(6)棒の縦振動 ―分散関係とヤング率―

 

実験目的

弾性に富んだ個体(金属など)に弾性限界内の変形を与えると、その変形は疎密度(縦波)となって固体内に拡がる。これがいわゆる固体中を伝わる「音」であり、その伝搬速度はその固体の縦弾性係数(ヤング率)と密度によって決まる。従って、逆に固体中の音速と密度を測定してヤング率を求めることができる。この実験ではクント(Kundt)の実験として知られている方法で金属棒中の振動数を測定する。

 

 

測定法

  1. 金属の試料棒の中央が正確に固定されているかを確かめる。
  2. ガラス管を慎重にはずしてコルクの粉をうっすらと一様にまぶす。
  3. (細い棒か針金などを使うと一様にまぶすことができる。)

  4. コルクの粉をまぶしたガラス管を金属試料棒の振動板のついた端に10〜15cm位さしこむ。
  5. 他端に可動振動板をさしこみ、ガラス管に無理がかからないように高さや台を調節する。
  6. 鹿皮に松やにをつけて、試料棒の少し中央よりの位置を20cm位を軽く、ゆっくりこすると、金属製のすんだ音を出すことができる。
  7. 音が出ている時に可動反射板をゆっくり出し入れして共鳴管の長さを調整すると、ある長さのところでコルクの粉が大きく振動してコルクの粉がしま状の波模様に集まる。
  8. 共鳴管の長さと波模様の数から、試料中の音波と共鳴した音の空気中の波長を求めるために
を記録しておく。

  1. 試料棒の長さを正確に測る。

 

 

 

 

実験結果とまとめ

・実験の測定結果等のまとめと、固体中の音速

空気中の音速

L=(895+894+896)/3=895 [mm]

固体中の波長

波模様の数

[個]

共鳴管の長さ

[mm]

波長

[m]

振動数

[Hz]

固体中の音速

[m/s]

9

785

174.44e-3

1973.11

3351.87

8

708

177.00e-3

1944.58

3480.80

7

619

176.86e-3

1946.12

3483.55

6

543

181.00e-3

1901.60

3403.86

5

441

176.40e-3

1951.19

3492.63

 

V0=3455.02

 

・棒の縦振動の式の導き

Figure.1に示すように棒に沿って軸をとり、わずかな距離だけ離れた2つの垂直断面を考える。棒に縦振動が起こるとこれらの断面も、したがってまた面と面にはさまれる部分も、方向に振動する。

棒が振動している状態である時刻に面はつりあいの位置からだけ変位してにあり、面は同様にだけ変位してにあるものとする。はじめ棒の各部分はつりあいの状態にあり、のびの割合はどこでも一定で、任意の断面に現れる応力も一定である。しかし振動している場合はつりあいの状態ではないので、伸びの割合も応力も、ともに位置と時間の関数になる。従って面と面に現れる応力をそれぞれとすると一般にである。着目している部分の運動方程式は、棒の断面積を、伸び縮みのない状態での密度をとすると

(1)

と書くことができる。

は棒のYoung率と、各部分の伸びの割合から求められるが、伸びの割合は次のように表すことができる(Figure.2)。面の変位をとすると、面からだけ離れた面の変位は、

(2)

と表すことができる。をきわめて小さくとっておけばにはさまれた部分の伸びの割合は一様と考えてもよく、(2)から、それは

 

となる。これを面の位置での伸びの割合と考える。面に現れる応力は、棒のYoung率をとすれば

(3)

である。につけた添字は、の位置でのの値という意味である。面をどこにとっても以上の議論に変わりはないので、(3)は棒の任意の断面に現れる応力を与える式である。面に現れる応力は

 したがって

 これを(1)の右辺に入れ、添字を省いて書くと

整理すれば

(4)

となる。これが、棒の縦振動の運動方程式である。

 

 

・E/ρ=Vの導きと、文献値と実験値のヤング率を比較・考察

 とおくと

 上式を(4)式に代入すると、

(5)

 ここで、の関係を使うと(5)式は

(6)

 となる。

 

 

・密度の計算からヤング率を算出

 

試料の直径

(5回の平均値)

試料の長さ

(5回の平均値)

試料の質量

(5回の平均値)

10.0 [mm]

29.24 [mm]

19.08 [g]

 ここで、固体中の音速の平均値 [m/s]と、密度[kg/m3]を(6)式に代入すると、

  ・参考の文献値

材 料

軟鋼・硬鋼・鋳鋼

鋳 鉄

銅(軟・硬質)

黄・青銅

ヤング率 E[GPa]

206

98

126

98

上記の文献値より、試料棒は鋳鉄か黄・青銅にであろうと思う。

 

 

感想

今回の実験では、試料棒を鹿皮でこすり、すんだ音が出るまでかなり手こずった。そして、うまく音が出てもコルクの粉が波模様になるポイントをつかむのが大変であった。でも、一度模様が出るとその後は順調に実験を進むことができた。

今回最も手こずったのが、単位の統一だった。mでまとめるか、mmかなどいろいろな単位を統一できずに変な値となった。これでは、いけないと思った僕だった。