日本の狂牛病について


  

 

 

 

CATEGORY I High infectivity
Brain, spinal cord, (eye)*

CATEGORY II Medium infectivity
Spleen, tonsil, lymph nodes, ileum, proximal colon, cerebrospinal fluid, pituitary gland, adrenal gland, (dura mater, pineal gland, placenta, distal colon)

CATEGORY III Low infectivity
Peripheral nerves, nasal mucosa, thymus, bone marrow, liver, lung, pancreas

CATEGORY IV No detectable infectivity
Skeletal muscle, heart, mammary gland,milk, blood clot, serum, faeces, kidney, thyroid, salivary gland, saliva, ovary, uterus, testis, seminal testis, foetal tissue, (colostrum, bile, bone, cartilaginous tissue, connective tissue, hair, skin, urine).

*Tissues in brackets were not titrated in the original studies (8,9) but relative infectivity is indicated by other data on spongiform encephalopathies.

FROM http://www.who.int/emc-documents/tse/docs/whoemczoo973.html#a22

ニュースステーションで肝臓は安全だとテロップを流していました。他の局では肝臓は「ほぼ安全」などと流していました。ばかなことです。なぜ、インターネットでこんなに簡単に正確な情報が手に入るのに、原典に当たらないのか不思議です。能力がないから、出来ないのが真相としか思えません。私が探し出すのに5分とかかっていないのですから。

英語も出来ないのでしょう。出来るなら、「イギリスでインフルエンザ大流行」などと、荒唐無稽な事は報道できないはずですから。

低レベルのマスコミに振り回されるのは愚かです。現在得られるまともなデータはWHOのこのデータしかありません。これだけを吟味すればよいのです。

自信がないから「権威者」「肩書きのある大学教授」などにインタビューに行き、コメントを取ってくるのはまだ良いのですが、中途半端な理解で中途半端な「ほぼ安全」などという情報を流すから、困ったものです。「権威者」もWHOの情報に基づいているのです。原典に当たれば、余計な解説など不要です。現在、これ以外の信頼できるデータはありません。

脳と目と脊髄さえ避けていれば良いと報道する馬鹿もいますが、正しくはありません。

英語が苦手な人がいるでしょうから、訳しておきます。

カテゴリーT 高度感染(伝染)性
脳・脊髄・(目)

カテゴリーU 中程度感染性
脾臓・扁桃・リンパ節・回腸・近位大腸・脳脊髄液・下垂体・副腎・(脳硬膜・松果体・胎盤・遠位大腸)

カテゴリーV 低い感染性
末梢神経・鼻粘膜・胸腺・骨髄・肝臓・肺・すい臓

カテゴリーW 感染性が検出できない (訳注 絶対安全だとも宣言はされていません。現在検出できないということ。それが科学です。)
骨格筋・心臓・乳腺・ミルク・凝血・血清・糞・腎臓・甲状腺・唾液腺・唾液・卵巣・子宮・睾丸・精嚢?{訳注 seminal gland or vesicle だと思う。seminal testisとは聞いたことがない。牛にはある?}・胎児組織・(初乳・胆汁・骨・軟骨組織・結合組織・毛・皮・尿)

括弧内は原論文で定量的に分析されていないが、相対的感染性が他の論文で示されたもの。

これは、羊の実験データですが、WHOも牛での流用を推奨しています。

解説します。引用するなら、許可を求めます。

プリオンは120度にしても感染性は無くなりません。調理や加工でもそのまま残ります。

関西の毎日放送は「灰にしても感染性は消えない」と報道しましたが、そんなことはありません。イギリスで感染牛は焼却しています。中途半端な知識の教授もたくさんいます。(例 立花 隆東大教授)彼らに聴いてきた、さらにでたらめの中途半端な情報が氾濫しています。
非科学的なことです。たんぱく質ですから、燃やせば蛋白は分解し感染性は消えます。
分解しにくいのは事実ですが、高濃度の蛋白分解酵素で分解可能です。
歯磨きなどに良く使われるSDSという界面活性剤といっしょに、100度で沸騰させれば感染性は消えます。SDSは水素結合やS−Sなど弱い結合を切断し、蛋白の立体構造を破壊し直鎖状にするのです。蛋白の分子量を決定するときに用いる方法です。異常プリオンはアルファ螺旋(α-helix)をベータシート(β-sheet)にするから増殖するのです。立体構造を崩せば良いのです。SDS実験は昔よくやっていました。

