reduce water accidents

水の事故を減らすために  

ヨーロッパ,特に運河の多いオランダなどでは,水に落ちたときの対処を学校のプールを使って,実地に教えています。日本の学校関係者にすすめてみても,カリキュラムや着衣水泳で水が汚れるなどで,実施してくれません。私も,5年ほど前にテレビで見てから,解っているつもりでしたが,最近はこの方法も進化して,少し変わってきているようですので,まとめてみます。頭で解っても,実際には行動できないものなので,実地訓練が本当は大事です。

以前は,水中で服を脱ぐように勧めていましたが,現在はぬがしません。かえってパニックになり方向感覚を失うようです。

現在支持されている説かどうか解りませんが,冷たい水や内耳の圧力上昇で蝸牛出血をおこし,平衡感覚がまったく解らなくなり,上下の感覚もなくなることがあるようです。ベテランの水泳選手でも溺れて死亡する事があります。無理でしょうが,パニックにならない事です。そのためには,繰り返しますが,練習しておくことです。

実際にやってみると良く解るのですが,クロールは着衣の時には苦しいばかりで,前に進みません,比較的楽なのは平泳ぎです。岸がすぐそこなら,平泳ぎですすみます。しかし,これも15m位がせいぜいです。それより,体力を消耗しない以下に述べる方法で浮いていて,救助を待ったほうが良い場合が多いようです。

落ちてすぐなら,服の空気や荷物で浮力があります。このとき,助けを呼ぼうと腕を振り上げたくなりますが,これが溺れる原因となります。水面より上に手をだすと,腕の浮力はなくなり逆に腕の重力が加わります。このために,顔がかえって沈み苦しくてパニックになります。顔をだし,呼吸をできるようにするためには,腕を水中に沈めます。冷静に考えれば,このとおりですが訓練しないと実行できないでしょう。

教科書のつまったランドセル,荷物いっぱいのリュック,かばん,水筒,からのペットボトル,これらは実はよく浮くのです。これらにつかまるだけで,長時間漂流できます。苦しいので,浮力のある物に乗ろうとしたり,上から押さえるようにつかまって浮こうとしたくなりますが,これがかえって大事な浮力を殺してしまいます。腕さえ水中から出してはいけないのですから,上からつかまってはいけません。水中から,つまり下から手でぶら下がるようにして持ちます。自然と,体は空を向いたラッコの形になります。上向きになり,浮力のあるものを両手でおなかに押さえつけるように持つと,顔が水中より出て,呼吸ができます。まさに,ラッコが貝をかかえている姿です。

周りにいる人は,とにかく上に述べたように,なんでもよいから,浮くものを投げてあげます。買い物ぶくろでも,中に物を入れたまま投げます。受け取ったら,袋の口を勢い良く水にたたきつけると,空気が入って,それだけで浮いていられます。ロープ,竿,棒,なんでもよいからひっぱりましょう。水泳でかなり自信があっても着衣のまま飛び込むと危険です。できるだけ,岸から助ける方法を考えましょう。

助けあげたら,人工呼吸は重要です。最近は消防署が出向いて教えてくれます。地域や学校でマウス ツー マウスの講習を受けておきましょう。

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河合 医院
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1997.Jun.