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アメリカはイラクの過去の化学兵器使用を責められるか?


new contents updated 2003.10.7


ブッシュ大統領は、「イラクが大量破壊兵器の査察に応じたとしても、イラク国内のクルド人を化学兵器で 大量殺害したことなどによる戦争犯罪は許されない」と述べたといわれます。 査察が成功してもイラクを攻撃する口実がなくならないように、あらかじめ布石をしいているかのようです。

もちろん、どこの国であれ大量殺害も戦争犯罪も許されないことでしょう。しかし、それを理由に、しかも現在進行中でない過去のそれを理由に、 これからその国を攻撃するというのも、許されないことではないでしょうか。たとえアメリカが、戦争犯罪を許さないとても人道的で正義感の強い国だったとしても。

さらに、アメリカが本当にこんな言葉をいう資格があるのかについては、実はいくつもの疑問があります。というのは、 その当時、イラン・イラク戦争においてイラクを支援していたアメリカは、イラクの化学兵器使用を知りながら 問題にせず支援を続けていたことが報道され、またイラクに生物兵器になる生物貨物を輸出していたことが米国議会で 明らかにされているからです。問題のクルド人に対する大量殺害は、まさにそのさなかに起きているのです。

また、アメリカ国防省はいま現在、国際合意である化学兵器条約に違反して、薬物を戦争兵器として開発しているとも 報道されています。しかも自らに対する査察には、大統領の判断で査察官を拒否できるという米国独自の国内法を制定しています。

さらに、国連決議によりイラクから提出された申告書には、アメリカの企業や政府機関が核やロケット兵器の開発を手助けした様子が記されています

ここでは、これらのことを伝える記事をいくつか紹介します。

  アメリカはイラクを攻撃する一方で、細菌兵器を作る新しい研究所を建設している
イラン・イラク戦争中のできごとと、生物物質輸出についての記事
アメリカがイラクの化学兵器を容認していたという記事
アメリカが現在、国際法に違反して化学兵器を開発しているという記事
アメリカに国際的なボランティア兵器査察チームを送るアクション
アメリカは最近も化学・生物兵器の原料をイラクに輸出していた?
イラクに兵器供給した企業・機関のリスト


  
      
  

イラン・イラク戦争中のできごとと、生物物質輸出についての記事



1980年〜 イラン・イラク戦争
1983年 ラムズフェルド国防長官、中東特使としてフセイン氏に会う。
1985〜89年 米外務省の支持のもと、合計14種類の生物物質が入った貨物がイラクに輸出される       (炭疽菌・ボツリヌス菌など)
イギリスのテレビ局「チャンネルフォー」が2月12日に報じたニュースによると、 イラクの生物・化学兵器開発プログラムを1980年代に支援したのは米国であり、また 神経ガスの解毒剤を1992年3月にイラクに輸出したのはイギリスであったという。  同テレビ局が見つけた米国の機密文書によると、1985年から1989年の間に、米国 からイラクに合計14種類の生物物質が入った貨物が輸出されたという。 その中には、炭疽菌が19個、ボツリヌス中毒を引き起こす生物、ボツリヌス菌15個 も含まれていた。この輸出は米国務省が支持し、商務省からの許可を得たもので あったと番組は報じた。また、イラクはこの他の有害物質も米国から購入し、 バグダッドにある原子力エネルギー委員会は、人の遺伝物質や「培養基」用の 大腸菌バクテリアも手に入れていたということであった。 (ロイター通信、2/12/98 6:22 PM)
1986〜88年 米疾病予防センターなどから西ナイルウィルスなどのサンプルをイラクに提供
 【ワシントン30日平山孝治】米国がレーガン政権下の一九八〇年代に、生物・ 化学兵器に使われる恐れのあるボツリヌス菌や炭疽(たんそ)菌などのサンプルを イラクに提供していたことが三十日、当時の議会記録などから明らかになった。  米誌などが先に一部を報道。九月の上院軍事委員会でバード議員が その真偽をただした際、ラムズフェルド国防長官は 「初耳だ。そんな話は聞いたことがない」などと答弁していた。  米政府が議会に提出した資料によると、「医薬品の研究開発に利用したい」との イラク・フセイン政権の要請に応じ、八六〜八八年に米疾病予防センター(CDC) などからサンプルをイラクに送っていた。この中には今夏、米国で百人近い死者の出た 西ナイル・ウイルスなどの細菌も含まれていた。送り先は、同兵器の開発研究に関与 しているとの疑惑が持たれているイラクの大学あてなどになっていた。  元同センター幹部は「米国が意図的に(イラクの生物兵器開発を助けるため)サン プルを送ったとは思わないが、開発に全く使われないという保証もなかった」と 話している。 当時はイラン・イラク戦争の最中で、米国はイラクを支持していた。 また、法的には合法で違法行為などはなかったという。ただ、その時々の状況 で、同兵器開発につながりかねない危険物質の取り扱いも変わるなど米国の 「国益優先」のあり方が問われそうだ。また、ラムズフェルド国防長官は 八三年、中東特使としてフセイン氏と会ったこともあり、 「何も知らなかった」との答弁を疑問視する向きも多い。 (西日本新聞)[2002年10月2日2時22分更新]
1988年 ハラブジャの虐殺 クルド人の町ハラブジャを毒ガスで攻撃、5000人の死者を出したといわれる
1988年〜  アメリカが、生物物質の貨物29個以上をイラクに輸出
イラクがクルド人の町、ハラブジャを1988年にガスで攻撃し、 5,000人の死者を出した後もイラクに向けて生物物質の貨物が少なくとも29個 輸出されたという。(ロイター通信、2/12/98 6:22 PM)
1988年 イラン・イラク戦争終わる
  

