・流れのなかの円柱の抵抗測定実験

 

1.実験目的

 流れのなかの物体に作用する力は、圧力による力と粘性による力がある。円柱のように鈍い形状をしている物体では圧力による抵抗が大部分である。

 この実験では円柱のまわりの圧力分布を測定し、圧力係数・抗力係数をもとめ、剥離点の測定を行う。

 

 

2.実験装置

 図1に実験装置の概略図を示す。

図1 実験装置概略図

 

 

3.実験方法

 (a)主流の速度の測定

     備え付けのピトー管により主流の速度を求める。

 (b)円柱の周りの圧力の測定

     円柱を度づつ360度まで回転させ、各角度の圧力をベッツ型マノメーターで測定する

 (c)剥離点の測定

     風洞を停止させ、粉歯磨き粉を水に溶かして円柱に塗り2〜3分放置する。

     円柱の上下に出来る粉の線をガムテープを用いて角度を測定する。

 

 

4.関係計算式

   ・圧力係数  pressure coefficient

:一様流の圧力,:物体表面の圧力,:一様流の速度,:流体の密度

 

   ・抗力係数  drag coefficient

:一様流の速度,:流体の密度,:流れに直角な面への物体の投影面積

:流れと平行な方向の力 抗力(drag force

:円柱の投影面積,:圧力測定角度

     この積分は、台形公式によって求める。

 

   ・レイノルズ数  Reynolds number

:流体の密度,:粘性係数,:動粘性係数,

:一様流の速度,:円管の直径

 

 

5.実験結果の整理

(a)横軸に角度,縦軸に圧力係数をとった圧力分布図の作成

   別紙の圧力分布図参照。

 

(b)抗力係数の計算

   ・抗力をグラフと計算結果から、台形公式により求めと、

   ・主流の速度をもとめると、

      空気15[℃]の密度を、とする。

   ・上記の計算結果を用いて抗力係数を求めると、

 

 

 

 

 

 

 

 

(c)(a)のグラフに剥離点を記入し、圧力分布と剥離点の関係を考察する。

   ・レイノルズ数を求めると、

      空気15[℃]の動粘性係数を、とする。

 

   ・剥離点と剥離角を求めると、

      実験によって剥離した長さは、であるので、

      円管の直径から、測定角ごとの長さがとなる。

      よって、

      となる。

     図2に、今回の実験で計算された剥離角のモデルを示す。

図2 実験結果に基づく剥離角のモデル

 

   ・考察

今回の実験では、常温(20℃)15℃で密度や動粘性係数を定めた。このことから、同じ実験グループの人とは若干違う値となっている。

実験結果を教科書と照らし合わせてまとめると、

などが考察される。