高層住宅とSARS


  

 

 

 

一時、高層のマンションでSARSが縦向きに拡がり、WHOも前例がないと原因究明につとめてきました。
熱しやすくさめやすいマスコミはもう忘却のかなたです。 しかし、私には問題がかなり残っていると思われます。

最初、ゴキブリやねずみにもウイルスが検出され、原因と考えられました。

最終結論は、配水管から空気中へ微粒子が逆流したためのようです。高層ビル、香港の密集した特殊な高層住宅と思われるかもしれませんが、日本でも起こりうるのです。

トイレの水、シャワー、浴槽の排水など、勢い良く水が配水管に流れ込みます。高層ですから、配管をまっすぐ落ちていきます。5階以上から落ちてきた水はかなりの勢いです。このとき、当然回りの空気を巻き込んで落ちていくのです。配水管の中の空気も押し出され、管の中はかなりの陰圧になるのです。

一方、住宅内の排水口には、ゴキブリや匂いが逆流しないようにトラップが設けられています。洗面器の下などにU字、P字、S字の構造があるのそれです。この部分にたまった水が、空気の逆流を防いでいるのです。地面に近い部なら、排水溝にふたのようなものが覆ってあるのも同じ原理です。

これで、空気の逆流は十分防げてきたのです。

ところが、先に述べたように、5階を越えてくると配管内の陰圧は相当なものになり、U字管などにたまった水を吸い出してしまうのです。これでは、逆流は防げません。

このままだと感染は広がらなかったかもしれません。しかし、シャワールームや浴室では、使用後に乾燥のために換気扇をまわすのが通例です。このため、配水管の中の汚い水が霧状になった空気を換気扇が徐々に吸い出してくるのです。

悪いことに、SARSウイルスは便の中では4日も生きているのです。

これが、高層ビルで縦に感染が拡がった理由です。

大腸菌O-157や赤痢ではこれほどの感染力はないようです。

3階建て以下の一般住宅では陰圧がさほどでないので、逆流はないと思われます。マンションが問題です。

低層住宅で機能してきたものが、高層住宅時代に対応できていないのです。住宅メーカーの怠慢です。
逆止弁など、簡単で耐久性のある構造を至急に考案する必要があります。高層ビルなどでは、配管の空気を常に吸い出すモーターのようなものを考える必要があります。汚水槽から下水管に空気を排除すればよいのです。できればHEPAフィルターでろ過すると良いでしょう。

窓があれば、窓を開けることにより換気扇の陰圧が弱まるので、逆流は減るかもしれません。しかし、 高層ホテルなどでは洗面所に窓のないところも多く、強制換気が一日中回っているところもあります。こういう場合は危険性が増すでしょう。浴室で呼吸することにより、感染する危険があるのです。
ホテルのシステムバスも問題です。浴槽の逆流防止装置はどうなっているのか、素人の私には解りません。

本格的に日本にSARSが上陸すれば、対策を考える必要があります。O-157などでも問題になりかねないので対策機器の必要性を考えています。

2003.6.1
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初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹

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