・基礎電子工学実験T(直流回路)

 

1.実験目的

(1)電気回路の基本的用語,法則等を学ぶ。

(2)各種電子部品の構造および特性を習得する。

(3)直流回路の設計とその各種電気量(抵抗,電圧,電流等)の計測手法を習得する。

 

 

2.実験装置

ブレッドボード,ジャンパー線,ワニ口クリップ,テスタ(アナログ&デジタル),直流電源(単1電池×2個),抵抗(金属被膜抵抗),電球

 

 

3.実験

(3)電力,電力量

(a)電力

 電力とは、電気が単位時間におこなう仕事の量(仕事率)のことである。量記号はPで、単位には[W](ワット)を用いる。

 電力Pは、回路に加えた電圧Vと流れる電流Iとの積で求められ、オームの法則を用いて表すことが出来る。

        (1)

(b)電力量

 電力量とは、電気がある時間内におこなった電気的な仕事の総量(電気エネルギー)のことである。量記号はWで、単位には[Ws](ワット秒)を用いる。

 電力量と電力の間には、次のような関係式が成り立つ。

        (2)

 実用上の単位としては、秒を時間に[W][kW]として、[kWh](キロワット時)を用いる。

(c)電力,電力量の測定

 一般的に電力は、電力計を用いたり、電流計を組み合わせて測定される。

 電力は負荷において消費されるものである。したがって、複数の負荷が直列または並列に接続されているときの全電力は、それぞれの負荷で消費される電力の和として求めることが出来る。

 図1に示される、起電力E[V]の回路内に負荷が1つ存在しているとき、負荷で消費される電力は次式で求められる。

        (3)

 図2に示される、負荷が2個直列に接続されているとき、負荷で消費される総電力は次式となる。

        (4)

 (3),(4)式より、1個の負荷が消費する電力を比較すると、図1の時の電力を、図2の時の電力をとすると次の関係式を得ることが出来る。

        (5)

 これは、負荷を1個接続したときの負荷における消費電力は、同一の負荷2個を直列接続したときに対して、負荷1個での消費電力の4倍になることを表す。

              

        図1 電力測定回路@           図2 電力測定回路A

 

(@)図3に示す回路を組み、各抵抗で消費される電力の違いを視覚的に観察する。

図3 電力測定実験回路(視覚実験)

・観察結果

 スイッチ1につないだときの電球は、とても明るく点灯した。

 スイッチ2につないだときの電球は、2個ともに同じぐらいの明るさで、1個の時と比べて少し暗く点灯した。

 

 

 

 

 

 

(A)図4に示す回路を組む。=470[Ω]として、抵抗が1個と2個の場合の測定結果を表1,2に表す。

図4 電力測定実験回路

 

表1 抵抗1個の場合

 

I[mA]

Vac [V]

[W]

S.W.=1

理論値

6.60

3.1

0.02046

 

測定値

6.5

3.1

0.02015

 

表2 抵抗2個が直列接続の場合

   

I[mA]

ac [V]

ab [V]

bc [V]

[W]

[W]

1+2 [W]

12 [W]

S.W.=2

理論値

3.30

3.1

1.55

1.55

5.11

5.11

10.22

10.22

 

測定値

3.2

3.1

1.6

1.6

5.45

5.45

10.90

10.22

           

10−3

10−3

10−3

10−3

 

(B)(4),(5)式を導く。

●(4)式の証明

   (3)式 より、

 負荷が、2個直列接続された場合の合成抵抗は、2つの抵抗値の和となるので、

        (4)

 を、導くことが出来る。

 

●(5)式の証明

   (3)式 

   (4)式 より、

 ここで、=P=P/2なので、(3),(4)式はそれぞれ次のように表される。

        (3)´

        (4)´

 上記の(3)´,(4)´式より、

        (5)

 を、導くことが出来る。

 

(C)測定値から、(5)式の関係を検証する。

●理論値

     

 計算結果より、理論値において(5)式の関係は成り立っている。

●実験値

     

 計算結果より、測定値において多少の誤差はあるものの(5)式の関係はほぼ成り立っている。

 

(D)結果および考察

 この実験により、測定値においても(5)式はほぼ成り立っているといえる。測定値に誤差が生じてしまった原因として、アナログ式のテスタを用いて測定したために、正確な電流値を読み取ることが出来なかったと考えられる。良好な結果を得るために、アナログ式のテスタより正確に測定できるデジタル式のテスタを用いて測定することがよいと考える。

 

 

(4)電力伝達

 電源から負荷にできるだけ多くの電力を伝達するために、インピーダンス整合を行う必要がある。

 内部抵抗rを持った電源に負荷Rを接続したとき、Rで消費される電力を最大にするためには次式が成り立たなければならない。

        (6)

 負荷Rに最大の電力を伝達するために、上式の条件を満足させることを整合(matching)という。このとき負荷で消費される電力P(有能電力)は次式で求められる。

        (7)

 負荷での消費電力と、定電圧電源が供給している電力との比を電力伝達の効率(η)という。

        (8)

 (6)式を用いると次式が導かれる。

     整合電力伝達の効率    (9)

 

(@)図5に示す回路を組む。定電圧電源E[V]をつくるため、可変抵抗=2[kΩ]を組み込む。また、電源の内部抵抗と考えているrには330[Ω]を使う。抵抗には表3に示す抵抗を用いる。電源電圧Eが常に一定電圧2.5[V]になるように可変抵抗で調節しながら抵抗部の電圧Vを測定する。

 

図5 低電圧電源回路

 

表3 電力伝達実験データ

NO.