WHOは医療用具の再生には、1規定のNaOHに一時間浸漬したのち、洗浄後オートクレーブ134度一時間を推奨しています。もちろん、再使用せず廃棄がベストです。なお、WHOは当該ページの要約、再掲を認めていませんので、原文に当たってください。アドレスは前出のとおりです。

工場周辺を消毒する映像が流れましたが、噴飯物です。あらゆる消毒薬は無力です。

もちろん、狂牛病・CJ病(クロイツフェルド・ヤコブ病の頭文字がCJ)・海綿状脳症に治療法はまったくありません。たんぱく質は生きていないので、殺すことはできません。AIDSよりやっかいです。

レバーは低感染性です。私なら食べません。生レバーは、以前から寄生虫も怖いので、食べないよう警告してきました。食べるのは愚かです。
ホルモンで腸や心臓を食べます。心臓や腎臓は安全ですが、肝臓や腸(多分ミノとかテッチャンと言うと思う。ホルモン焼きは詳しくないので…。そういえば、もつ鍋ブームもあったなあ・・・。)は危険性ありで、特に腸は危険です。

胎盤エキスを化粧品に入れたり、飲料に入れたりしていました。私のホームページで早くから危険性を指摘していましたが、やはり危険です。このような怪しげな「健康食品」を薦めた人や、マスコミは責任を取るべきです。
「健康食品」・「胎盤ホルモン」や「若さを維持」に飛びついた者が馬鹿です。これらの「健康法」「素人療法」が危険なのも、再三指摘してきました。

農林水産省が胃は安全と言っていましたが、どんな根拠か不明です。ホルモンのセンマイ等は避けたほうが安全です。危険性が表に上がっていません。

リードボーは胸腺かと思います。かなり危険です。
骨付きカルビは安全といったテレビもありますが、賛成しません。骨髄は危険です。骨付きということは、骨髄で汚染されていると考えます。私は骨付きの肉は一切食べません。骨を傷つけずに肉をはずすのが重要です。

テールスープはおいしいいものです。しかし、背骨や尾の骨には多数の神経が走っています。危険と考えます。牛骨スープも同義です。骨髄と神経が含まれる可能性があると考えます。濃いラーメンスープも吟味する必要があります。背骨と尻尾はカテゴリーを上げるよう推奨されています。

肋骨にも太い神経が伴走します。(肋間神経痛や帯状疱疹というのを考えれば理解できる。)骨付き肉を避ける、もう一つの理由です。リブステーキ・Tボーンステーキは避けます。

ゼラチンは安全のようです。結合組織から作り、変性している可能性が高いです。

日本では肉の処理は背割りと言う方法で行われています。これは、牛の背骨を真っ二つに切るのですが、このとき脊髄のプリオンが撒き散らかされてしまいます。ヨーロッパでは絶対行ってはならないことです。改善されるでしょうが、それまでは日本の処理方法は危険です。魚の様に三枚におろし、背骨の両側を切り落とせば済むことです。

検査体制について

試薬の会社が怒っています。日本の農林水産省が検査したら、陰性の結果が出ました。 検体をイギリスに送り、狂牛病と判定されました。試薬会社の主張は、ヨーロッパで検査した40万(400万?どちらか忘れた)以上の検体で、結果が覆ったことは一度もないと主張しています。
会社は、農林水産省に「試験法は難しいので、農林水産省の担当者は検査法のトレーニングを2日受けるよう薦めたが、拒否された」ということです。日本の検査法がでたらめである可能性がきわめて高いのです。農林水産省の安全宣言など信用するのは愚かです。

今回あまり腹を立てていません。厚生省のでたらめで散々ひどい目に合わされてきたので、農林水産省が業者と酪農(それにぶら下がる権益)保護優先で、国民の健康や安全を犠牲にしても当然です。(医療改訂で来年は弱者しわ寄せ元年です。)

河合 医院ならどう対処するか

1.菜食主義に変身するのは良いことです。菜食主義にも流派があり、詳しいことはしりません。しかし、蛋白の補給に無精卵をとることも多いようです。もちろん大豆を多く摂ります。
完全蛋白と言う考えがあります。米・小麦・とうもろこしなど結構たんぱく質を含みます。しかし、人にとっては一部の必須アミノ酸が不足するのでこれらだけではダメなのです。

