安全保障関係不正輸出事件
(ココム違反事件含む)


総 論

進展実業ココム違反事件
(対ソ連)
兵庫県貿易ココム違反事件
(対中国)
東明貿易ココム違反事件
(対中国
東明貿易ココム違反事件
(対北朝鮮)
東芝機械ココム違反事件
(対ソ連)
極東商会等ココム違反事件
(対中国)
商工連幹部に係るココム違反事件
対北朝鮮)
ダイキン工業ココム違反事件
(対ソ連)
プロメトロンテクにクスココム違反事件(対東独)
日本航空電子工業に係る武器部分品不正輸出事件
(対イラン)
トレーダーズココム違反事件
(対中国)
東亜技術工業外為法違反事件
(対中国)
菱光社等外為法違反事件
(対中国)
サンビームに係る武器部分品不正輸出事件
(対イラン)

参考

国際交易ココム違反事件(対ソ連・東独)


総 論

核兵器を含む大量破壊兵器や通常兵器等関連物資の輸出規制は、世界の安全保障を取り巻く情勢に大きく影響を受けてきた。すなわち、第二次世界大戦終結後の東西冷戦を背景に、共産圈への戦略物資・技術の移転を防止することを目的とする対共産圏輪出統制委員会(ココム)が一九四九年に発足、冷戦下ではココム加盟国による厳しい貿易管理が行われた。その後、1991年のソ連邦消滅等の経緯を経て冷戦が終了したことにより、ココム規制の内容も順次変化を遂げ、1994年3月末にはココムが解体されるに至った。しかし、冷戦後の世界においても、通常兵器、関連汎用品及び技術の移転に関する透明性の増人並びにより責任のある管理の必要性は依然として高く、その実現を図るための新たな枠組みが、1996年7月、オランダのワッセナー市において合意された。新たに締結された枠組みは、ワッセナー・アレンジメント(協定)と呼ばれ、「地域の安定を損なう恐れのある通常兵器の過度の移転と蓄積を防止すること」を目的とし、旧ココム加盟国(西側先進国)に加え、ロシア等旧東側諸国ほか28ヶ国が加盟した(2000年1月現在33ヶ国加盟)。

注@〜表1「ココムとワッセナー・アレンジメントとの比較」参照

 他方、核兵器、生物兵器、化学兵器等の大量破壊兵器及びその運搬手段としてのミサイルの拡散の防止に関しては、冷戦時代からその「拡散」の阻止を念頭に置いた貿易管理の国際的な枠組みが構築されてきた。すなわち、核兵器関連では、NPT(核不拡散条約)が発効した。また、核関連で兵器に転用される可能性の高い汎用品の規制については、原子力供給国会議(NSG)による規制が導入された。一方、生物・化学兵器関連では、生物兵器については1975年に生物兵器禁止条約(BWC)が、また、化学兵器については1997年に化学兵器禁止条約(CWC)が発効した。さらに、化学・生物兵器関連資材では、1985年に化学・生物兵器の原料及び製造設備等の輪出規制であるオーストラリア・グループ(AG)による規制が導入された。ミサイル関連については、1987年に、大量破壊兵器の運搬に寄与し得るミサイル、その部品及び製造設備等の輸出規制であるミサイル関連貨物・技術輸出規制(MTCR)が導入された。
  注A〜表2「国際的な輸出管理体制の概要」参照

我が国では、外国為替及び外国貿易法において、国際的な輸出管理の枠組みを踏まえた規定が整備されている。また、下位法令である輸出貿易管理令、その他省令、通達等に基づき、実際の輸出管理体制が運用されている。
 不安定な国際情勢の中で大量破壊兵器等の不拡散を目指す輪出規制の国際的枠組みを維持し、国際社会の一員として我が国がその責任を果たしていくためには、貿易管理体制を適正に運営する必要がある。とりわけ、我が国においては、この種の兵器その他に用いられる可能性のある高度な技術あるいはそのような技術を使用した物品、装置等が数多く開発、生産されており、適切な貿易管理体制の確立について各国からの要請も強いところである。したがって、不正輪出事案の厳正な取締りにより、こうした各国からの期待に応えるとともに、我が国自体の安全についても確保していくことが重要である。

