エホバの証人と血の教え

 エホバの証人と聞くと、「ああ、あの輸血を拒否する人たち」という反応を示す人は少なくありません。確かに輸血、ならびに血液製剤による医学治療を避けることは、エホバの証人の教義の中でも最もユニークなものの一つと言えるでしょう。多くのキリスト教宗派、ユダヤ教などの聖書を使用する宗教の中でも、医療行為一般を拒否する小さな宗派は知られていますが、エホバの証人のように血液による治療だけを取り上げて、命がけでこれを拒否する宗教は他にありません。

 しかし、エホバの証人のこのユニークな血の教えの、細かな内容を理解できる一般の人はわずかしかいません。大部分の人は、「聖書に血を食べていけないと書いてあることを文字通りに守っているだけ」と簡単に理解しています。しかし、この血の教えには複雑な聖書的理由付けと、歴史的背景があります。また、その教義も単に輸血を拒否するだけでなく、更にもっと細かい医療行為にまで及んでいるのです。

 またその一方で、エホバの証人の兄弟姉妹の中には、この複雑な教えの問題点を認識し、血の教えを含むエホバの証人の教義とその組織を、より柔軟性をもったものに変えようとする内部改革の動きが、主に北アメリカと北ヨーロッパの国々で静かに広がっています。これらの兄弟姉妹たちは、現時点では表面に出ての発言は控えていますが、インターネット上で活発な運動を繰り広げています。

 このウェブサイトでは、エホバの証人の血の教えがどのようなものか、輸血を拒否する聖書的な根拠は何か、更に医学的な問題点と医療従事者の対応、この教えの社会的な意味などを論じ、一般のエホバの証人以外の方々が、その教えを深く理解する手助けとすると共に、エホバの証人の兄弟姉妹に対しては、内部改革の為の討論の材料を提供したいと考えております。このウェブサイトは、ものみの塔協会とは直接関係はしていませんが、現在のエホバの証人の長老が執筆に加わっており、内容の正確さに関しては細心の注意が払われています。