完全蛋白としては、肉・魚・大豆・卵・牛乳があげられます。
これらのうち、一つでもとれば必須アミノ酸はとれます。実際アフリカには、牛乳と牛の血だけで生きている部族もいます。逆に蟹だけとか、貝だけでは長期だとかたよる可能性が出てきます。

魚を主体にし、かまぼこなどで変化をつけ、豆腐など大豆製品を補い、卵も食べれば栄養は足ります。日本なら簡単なことです。

2.それでも牛を食べたいなら、EUでレベル1=ほぼ危険がないとされたオーストラリア産のオージービーフを食べるのが安心です。次に安全なレベル2は、まず大丈夫なアメリカ産です。アメリカには少数の牛がイギリスから輸入されたからです。しかし、肉骨粉等ははいっていません。もちろんカテゴリー4から選びます。

3.種族の差があるほど感染しにくいと考えます。生物学的に距離のある魚や鳥のささみなどは狂牛病の危険はきわめて低いでしょう。

4.豚は反芻動物でないので、肉骨粉を与えても安全だと農林水産省は主張しました。それなら何故、反芻動物でない人間に感染するのでしょう。偶蹄目・奇蹄目といっても人間より生物学的距離は近いのですから、農林水産省の安全宣言など私は信用しません。食べるなら、牛と同様にフィレ肉くらいにしておきます。できれば、当分オーストラリア産を捜します。科学的推論への反論を出すべきです。

蛇足

飲酒運転で事故を起こせば、公務員は懲戒免職になることがあります。理由は「公務員の信用を傷つけた」からです。飲酒と個人の仕事の質は別です。感染牛を焼却処分したとウソの発表をした課長は「公務員の信用を著しく傷つけ、国民に感染の危険を与えた」ので懲戒免職が当然です。処分しない農林水産省とは「はじめから信用される仕事などしていない」ということです。懲役刑にしたいくらいです。

EUに日本の危険性の判定をしないよう、判定を取り下げさせた農林水産省課長は「日本には、イギリスが輸出したとする330tの肉骨粉の記録はない。それを検証するのは、あまりに膨大な仕事なので取り下げた」と論評しています。膨大な仕事がいやなら、就職しなければよいのです。膨大な仕事をするから、給料がもらえるのです。民間では考えられない論理です。「膨大な仕事はしたくない。しかし、税金から給料は欲しい」という論理です。この課長も「公務員の信用を傷つけた」のですから懲戒免職にすべきです。農林水産省が処分できないということは、「農林水産省では働かないで給料をもらうのが当然である」と認めているとうことです。「働かずに、権益のため業界は擁護する。国民は死んでもしらない」ということです。

グアム島には昔同じような病気がありました。クールーといいます。島では、死者が出ると故人をしのぶため、遺体の一部つまり脳を少し食べていたのです。文化的行為です。野蛮とは違います。これを法律で禁止したので病気は根絶できました。その前はスローウイルス感染症として、ウイルスだと思われていたのです。プリオンというのが解らなくても、根絶は出来たのです。要は、危険性のあるもの、一般的でないものは食べないということです。(例 生レバ 牛の共食い ゲテモノ食い グルメブーム)

私が引用したWHOのページを読めない者・理解できない者は、狂牛病の記事を書いたり、報道しないで下さい。とんでもない話が出てくるのです。原典を押さえられないものに、語る資格などありはしないのです。

イギリスで狂牛病騒動の時も、口蹄疫騒動の時も、「安全宣言」が出され、「安全牛肉感謝フェスティバル」が開かれました。担当の大臣がどちらにも出席し、自分の孫にハンバーガーを食べさせ、安全性をピ-アールし、その映像が世界に流れました。そして、皮肉なことにどちらの例もその直後から病勢は拡大し、追加処置・新たな禁止と、ぶざまな姿をさらしたのです。
政治家は科学者ではありません。対策は地道な科学的究明に基づかなくてはなりません。国民の安全は「政治的判断」・「業者の風評被害防止」では守れないのです。
どこの政治家も沈静化と業者保護に、愚かな考えを持ち出すものです。どこの国の政治家も、科学者ではありません。政治家のパフォーマンスなど信じるのは馬鹿のすることです。日本でも愚かな映像が流れるでしょう。