ココム


 進展実業ココム違反事件(対ソ連) ●昭和41年10月23日 神奈川県警察検挙
 この事件は、対ソ連貿易商社
  株式会社進展実業 専務取締役 A
  神港精機株式会社 第一事業部長 B
らが、ココム規制対象品である
 ゲルマニウムトランジスター製造設備一式
をソ連向けに不正輸出したココム違反事件である。
 Aらは、昭和38年4月、全ソエ業技術輸入公団とココム規制対象品であるゲルマニウムトランジスター製造設備一式の輸出契約を締結し、契約を分割あるいは名称を一般的なものに変更して用途を不明確にし、昭和39年9月及び同12月の2回にわたって、通商産業大臣の承認を受けることなく、ソ連に不正輸出していた(価格合計2億806万円)。
 神奈川県警察は、昭和40年10月23日、Aを逮捕した。昭和47年8月7日、横浜地方裁判所において、外国為替及び外国貿易管理法違反等で、法人「(株)進展実業」は罰金1000万円、Aは懲役1年2月、執行猶予2年、Bは懲役4月、執行猶予2年の判決を受けた。


 兵庫県貿易ココム違反事件(対中国) ●昭和44年7月兵庫県警察検挙
 この事件は、対中国貿易商社
  兵庫県貿易株式会社 輸出担当営業部長 A
  株式会社国際機械振動研究所 取締役大阪製造部長 B
らが、ココム規制対象品である振動試験装置振動台付駆動コイルを中国向けに不正輸出しようとしたココム違反事件である。
 Aらは、中国機器公司とココム規制対象品である振動試験装置振動台付駆動コイルの輸出契約を締結し、昭和44年7月22日、冷却装置にあらかじめ取り付けたタンク内に同貨物を隠蔽し、税関長の輸出許可を受けることなく、中国に不正輸出しようとしていた(価格合計70万円)。
 兵庫県警察は、昭和44年7月24日、A、Bらを逮捕した。昭和50年7月22日日、神戸地方裁判所において、関税法違反(未遂) で、法人「兵庫県貿易(株)」は罰金15万円、Aは罰金7万円の判決を受け、昭和50年1月14日、法人「(株)国際機械振動研究所」は罰金30万円、Bは罰金15万円の判決を受けた。


 東明貿易ココム違反事件(対中国) ●昭和62年3月27日 兵庫県警察検挙
 この事件は、対中国貿易商社
  東明貿易株式会社 営業部長 A
が、ココム規制対象品であるシグナル・ジェネレーター(信号発信機)等を中国向けに不正輸出したココム違反事件である。
 Aは、「祖国の四つの現代化」に貢献するためとして、中国電子技術進出口公司等とココム規制対象品であるシグナル・ジェネレーター等の輸出契約を締結し、昭和59年4月から61年1月までの間に前後12回にわたって、通商産業大臣の承認を受けることなく(価格合計1870万円)、かつ、税関長の許可を受けないで(価格合計6651万円)、旅客機で出国する際の社員の託送品として、中国に不正輸出していた。
 兵庫県警察は、昭和62年3月27日、東明貿易側及びAらを神戸地方検察庁に書類送致し、昭和62年10月27日、神戸地方裁判所において、外国為替及び外国貿易管理法、関税法違反で、法人「東明貿易(株)」は罰金100万円、Aは懲役1年、執行猶予3年の判決を受けた。


 東明商事ココム違反事件(対北朝鮮)
 この事件は、対北朝鮮貿易商社
  東明商事株式会社東京支店 営業部長 A
  穂高電子株式会社 営業部長 B
らが、ココム規制対象品であるシンクロ・スコープ等を北朝鮮向けに不正輸出したココム違反事件である。
 Aらは、軍の資機材調達機関等から働き掛けを受け、北朝鮮竜岳山貿易等とココム規制対象品であるシンクロ・スコープ等の輸出契約を締結し、昭和60年10月から61年8月までの間に前後9回にわたって、通商産業大臣の承認を受けることなく(価格合計945万円)、かつ、税関長に虚偽の輸出申告をし又は税関長の許可を受けないで(価格合計2860万円)、北朝鮮に不正輸出していた。
 静岡県警察は、昭和62年5月25日、東明商事備、A、Bらを静岡地方検察庁に書類送致し、平成元年10月25日、静同地方裁判所において、関税法違反、外国為替及び外国貿易管理法違反で、法人「東明商事(株)」は罰金50万円、Aは懲役6月、執行猶予3年の判決を受けた。また、昭和63年1月18日、静岡簡易裁判所において、外国為替及び外国貿易管理法違反でBは罰金15万円の判決を受けた。

