菱沼千明著 『コールセンターのすべて』 

        価格(税別): ¥1,800
           単行本 - 164 p / 最新版 (2000/05/10)
           リックテレコム ; ISBN: 897974437 ; サイズ(cm): 21 x 15

エディターレビュー

 企業の経営戦略拠点として注目を集めているコールセンターの構築法の企画から運用までの解説書
   電話が企業にとって単なる応対窓口からマーケティング手法を取り入れた経営戦略拠点として重要な位置付けをもってきている。企業と顧客の関係が様変わりし,「顧客の維持」「顧客の満足度向上」「顧客シェア重視」など顧客との関係をより密にすることが経営戦略上,最も重要な要素になってきている。

  その拠点がコールセンターである。顧客志向マーケティング戦略を確立するためには,充実したコールセンターが不可欠である。本書では,コールセンターを初めて導入しようとする人,構築し直そうという人のための導入のポイントをわかりやすく解説している。

  章立ては「コールセンターとは」で基本的なことを解説した後,「開設のプロセス」「システムの設計と構築」「コンピューター・テレフォニー・インテグレーション(CTI)」「ネットワークの設計」「コールセンターの今後」など。また,インターネットのコールセンターの果たす役割についても言及している。 (ブックレビュー社)
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内容(「BOOK」データベースより)
 「よいものは売れる」といえる時代は終わった。集積されたデータに基づき既存顧客に「個」にあったサービスをいかに提供するか、また顧客がサービスメニューを自ら選択可能とするために、企業は判断可能な情報を十分に提供しているか、が問われている。顧客リレーションシップを実現するためのコールセンター構築法をわかりやすく解説。CRM実践の第一歩として必読の書。

内容(「MARC」データベースより)
 コールセンターの意義、役割、特長から、その開設プロセスについて示す。さらに、今後のコールセンターの方向についても言及し、特にインターネットのコールセンターに果たす役割について述べる。
 

☆☆まえがき

 電話は、地理的時間的条件に制限されずに、広範囲の顧客とコンタクトできる。また、生きた対話ができるため状況に応じた対応が可能である。それによって顧客の要望、意向、事情の変化、問題解決の状況などの最新情報を得ることができる。各種システムの発達とともに、電話をメディアとして利用するマーケティングの手法(テレマーケティング)も進み、電話が顧客サービス窓口として利用されるようになった。これがコールセンターである。
 かつて、コールセンタセンターは単なる電話の応対窓口に過ぎなかであった。単に電話機を並べて、かかってきた電話での問い合わせ問合せや注文に応じたり、電話セールスをするという使い方であった。そのコールセンタセンターが最近様相を一変している。企業の経営戦略拠点として注目されるようになったのである。
 それは、企業と顧客との関係づくりが大きく変化したことに起因しているといえよう。顧客獲得中心、販売促進中心、市場シェア中心であった従来の企業経営が、顧客の維持、顧客満足度の向上、顧客シェアの重視へと変化している。そこでれには顧客一人ひとりとの対話が重要でありと考えられ、コールセンタセンター担う役割は大きい重要性が認識されるようになったからである。コールセンタセンターの真価は、単にかかってきた電話に応答し処理することではなく、企業経営に直接寄与する顧客との関係づくりにかかっているといえる。
 コールセンターの導入が進んでいるのは、このような要求にこたえうるシステムが容易に実現できるようになったことが大きい。通信機器、コンピュータ機器類の劇的な価格低下、使いやすいソフトウェアの登場、そして電話系とコンピュータ系を統合するコンピュータ・テレフォニー(CT)技術の進展である。また、電話だけでなく、インターネットによる顧客との新たなコンタクト手段の広がりも見逃せない。
 コールセンタは、新規顧客を獲得し、既存顧客を維持するのに役立ち、また従来にない品質と生産性向上を実現できると認識され、導入が進んでいる。しかしすでに、こうした認識は浸透しつつあるものの、残念ながらコールセンタセンターを中心にビジネスを構想し、経営を発想しているところはわが国では少ない。コールセンタセンターの導入が始めにありきで、電話とコンピュータ設備さえあればコールセンタセンターは機能すると誤解している企業が多いのも事実である。コールセンタセンターを業務効率化の道具と考えているかぎり、過去の安易なシステム導入の失敗を繰り返すだけだろう。市場や経営環境の変化が著しい今日では、コールセンタセンター本来の目的や顧客との関係づくりを明確にし、経営戦略から考えることが必須である。
 本書では、コールセンタセンター初めて始めて導入する人、改めて構築しなおそうと考えている人のためにコールセンタセンター導入のポイントをわかりやすく解説す記述してある。まず、コールセンタセンターの意義、役割、特長について述べるとともに、コールセンタセンターの開設プロセスについて示し、どのような項目に従って業務およびシステムの構築進めればよいのか、システム構成には何が必要か、中核技術であるCTIは何の役に立つのか、といったことを説明している。また、今後のコールセンタセンターの方向についても言及し、特にインターネットのコールセンタセンターに果たす役割について述べている。
 著者は、かてNTTテレマーケティング株式会社に在職し、運用者の立場からコールセンタセンターを見てきた。現在はNTTソフトウェアウエア株式会社においてシステムの開発者の立場からこれを見ている。本書はこれまでの経験を種に記述したものである。執筆にあたり、NTTテレマーケィングの井関雅夫社長はじめ多くの方々から貴重な情報をいただいたことに対して感謝の意を表すとともに、本書はNTTテレマーケティングのとりくみがベースになっていることをお断りしておきたい。また、NTTソフトウェアの方々からも多くのご支援をいただいた。この場を借りてお礼申し上げたい。
2000年2月
菱沼千明