追記  2001.10.03
魚を大量に食べつづけるのにもリスクはあります。ダイオキシンが体内に蓄積されるのです。しかし、規制によりダイオキシン排出総量が減っているので、それほど心配はないでしょう。ダイオキシンの人体への影響は小さいので、無視できます。
大豆も残留農薬の危険があります。
リスクゼロの食品、医薬品などありはしません。適切なリスク管理という考えが一般人の日常でも必要なのです。ここからも、予防接種反対キャンペーンを行ったマスコミの低能加減が理解できます。
リスク管理の原則は、予防と分散です。一日30種類の食品を摂るのが良いのです。偏らないことです。

魚に関しては、高い近海物を大量に取るより、海外の冷凍物を分散して摂るほうが安全です。日本近海のほうがダイオキシン濃度は高いのです。

ニュースステーションで「権威筋」の話として、「牛には1gの脳でも感染する」と実物の量を見せて恐怖心をあおっていました。ニュースステーションのいつもの汚いやりかたです。アトピーでステロイドの恐怖をあおり、インチキ民間療法で死者も出ているのに、責任を誰一人とらない、辞任もしない厚顔無恥なニュースステーションならではです。
所沢ダイオキシン報道で裁判沙汰になったのに、まったく反省できない低能を露呈するものです。まったく同じ構図であるのも理解できないのです。恐怖心をあおるのが目的としか考えられません。
前提条件がまったく抜けているのです。1g食べて感染するなら、イギリスの牛18万頭、死者100人で済むはずがありません。WHOのデータでも、食べて感染する率はきわめて低いとされています。感染性があるかどうかの実験は食べさせては出来ないのです。
皮膚に塗ったり、食べさせても感染を成立させるのは困難です。筋肉注射や血管内注射なら感染する可能性は高くなります。WHOの報告でも、大部分は脳の中に直接接種して、感染性の有無を調べています。1gで感染するとは、これ以外の方法では考えにくいのです。

1gで感染とはウソではありませんが、前提条件抜きのマスコミの恫喝は、彼らの知能レベルがいかにひどいかを示すものです。

2001.10.04
農林水産省大臣が「(焼肉の)ホルモンは大丈夫なので、食べてきました」とピーアールしました。私には安全と思えません。カテゴリ−3と2が含まれるからです。マスコミは勉強不足でつっこみはできませんでした。もちろん、食べてすぐに感染するわけではありませんが、低い感染性はあるからです。

2001.10.18
「脳・目・脊髄・回腸だけが危険」という説があります。これは、単にどの部分にプリオンが多いかを見ただけで、感染実験ではありません。輸出するため・業者の営業目的・家畜の保護が目的の国際獣疫組織の判断です。獣医師や業者の団体です。私は、医師の団体で、人間の健康を守るのが目的のWHOを信じます。

2001.10.24
東大の教授が講演会を開き、上記の「脳・目・脊髄・回腸だけが危険」という説をひろめています。
またぞろ、東大です。立花 隆氏あたりを先端研の教授にしたあたりから、東大はおかしい。
東大の医師でもない教授の、獣疫団体の受け売りで、単にプリオンの多い部位を並べたデータよりも、WHOが、ヨーロッパにおける爆発的拡大に危機感をもって専門家を多数集め、出した冒頭のデータこそ、現時点において最も重要なものです。一東大教授の比ではありません。国際的に視野をひろげましょう。

農林水産省や政府のお先棒を担ぐ、御用学者はいりません。東大ブランドが有効なのは、極東の島国のみです。

2001.11.21
Kuruはニューギニアの高地の病気でした。加戸仁志さんからご指摘をいただきました。訂正いたします。
誤りを訂正しなかったり、隠したりすれば、医療費の三分の一が不正だとした朝日新聞や、コレステロール薬で癌が3倍の毎日新聞、ダイオキシンで少年犯罪が増えるとした立花隆、ステロイド不要論で死者まで出したテレビ朝日等のマスコミ連中と 同レベルになってしまいます。死ぬほど恥ずかしいことです。

2001.11.22追加

平成13年10月26日回収品目数
医薬品 94
医療用具   41
医薬部外品  945
化粧品    2855

圧倒的に化粧品が多い。医薬部外品もコラーゲン入り飲料やプラセンタエキス使用薬品類似物と思われる。
マスコミもスポンサーに遠慮をしてこれらを報道しない。
神秘的効果をねらった、コラーゲンやプラセンタエキスに飛び付いたのが愚かだと論評したい。業者やマスコミに振り回される、愚かな大衆を脱却してもらいたいものです。


2000.10.01
http://www.oocities.org/kawaiclinic/
〒6050842 京都市東山区六波羅三盛町170 
河合 医院

初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹

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