東明商事ココム違反事件


 東芝機械ココム違反事件(対ソ連) ●昭型62年5月27日警視庁検挙
 この事件は、大手工作機械メーカー
  東芝機械株式会社 鋳造部長 A
  第二技術部専任次長 B
らが、対ソ連貿易商社、和光交易(株)の仲介で、ココム規制対象品である、同時九軸制御プロペラ加工機である大型金属工作機械とその付属品をソ連向けに不正輸出するとともに、同工作機械の使用に係る技術の役務提供を行っていたココム違反事件である。
 Aらは、ソ連の情報機関員とみられる
  全ソ技術機械輸入公団幹部
   セドフ・V ・A
   オシボフ・I ・A
   トロイッキー・A ・P
らから不正輸出工作を受けた和光交易(株)の仲介で、昭和57年12月から58年6月までの間、ココム規制対象品である同時九軸制御プロペラ加工機である大型金属工作機械4台(価格合計41億2500万円)を輸出するに際し、ココム規制を受けない同時二軸制御の大型立旋盤であると偽って通商産業大臣の「非該当証明」を受けて、ソ連に不正輸出していた。さらに、昭和59年6月、通商産業大臣の承認を受けることなく、同工作機械の部分品であるスナウトを不正輸出し、同年7月、通商産業大臣の許可を受けることなく、修正プログラムをソ連に不正輸出していた。警視庁は、昭和62年5月27日、A、Bを逮捕した。昭和63年3月22日、東京地方裁判所において、外国為替及び外国貿易管理法違反で、法人「東芝機械船」は罰金200万円、Aは懲役10月、執行猶予3年、Bは懲役1年、執行猶予3年の判決を受けた。

東芝機械ココム違反事件



 極東商会等ココム違反事件(対中国) ●昭和63年5月17日警視庁検挙
 この事件は、対中国貿易商社
  株式会社極東商会 常務取締役 A
               輸入特貨課長 B
  新生交易株式会社 取締役貿易部長 C
らが、ココム規制対象品であるサンプリング・オシロスコープ等を中国向けに不正輸出したココム違反事件である。
 Aらは、中国儀機進出回公司等とココム規制対象品であるサンプリング・オシロスコ―プの輸出契約を締結し、昭和60年6月ころから61年11月までの間に前後八回にわたって、通商産業大臣の承認を受けることなく(価格合計7627万円)、税関長の詐可を受けないで(価格合計7944万円)、旅客機で出国する際の社員の託送品として、中国に不正輸出していた。
 警視庁は、昭和63年5月17日、A、B、Cを逮捕した。 10月27日、東京地方裁判所において、外国為替及び外国貿易管理法、関税法違反で、法人「(株)極東商会」は罰金200万円、Aは懲役1年、執行猶予3年、Bは懲役8月、執行猶予3年の判決を受け、6月6日、東京簡易裁判所において、同法違反で、法人「新生交易(株)」、Cはそれぞれ罰金20万円の判決を受けた。

極東商会等ココム違反事件


 商工連幹部に係るコヨム違反事件(対北朝鮮)●平成元年2月7日 新潟県警察検挙
 この事件は、在日朝鮮人の商工連幹部が、ココム規制対象品であるパーソナルコンピュータ、IC等を北朝鮮向けに不正輸出しようとした事件である。
 商工連の幹部が、昭和63年9月2日、北朝鮮に一時帰回する際、ココム規制対象品であるパーソナルコンピュータ、IC (集積回路)等を日用品と偽って輸出申告し、通商産業大臣及び税関長の輸出許可を受けないで
、北朝鮮の貨客船で不正輸出しようとしていた(価格合計約450万円)。
  新潟県警察は、平成元年2月20日、商工連幹部を逮捕した。同年3月31日、
新潟簡易裁判所において、外国為替及び外国貿易管理法並びに関税法違反で、罰金20万円の判決を受けた。