10

抵抗

(規格値)

50

100

200

250

300

330

400

500

680

750

RL[Ω]

(測定値)

47.1

96.5

185.3

226.7

267.2

332.0

401

500

678

750

V[V]

0.329

0.581

0.945

1.076

1.194

1.252

1.373

1.510

1.682

1.741

P[mA]

2.298

3.498

4.819

5.107

5.335

4.721

4.701

4.560

4.173

4.041

 

図6 インピーダンス整合

 

 

 

 

(A)課題

@(6)式の証明後、(7)式を証明する。

     

 電力Pを最大にするために、分母を最小にすればよいので、

        (11)

 (11)式より、最大電力を伝達するための条件は次式で表される。

        (6)

 

(7)式の証明

 (10)式 より、

 を代入して、最大の電力をもとめると、

        (7)

 

A理論式により最大電力を求めよ。

     

 

B=400[Ω]のとき抵抗での消費電力RLを求めよ。また,そのときの電力効率η[%]を求めよ。(理論値)

     

     

 

C縦軸=電力,横軸=抵抗のグラフを求めよ。

 別紙 『電力伝達実験 電力と抵抗の関係』参照

DグラフよりAのとBのRLを読みとり、理論値と比較検討する。

 本来は、内部抵抗rと外部抵抗の値が等しいとき、最大電力となる。しかし、この実験では330[Ω]ではずが300[Ω]付近で、最大となっている。

 

E考察

 別紙のグラフのように、理論値と測定値には大きな誤差が生じている。

 この誤差の原因として、抵抗の構成方法や、回路の組み間違い、電圧の測定方法の間違い、テスタの読み違いなどが考えられる。

 

 

 

・基礎電子工学実験U(交流回路)

 

1.実験目的

(1)交流回路の基本的用語,法則等を学ぶ。

(2)交流回路の設計とその各種電気量(電圧,電流,インピーダンス,位相など)の算出と計測手法を習得する。

 

 

2.実験装置

ブレッドボード,ジャンパー線,ワニ口クリップ,テスタ(アナログ&デジタル),交流電源,2現象オシロスコープ,抵抗(金属被膜抵抗)

 

 

3.実験

・交流とは?

●交流(Alternation Current)

正弦波交流の表し方

 正弦波交流の大きさは次に示す5の方法で表す。

(1)瞬時値:

 正弦波交流は時間にしたがって周期的に正弦曲線に沿って変化していることから、各瞬間における値をいう。

(2)最大値:max

 瞬時値が最大を示すときの大きさ。

(3)ピークツーピーク値:p−p

 瞬時値の正の最大値から負の最大値までの大きさ。

(4)平均値:ave

 瞬時値の半周期間において、基準となる横軸に平行な線との面積が、波形の面積と等しいとき、この線と基準線との距離をいう。

  正弦波の平均値=2/π×最大値≒0.707×最大値

(5)実効値:V,rms

 直流と同じ仕事をする交流での値。

  実効値=

  正弦波の実効値=×最大値≒0.707×最大値

注)テスタの交流電圧用レンジや交流電圧で得られる値は実効値である。

 

・抵抗だけの交流回路

 抵抗を含む回路において、抵抗R[Ω]に交流電圧e[V]を加えると電流i[A]が流れる。 このとき直流回路と同様にオームの法則が成り立つことが次式から得られる。

        (12)

 抵抗に正弦波交流電圧を加えたとき流れる電流は同じく正弦波であり、位相も同じである。

 電圧および電流の最大値をとすると次式が得られる。

        (14)

 以上のことを以下の実験で検証してみる。

 実験回路を図7に示す。AEは常に4.0[V]とし、周波数を500[Hz]にする。S.W.ON,OFFのときにそれぞれBEを測定する。その理論値と測定結果を表4に示す。

 

=1[kΩ],R=3.3[kΩ],R=3.3[kΩ]

図7 実験回路

 

表4 抵抗だけの交流回路

 

AE[V]

BE[V]

S.W.OFF

理論値

4.0

3.07

測定値

4.0

3.08

S.W.ON

理論値

4.0

2.49

測定値

4.0

2.45

 

・考察

 測定結果より、理論値と測定値とを比較してみると、誤差が生じたことがわかる。

 理由として、測定値を読みとる際に、アナログ式のテスタを用いたために、デジタル式のテスタのように詳しく読みとることが出来なかったためと考える。

 誤差をなくすために、より詳しく測定することが出来るデジタル式の測定器を用いればよいと考える。

 オシロスコープによる観察では、電圧の波形,電源電圧の波形,負荷抵抗にかかる電圧の波形は、位相のずれが起きていないことがわかる。抵抗のみの交流回路は、電圧と電流には位相差がないといえる。

 

 

 

4.実験全体の考察

 実験全体を通して、理論値と測定値の誤差がはっきりと生じている。これは、実験器具の誤差も考えられるが、測定時の読み違いやレンジの取り違いなどが考えられる。

 このことに関して、注意をはらうと誤差をなくすことが出来ると考える。

 

 

5.感想

 この実験で、始めてやり直しをおこなった。1回目の測定ではアナログ式のテスタを用いておこなったことと、回路の組み方が変だったために値がバラバラになってしまった。

 2回目は、デジタル式のテスタを用いたためにしっかりとした値となったために、よい結果が得られると思ったのだがあまりいい結果にならなかったように思う。

 次回の実験は、夏休み明けとなるのでやったことを忘れないようにしようと思う。