アメリカがイラクの化学兵器を容認していたという記事



レーガン米政権がイラク支援、化学兵器使用の可能性も認識=米紙
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020818-00000722-reu-int
 [ニューヨーク 17日 ロイター]イラン・イラク戦争(1980年9月―88年8月) の期間中、当時のレーガン米政権が、情報当局が化学兵器使用の可能性を認識していた にもかかわらず、秘密裏にイラクを作戦立案面で支援していたという。米紙ニューヨ ーク・タイムズが、当時を知る軍高官らが匿名を条件に語った内容として報じた。  この秘密プログラムには米国防情報局の当局者60人余りが参加し、イラン軍の展開 状況や作戦立案、空爆計画のほか、爆撃による被害状況などに関する詳細な 情報を、イラク側に伝えていた。  米情報当局は、イラク軍の化学兵器使用を求めず、容認もしなかったが、反対の意を 表明したことはなかった。米国は当時イラクが苦戦していると判断したうえ、イランの 影響力が域内の産油国に広がる可能性を懸念していたことから、そのような 姿勢を取ったという。  米国がイラン・イラク戦争で、イラクに衛星写真などの情報を提供していたことは 以前から知られているが、イラク支援の全容が明るみになったのは初めてという。 (ロイター)[2002年8月18日16時10分更新] 
<米国>イ・イ戦争時にイラク支援 化学兵器使用を黙認 米紙
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020819-00000025-mai-int
 【ワシントン布施広】18日付のニューヨーク・タイムズ紙は、80〜88年の イラン・イラク戦争の際、イラクが化学兵器を使うことを予期していたにもかかわらず、 米政府が軍事情報の提供など秘密裏のイラク支援を続けていたと報じた。フセイン政権の 打倒をめざすブッシュ大統領は、イラクの化学兵器使用を激しく非難しているが、 報道が事実とすれば、米国はイラクが化学兵器を使うことを事実上黙認した疑いが出てくる。  同紙によると、当時のレーガン政権は、イラン革命がペルシャ湾岸のアラブ諸国に及ぶ ことを懸念、イラクに戦場の衛星写真を提供するなど、ひそかに支援していた。イラクが 88年に化学兵器を使った時、レーガン政権の主要閣僚や高官はこぞってイラクを非難したが、 米政府のイラク支援は続いた。  米情報当局者は88年初め、イ・イ戦争の戦場を訪れ、イラクが化学兵器を使ったことを 米政府に報告した。これに関して、当時の米情報当局高官は同紙に「イラクの化学兵器使用は、 戦略上の重要な懸念ではなかった」と語り、中央情報局(CIA)や国防情報局(DIA) などは「イラクが敗北しないようにと必死だった」と証言している。  同紙によると、米当局はイラクが化学兵器を集積していることをつかんでいたが、 米側としては「化学兵器使用を促しもせず、使用に反対もしなかった」という。同紙 の報道について、パウエル国務長官は「重大な誤り」と述べ、米国が化学兵器使用を 黙認したとする見方を全面的に否定した。  しかし、イラン革命時、テヘランで米大使館占拠・人質事件が起きたこともあり、 米政府はイ・イ戦争に関して「イラク寄り」の立場を取った。イ・イ戦争末期には、米軍 機がイラン石油施設を空爆した。ペルシャ湾情勢に深く関与していた米国が、イラクの 化学兵器使用をまったく予期していなかったとは言いにくいのも確かだ。 (毎日新聞)[2002年8月18日19時3分更新]


   

アメリカが現在、国際法に違反して化学兵器を開発しているという記事


米が国際法違反の化学兵器を開発 独のグリーンピース・マガジン、米国防省の薬物兵器開発による国際法違反を報道
【ハンブルグ発2002年9月24日】米国防省は国際合意である化学兵器条約に違反して、 薬物を戦争兵器として開発している。ドイツのグリーンピース・マガジンと米独共同 の軍縮推進団体、サンシャイン・プロジェクトによって確認された文書には、米軍が 非致死性薬物を利用して精神作用および身体障害を誘発する薬物兵器を開発している ことが明かされている。この研究プロジェクトの管理には、ヴァージニア州クアンテ ィコの米海軍の部局、統合非致死性兵器局当たっている。 詳細は グリンピース ジャパン
  