  ダイキンエ業ココム違反事件(対ソ連) ●平成元年2月20日大阪府警察検挙
 この事件は、化学薬品等製造メーカー
  ダイキンエ業株式会社 営業企画部課長 A
が、ココム規制対象品であるフロン液体の純度を偽ってソ連向けに不正輸出していた事件である。
 Aは、昭和61年3月から62年5月までの間に14回にわたり、全ソガス輸出入公団の要請を受け、ココム規制対象品である高純度のダイフロン(フロン系液体) の純度を偽って税関長に虚偽の輸出申告をし、通商産業大臣の承認を受けることなくソ連に不正輸出していた(輸出申告価格約3億5000万円)。大阪府警察は、平成元年2月20日、Aを逮捕した。同年10月17日、大阪地方裁判所において、外国為替及び外国貿易管理法並びに関税法違反で、法人「ダイキンエ業船」は罰金200万円、Aは懲役10月、執行猶予3年の判決を受けた。



 プロメトロンテクエクスココム違反事件(対東独)●平成元年7月6日 警視庁検挙
 この事件は、電子機器製造メーカー
  株式会社プロメトロンテクエクス 代表取締役社長 A
がココム規制対象品である半導体製造装置 「マスクアライナー」を東独向けに不正輸出したココム違反事件である。
 Aは、東独公団とココム規制対象品である半導体製造機器等の輸出契約を締結し、通商産業大臣の輸出承認及び税関長の輸出許可を受けることなく、韓国のダミー会社を通して昭和62年6月から9月にかけ3回にわたり、計4セット(約5億6000万円)を東独に輸出していた。
 また、昭和62年2月から3月にかけて、原子炉の制御棒用に使われる高性能素材ハフエウムワイヤー約10キログラム(約450万円)を旅行会社職員らに携帯品として日トレーターズココム違反事件(対中国)146ハンドキャリーにより東独に不正輸出していた。
 警視庁は、平成元年7月6日、Aを逮捕した。平成元年11月28日、東京地方裁判所において、外国為替及び外国貿易管理法並びに関税法違反で法人「開プロメトロンテクニクス」は罰金500万円、Aは懲役2年、執行猶予4年の判決を受けた。


 日本航空電子工業に係る武器部分品不正輸出事件(対イラン)●平成3年8月28日 警視庁検挙
 この事件は、航空機器製造メーカー
  日本航空電子工業株式会社 代表取締役社長 A
                     相談役 B
                     専務取締役 C
                     取締役支配人 D
らが、外国為替及び外国貿易管理法で輸出が規制されているF−4ジェット戦闘機に装備される空対空ミサイルの部分品であるローレロンを、シンガポール経由でイランに不正輸出していた事件である。
 Aらは、昭和63年5月から平成元年四月にかけて、前後13回にわたりF14ジェット戦闘機に装備される空対空ミサイルの部分品である飛行安定装置ローレロンを民生用であると使用目的を偽り、通商産業大臣及び税関長の許可を受けずに、シンガポール経由で当時イラクと交戦中のイランに不正輸出していた。
 警視庁は、平成3年8月28日、A、B、C、Dを逮捕した。平成4年4月23日、東京地方裁判所において、外国為替及び外国貿易管理法並びに関税法違反で、法人「日本航空電子工業(株)」は、罰金500万円、Aら4人は、懲役2年、執行猶予3年の判決を受けた。
 なお、この事件は、武器輸出三原則を踏まえた規制対象についての不正輸出事件として初めての検挙である。



 トレーターズココム違反事件(対中国) ●平成6年3月28日 警視庁検挙
 この事件は、対中国貿易商社
  株式会社トレーターズ 代表取締役 A
                 社員 B
らが、ココム規制対象品である電子機器を中国に不正輸出していた事件である。
 Aらは、平成5年7月及び10月の2回にわたり、微量の光を増幅して画像処理する電子機器であるイメージ増強管を、通商産業大臣及び税関長の輸出許可を受けないで、帰回する社員家族らに携帯品としてハンドキャリーにより中国に不正輸出していた。警視庁は、平成6年3月28日、A、Bを逮捕した。両人とも、平成6年5月7日、東京簡易裁判所において、外国為替及び外国貿易管理法並びに関税法違反で、罰金30万円の判決を受けた。



