(6)棒の縦振動 ―分散関係とヤング率―
実験目的
弾性に富んだ個体(金属など)に弾性限界内の変形を与えると、その変形は疎密度(縦波)となって固体内に拡がる。これがいわゆる固体中を伝わる「音」であり、その伝搬速度はその固体の縦弾性係数(ヤング率)と密度によって決まる。従って、逆に固体中の音速と密度を測定してヤング率を求めることができる。この実験ではクント(Kundt)の実験として知られている方法で金属棒中の振動数を測定する。
測定法
(細い棒か針金などを使うと一様にまぶすことができる。)
実験結果とまとめ
・実験の測定結果等のまとめと、固体中の音速
空気中の音速
:L=(895+894+896)/3=895 [mm]
固体中の波長
:
波模様の数
|
共鳴管の長さ
|
波長
|
振動数
|
固体中の音速
|
9 |
785 |
174.44e-3 |
1973.11 |
3351.87 |
8 |
708 |
177.00e-3 |
1944.58 |
3480.80 |
7 |
619 |
176.86e-3 |
1946.12 |
3483.55 |
6 |
543 |
181.00e-3 |
1901.60 |
3403.86 |
5 |
441 |
176.40e-3 |
1951.19 |
3492.63 |
V0=3455.02 |
・棒の縦振動の式の導き
Figure.1に示すように棒に沿って軸をとり、わずかな距離
だけ離れた2つの垂直断面
を考える。棒に縦振動が起こるとこれらの断面も、したがってまた
面と
面にはさまれる部分も、
方向に振動する。
棒が振動している状態である時刻に面はつりあいの位置から
だけ変位して
にあり、
面は同様に
だけ変位して
にあるものとする。はじめ棒の各部分はつりあいの状態にあり、のびの割合はどこでも一定で、任意の断面に現れる応力も一定である。しかし振動している場合はつりあいの状態ではないので、伸びの割合も応力も、ともに位置
と時間
の関数になる。従って
面と
面に現れる応力をそれぞれ
とすると一般に
である。着目している部分の運動方程式は、棒の断面積を
、伸び縮みのない状態での密度を
とすると
(1)
と書くことができる。
は棒のYoung率と、各部分の伸びの割合から求められるが、伸びの割合は次のように表すことができる(Figure.2)。
面の変位を
とすると、
面から
だけ離れた面
の変位は、
(2)
と表すことができる。をきわめて小さくとっておけば
と
にはさまれた部分の伸びの割合は一様と考えてもよく、(2)から、それは
となる。これを面の位置での伸びの割合と考える。
面に現れる応力は、棒のYoung率を
とすれば
(3)
である。につけた添字
は、
の位置での
の値という意味である。
面をどこにとっても以上の議論に変わりはないので、(3)は棒の任意の断面に現れる応力を与える式である。
面に現れる応力は
したがって
これを(1)の右辺に入れ、添字を省いて書くと
整理すれば
(4)
となる。これが、棒の縦振動の運動方程式である。
・E/ρ=V2の導きと、文献値と実験値のヤング率を比較・考察
とおくと
上式を(4)式に代入すると、
(5)
ここで、の関係を使うと(5)式は
(6)
となる。
・密度の計算からヤング率を算出
試料の直径 (5回の平均値) |
試料の長さ (5回の平均値) |
試料の質量 (5回の平均値) |
10.0 [mm] |
29.24 [mm] |
19.08 [g] |
ここで、固体中の音速の平均値
[m/s]と、密度
[kg/m3]を(6)式に代入すると、
・参考の文献値
材 料 |
軟鋼・硬鋼・鋳鋼 |
鋳 鉄 |
銅(軟・硬質) |
黄・青銅 |
ヤング率 E[GPa] |
206 |
98 |
126 |
98 |
上記の文献値より、試料棒は鋳鉄か黄・青銅にであろうと思う。
感想
今回の実験では、試料棒を鹿皮でこすり、すんだ音が出るまでかなり手こずった。そして、うまく音が出てもコルクの粉が波模様になるポイントをつかむのが大変であった。でも、一度模様が出るとその後は順調に実験を進むことができた。
今回最も手こずったのが、単位の統一だった。mでまとめるか、mmかなどいろいろな単位を統一できずに変な値となった。これでは、いけないと思った僕だった。