てきた。
その魔物は一体は漆黒の肌で筋肉質で頭には大きな羊の様な
角の生えた魔族で手には長い柄の大きな刃のついた斧を持っていた。
もう一体は赤いはだでもう一体にくらべると
少し痩せ型だが貧弱というよりは洗練された肉体で片手に細身の
剣ともう片手に盾を携えていた。
「悪あがきはやめろっ!!」
女は銃をかまえたままいう。
黒い魔物が何か言葉を発する。
が女には理解できない言葉であった。
その会話らしきものが終わった後男はもう一度魔法陣を出した。
そして女は言う。
「何をしても無駄だっ!!素直に・・・」
女の言葉が言い終わる前に男は魔法陣に入り消えていく。
「くっ・・・逃げられた・・・(話は何を躊躇していたのだ・・・あの目は
他の魔族共の目とは違っていた・・・)」
女はそう言うと目の前に立つ2体の魔族に目をやった。
黒い魔族が言う。
「人間よ、そなたに恨みはないが主の命令故消えてもらう・・・。」
赤い魔族もそれに続いて口を開く。
「すまぬな、主は多忙なので我らが相手をする。」
女はその言葉にフッと鼻で笑い
「お前たちでは役不足だ、消えろ・・・」
黒い魔族は言う。
「人間が我らを推し量るかっ!!」
赤い魔族は怒り狂い女に襲いかかる。
それにつられ黒い魔族も動く。
「・・・低級魔族はこれだから・・・。」
2体の魔族の雄叫びの中一発の銃声が・・・
倒れていたのは魔族の方だった・・・
2体とも額と心臓、両腕両足を撃ち抜かれていた。
たった一発の銃声で・・・
女は息一つ乱した様子もなく、無言のままその場を去って
いった・・・・。
序章はこれで終わりですが、もし読んだ方で感想などはnankou@naa.att.ne.jpまでよろしくお願いします。