    
解説: 現在、国際社会は「化学兵器禁止条約」という条約を持っています。
これは、サリンなどの化学兵器の開発、生産、保有などを包括的に禁止し、同時に、米国やロシアが保有している化学兵器を一定期間内 (原則として10年以内)に全廃することを定めたものです。
アメリカは、最初の批准国に遅れること4年、1997年にこの条約を批准して80番目の締約国となりました。(現在の締約国は145ケ国です)
これによると、締約国は、いかなる場合にも化学兵器の開発、生産、取得、保有、移譲及び使用を行わないことを約束し、 条約の違反の可能性について懸念が生じる場合には、化学兵器禁止機関が締約国の要請に応じ、疑義の対象となる施設・区域に対してチャレンジ査察(抜き打ち査察) を行うことが認められています。


関連資料:

化学兵器禁止条約 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bwc/cwc/

アメリカ政府が裏工作―化学兵器禁止機関の事務局長を解任 http://www.arsvi.com/0n/9-11p.htm

アメリカに国際的なボランティア兵器査察チームを送る賛同署名(英語) http://www.rootingoutevil.org
 (このアクションを報道した記事の和訳はこちら

  
    
  

アメリカは最近も化学・生物兵器の原料をイラクに輸出していた?
イラクの申告書にアメリカ企業名――化学・生物兵器開発に協力
 【ニューヨーク佐藤由紀】イラク政府が提出した大量破壊兵器の保有・開発に関する申告書に、 化学・生物兵器開発の原料や技術の提供先として米企業名が含まれていることが 明らかになった。米ニューズデー紙が13日、イラク高官の話として報じた。  しかし、申告書を精査している国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)の ブリクス委員長は10日、「企業からイラクの兵器開発についての情報を得て おり、名前を公表すればその道を閉ざすことになる」との理由で安全保障 理事会の非常任理事国に提供するコピーから原料の調達先を除外すると 述べ、企業名は伏せられたままとなりそうだ。  イランと対立していた米国は80年代、対抗策としてイラクに接近。米企業が 生物・化学兵器などにも使用できる原料や加工施設などを輸出していたことは、米議会で 報告されているなど周知の事実だ。しかし、ブッシュ大統領の就任以降に国が イラクの兵器開発に協力していたことが判明すれば、米政府は面目を失うことになる。 (毎日新聞)[2002年12月14日19時11分更新]
[ターゲスツァイトゥング(taz)12月18日] この報告書により初めて、対イラク武器供給者の全貌が明らかになった。特に、米国の 企業が24社挙げられ、いつ、イラクの誰にその供給が行われたかも明らかになっている。 レーガン政権および父ブッシュ政権が1980年から湾岸戦争に至るまで、どれほど強力に イラクの武装を援助したかが明瞭だ。イラクの核兵器とロケット開発計画では、相当 の製造設備が米国政府の承認のもとに供給されたのだ。生物兵器による武装のための 炭疽菌も米国の研究所から得られたものだった。イラク軍部と兵器専門家は、米国で 訓練を受け、国内の兵器開発計画を処理するためのノウハウを授けられた。  米国の軍縮問題専門家スーザン・ライト(ミシガン大学)の推定によると、この 報告が発表されたことに、「特に米国は当惑」しているだろうという。これは、ブッ シュ政権が忘れようと努めている米国という国の非常に暗い側面を一般市民に 知らせることになる。「米国が、他の常任理事国にコピーを渡す前にこの情報を 削除していたかどうかは、いまも不明」だという。                     (翻訳 萩谷良)   
  


対イラク兵器供給企業・機関のリスト
リスト全文は ターゲスツァイトゥング紙 http://www.taz.de/pt/2002/12/19/a0080.nf/textdruck 国名を日本語にしたものはこちら 日本企業もあります。ごらんください。 抜粋 【米国企業24社】 (A=核 B=生物 C=化学 R=ロケット K=通常兵器・兵站・イラク国防省向け供給・軍事工場建設) 1 Honeywell (R, K) 2 Spectra Physics (K) 3 Semetex (R) 4 TI Coating (A, K) 5 Unisys (A, K) 6 Sperry Corp. (R, K) 7 Tektronix (R, A) 8 Rockwell (K) 9 Leybold Vacuum Systems (A) 10 Finnigan-MAT-US (A) 11 Hewlett-Packard (A, R, K) 12 Dupont (A) 13 Eastman Kodak (R) 14 American Type Culture Collection (B) 15 Alcolac International (C) 16 Consarc (A) 17 Carl Zeiss - U.S (K) 18 Cerberus (LTD) (A) 19 Electronic Associates (R) 20 International Computer Systems (A, R, K) 21 Bechtel (K) 22 EZ Logic Data Systems, Inc. (R) 23 Canberra Industries Inc. (A) 24 Axel Electronics Inc. (A) これら米国に本拠をもつ24社に加え、米国でイラク向けの兵器ビジネスに携わった 外国企業子会社50社がある。また、イラクの兵器開発計画の供給者として挙げられ ている(A、B、C、R) のうちには、米国連邦政府の国防総省、エネルギー省、商務 省、農業省、ローレンス・リヴァモア、ロス・アラモス、サンディアの国立研究所 も含まれている。


イラクへの兵器ビジネスに加わった企業リスト
シリーズ それってなに
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停戦委員会HP