ボスニア・ヘルツェゴヴィナでストリートチルドレンを見た。
知識として知っていた。
しかし、初めて見た。

私達は車で移動していた。
大きな通りの赤信号で止まると、
こちらの車線と反対車線の間に彼らはいた。
汚れた服を着て、
汚れた顔をしていた。

赤信号で車が止まるのを見計らい、
もう洗剤なのかどうかさえわからない
濁った液体入りのバケツとボロ切れを持って、
近づいてきた。

頼んでもいないのに、何も言わずに
泥で汚れた車のライトを拭いていた。
女の子だった。

無言で、手のひらを運転席のガラス越しに差し出した。

その必要は無いのだが、
友人はお金をあげていた。

次の日、別の通りで赤信号に引っかかった。
すると、昨日と同じ女の子がいた。

今日はバケツも布も持っていなかった。
服の袖でライトを拭いていた。

また無言で手を差し出した。
友人はまたお金をあげた。

私は彼女の顔と、彼女がライトを拭いている情景を忘れられない。

帰り道に思った。
もし自分が子供を持ったら、
絶対に幸せにしてやると。

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