 東亜技術工業外為法違反事件(対北朝鮮) ●平成8年4月8日警視庁検挙
 この事件は、対北朝鮮貿易商社
  東亜技術工業株式会社 社員 A
が、外国為替及び外国貿易管理法で化学製剤として輸出規制されているフッ化水素酸及びフッ化ナトリウムを、通商産業大臣の許可を受けずに、輸出託送品として北朝鮮に不正輸出していた事件である。
 Aは、平成8年1月、大阪港入港中の北朝鮮船舶にフツ化ナトリウム50キログラムを、続いて2月、神戸港入港中の北朝鮮船舶にフツ化水素酸50キログラムを、それぞれ輸出託送品として積み込み、北朝鮮に不正輸出していた。
 フッ化水素酸及びフッ化ナトリウムは、化学,生物兵器の原材料及び製造設備等の輸出規制であるオーストラリアグループの規制対象であり、緊急支援米を送るための北朝鮮船籍貨物船を利用して、通産大臣の許可を受けずに輸出していたことが明らかとなった。
 兵庫県警察は、平成8年4月8日、Aを逮捕した。平成8年5月7日、神戸簡易裁判所において、外国為替及び外国貿易管理法違反で、罰金20万円の処分が決定した。



 菱光社等外為法違反事件(対中国) ●平成11年2月6日警視庁検挙
 この事件は、光学機器専門商社
  株式会社菱光社 代表取締役専務 A
らが、外同為替及び外国貿易管理法で輸出が規制されている測定装置を中国に不正輸出していた外為法等違反事件である。
 Aは、核兵器の開発又は製造に用いられ得る工作機械その他の装置として全地域に対する輸出が規制されている測定装置を、韓国向けと偽って輸出申告し、通商産業大臣の許可を受けることなく、平成8年12月、中国に不正輸出した。同輸出に際しては、税関長に対しても韓国向けの輸出である旨申告した。また、通商産業大臣の許可を受けることなく、平成9年2月、技術社員らを中国に派遣し、当該貨物の据え付け・検収など不正な役務取引を行わせた。
 警視庁は、平成11年2月6日、Aを逮捕した。平成11年7月29日、東京地方裁判所において、外国為替及び外国貿易管理法並びに関税法違反で、法人「(株)菱光社」は罰金200万円、Aは懲役10月、執行猶予3年の判決を受けた。
 なお、この事件は、我が国では初めての核兵器関連貨物に係る不正輸出事件の摘発として社会的に注日を集めた。



 サンビームに係る武器部分品不正輸出事件(対イラン)●平成12年1月12日 警視庁検挙
 この事件は、光学機器専門商社
  株式会社サンビーム 代表取締役 A
                代表取締役 B
らが対戦車ロケット砲の部分品をイランに不正輸出していた外為法違反事件である。Aらは、対戦車ロケット砲(RPG −7)専用光学照準器の部分品である鏡内目盛板「レチクル」を複製製造し、事情を知らない通関業者等を通じ、平成7年4月及び12月に、通商産業大臣の許可を受けずにイランに向け不正に輸出していた。警視庁は、平成12月1月12日、A、Bを逮捕した。両名とも4月12日、東京地方裁判所において、外国為替及び外国貿易管理法違反で、懲役2年、執行猶予4年、罰金150万円の判決を受けた。



参考 国際交易ココム違反事件(対ソ連・東欧)●昭和60年11月21日 横浜税関告発
 この事件は、在ソ連貿易商社
  国際交易株式会社 営業第一部長 A
               営業第一部長代理 B
らが、ココム規制対象品である数値制御装置付工作機械用自動プログラミング装置のコンピュータ等をソ連向けに不正輸出したココム違反事件である。
 Aらは、全ソエ作機械輸入公団とココム規制対象品である数値制御装置付工作機械用自動プログラミング装置のコンピュータ等の輸出契約を締結し、昭和58年7月から60年3月までの間に前後14回にわたって、コンピュータ一6台等の貨物を、税関長の許可を受けることなく、旅客機で出国する際の社員の託送品として、ソ連及びポーランドに不正輸出していた(価格合計9867万円)。
 横浜税関は、昭和60年11月21日、国際交易佛、Aらを横浜地方検察庁に告発し、昭和61年10月22日、東京地方裁判所において、関税法違反で、法人「国際交易佛」は罰金100万円、Aは懲役10月、執行猶予2年、Bは懲役6月、執行猶予2年の判決を受けた。