1月11日(日) 「時代錯誤の会計方針変更〜こんなに恣意的でいいの?〜」
インターネットで毎日新聞ニュースを見ていたら、「金融機関の決算では、保有有価証券の評価額は、取得原価と時価のうち低い方と決められているが、大蔵省は今期、原価法の採用を認めることを決めた。売却するまでは購入価格で評価すればよく、時価が値下がりしても含み損を計上しなくて済む。しかし、原価法を採用しても、有価証券明細書には時価情報と合わせて含み損益が明記され、損の先送りと取られかねない」(毎日新聞1月11日)とあった。
あぁ〜あ....いったい日本の財務会計はいつまでこんな低レベル?なことを繰り返しているだろう?小手先の数字の表示の仕方を変えて市場を騙すことができるとでも思っているのだろうか?
小手先の会計手法の変更による会計上の利益のかさ上げは株価等に何の影響ももたらさないということは、これまでに相次ぐCapital
Market Researchの結果が実証してきたこと。要は市場はそれほどバカではないということだ。むしろ、事実を隠蔽しようとする意図は逆効果じゃないの?
にもかかわらず、こんなことするのは何故?
大蔵省が会計方針の変更に関する実証研究の結果を知らない?そんなアホな。 それとも、東京の株式市場は見せかけの会計方針の変更を真に受けるほど洗練されていないのか?あるいは大蔵省がそう思っている?まあ、ほかにも挙げていけばきりがないが....。
それにしても、こうした馬鹿げた会計方針の変更を許してしまう、日本の公認会計士協会も良くわからない。伝統的に米国ではプロフェッショナルとしての公認会計士の地位と民間主導の会計基準策定が確立されているのに対して、日本の会計基準は大蔵省のさじ加減で決まる。要は日本の会計基準は国家の経済政策の一部なのである。確定決算主義なんてのはこの典型じゃないかと思うんですが、どうでしょう?
もちろん日米の会計の違いは歴史的な経済構造の違い(直接金融依存型か間接金融依存型か、とかね)とか、他の要因もいろいろあるけど。.....しかしまっ、大蔵省が全て牛耳っていて会計基準策定にあたり会計士の影響力が余りなさそうな状況下では公認会計士協会に期待する方が無理か....。日本には簿記は存在しても「財務会計の理論」などというものは存在しないに等しいんだろうなぁ。Conceptual
Frameworkなんて立派なものもないしね^^;。会計基準策定の主導権を握る立場にないプロフェッショナル団体に財務会計の哲学としてのconceptual
frameworkを求めるのも無理難題な話ではあるが。