途中一泊し、合計12時間車で南下し、私たち家族はウェストパームビーチの シンガーアイランドという町に着いた。ここは、ミシンメーカーのシンガーの 社長が婦人のために購入した島なのだが、婦人はこの島が気に入らなかったた め、1エーカー50ドルという超破格で売りさばいたというエピソードがある らしい。今では日本でいえば大きな一軒家がたてられるくらいの土地が1億円 以上するそうだ。 ダンはあまりご機嫌ではなかった。まず途中の一泊した町のレストランで、 40分待たされたあげく注文したとおりに料理がでてこなかったことや、 子供のメニューが恐ろしく量が少なかったことにむかついていた。幸い、 店に苦情を訴えたらその日の食事はすべてただになったからなんとか気分 がもっていたのだけれど、シンガーアイランドのホテルも、旅行会社から 聞いていたホテルに到着してほっとしたのも束の間、別のホテルに行くよ うに指示されてぷちん。そして「海に面した1Fのスイート」に泊まるは ずだったのが、「駐車場に面した4Fの部屋」だったことで彼の怒りは頂 点すれすれをさまよっていたのだった。 4月のフロリダはまださほど暑くなく、海の水もすこし冷たい。それでも 子供達は海に飛び込んで行く。あんたら、去年の夏に湖にいった時はずっ と砂で遊んでたやんか。なんで冷たい海に限って飛び込んでいくんじゃ! こういう時に持つべきものは、まだまだ遊び盛りのお父さん。子供のため にという義務感からではなく、根っから喜んで水とたわむれている。 このウェストパームビーチではわりとのんびりと毎日を過ごした。食事は 3晩のうち2晩はシーフードレストランにいった。フィッシュ&チップス なんかを食べた。そこでダンの夕食に悲劇がおこった。ミディアムレアの ステーキを頼んだのにでてきたものはレア。もう少し焼いてもらったら今 度は黒焦げのウェルダン。あまりに焼き過ぎて、肉が変形していた。2晩 連続で食べたいものにありつけなかったかわいそうなダン。そこではダン のステーキ代を半分免除してくれた。「夕食代、予算よりもかなり安くな りそうやね(笑)」と私が言うと、ダンがとほほな顔をした。 ![]() ![]() ![]()
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