 

目 次

まえがき

第一編  コールセンターとは

 第一章 マーケティングの変革
 (1)ターゲット客層を明確にする
 (2)顧客の視点で商品・サービスを提供する
 (3)顧客の満足度を向上させる
 (4)顧客とのリレーションシップに力を注ぐ
 (5)企業全体で顧客情報を共有する
 (6)営業活動のプロセスを標準化する
 (7)効果測定を行う

 第二章 成長するコールセンター産業
 
 第三章 コールセンターを活用したビジネス
 (1)通信業
 (2)クレジットカード業
 (3)通信販売業
 (4)製造業
 (5)金融業
 (6)保険業
 (7)宅配運輸業
 (8)タクシー会社
 (9)航空会社
 (10)ヘルスケア
 (11)公共・行政サービス
 
 第四章 コールセンターの業務形態
 (1)「インバウンド」と「アウトバウンド」
 (2)「プロフィット型」と「コスト型」
 (3)「インハウス」と「アウトソーシング」
 
第二編 コールセンター開設のプロセス
 
 第一章 マスタプラン策定
 (1)ポジショニングの明確化
 (2)マーケティング戦略策定
 (3)リソースマネジメント
 (4)生産性向上計画
 
 第二章 業務設計のプロセス
 (1)業務設計とは
 (2)コールフロー
 
 第三章 管理指標の設定
 (1)サービス品質管理
 (2)生産性管理
 (3)収益性管理
 
 第四章 オペレーション環境の設計
 (1)ロケーション
 (2)組織、服務規程
 (3)フロアプラン
 
 第五章 人材の確保
 (1)要員計画
 (2)採用
 (3)スキル向上トレーニング
 (4)オペレータの指導
 
第三編 コールセンターシステムの設計と構築
 
 第一章 システム要件定義に必要な検討項目
 
 第二章 システムの設計
 
 第三章 コールセンターシステムの構成要素
 (1)PBX(Private Branch Exchanger)
 (2)ACD(Automatic Call Distribution)
 (3)クライアント/サーバー・システム
 (4)顧客応対ソフト(CIS)の利用
 (5)対話型音声自動応答装置(IVR)の活用
 (6)全通話録音装置(ボイスロギング・システム)
 (7)プレディクティブ・ダイヤラー(Predictive Dialer)
 (8)問題解決支援ソフト
 (9)CMS(Call Management System)
 (10)ワークフロー・ツール
 (11)ワークフォース・マネジメント・ソフト
 
第四編 コンピュータ・テレフォニー・インテグレーション(CTI)
 
 第一章 CTIとは
 
 第二章 CTIで何ができるようになるか
 (1)一人のオペレータが複数電話番号を応対
 (2)高度な着信振り分け(インテリジェント・ルーティング)
 (3)スクリーン・ポップアップ
 (4)コールエスカレーション
 (5)プレビュー・ダイヤリング
 (6)プレディクティブ・ダイヤリング(予測発信)
 (7)コールバックの自動化
 (8)電話系とコンピュータ系のデータベースの統合
 (9)マネジメント機能
 
 第三章 コンピュータ・テレフォニーの標準API
 (1)標準化の考え方
 (2)電話系とコンピュータ系のインタフェースの規定点
 (3)TAPIとTSAPI
 
 第四章 PBXとコンピュータの接続形態
 (1)PBXとコンピュータが電話機を介して接続される構成
 (2)PBXとコンピュータがサーバーを介して接続される構成
 (3)コンピュータの中にPBX機能が入った構成
 
第五編 ネットワークの設計
 
 第一章 電話回線を定める
  (1)電話回線を選ぶ
  (2)外線数と内線数を定める
  (3)電話番号の付け方
 
  第二章 ネットワークサービスを利用する
  (1)代表電話番号
  (2)ダイレクト・ダイヤルイン
  (3)フリーダイヤル
  (4)ナビダイヤル
  (5)ナンバー・ディスプレイ
  (6)ボイスワープ
 
第六編 コールセンターの今後
 
 第一章 インターネット・コールセンター
 
 第二章 Webコールバック
 
 第三章 電子メール・コールセンター
 (1)電子メールによる顧客コンタクト需要の増大
 (2)電子メールによる顧客コンタクトの課題
 (3)汎用の電子メール処理ソフトの課題
 (4)電子メール版コールセンターの機能
 
 第四章 コンピュータ・テレフォニーからIPテレフォニーへ
 
むすび