赤ワインブーム

  赤ワインがブームになっています。 赤ワインのポリフェノールがコレステロールの酸化を防ぎ,動脈硬化を予防するのでブームになっています。白ワインにも十分の一程度ですが含まれています。古いワインほど高分子ポリフェノールができ,抗酸化作用は強くなります。これ自体は結構なことだと思います。

 

1998年1月に輸入ボルチニ茸から高濃度の放射能が検出され,廃棄処分になっています。チェルノブイリの事故の為です。放出された放射能はまだまだ残っています。ブームの影でこの事が忘れ去られています。

 

地中に入った放射性同位元素はきのこやこけ,植物を通じて濃縮されます。ワインも同じ事だと思います。

 

チェルノブイリ関係の汚染は過去にも,トルコのナッツや北欧のトナカイの肉などの例があります。チーズは具体的な例は知りませんが,草の濃縮,牛の濃縮,さらにミルクを濃縮するのですから,可能性は高いと思われます。日本は外国には弱く,放射線の検出された場合の廃棄基準をECの圧力で下げていると考えられます。非関税障壁だからです。きわめて薄めたものが自然界で濃縮され,人間に被害をもたらした例は多くあり,水俣病など水銀中毒は有名です。

 

チェルノブイリの放射能には半減期が何千年もの核種が多くあり,数十年単位では危険性は簡単には減りません。グルメブームでヨーロッパから多くのものが輸入されていますが,不必要な放射能を取り込んでいないか心配です。

 

非常に広範囲に撒き散らされて拡散した為に,統計を取ってみても放射能の影響による被害は十分証明されないので,規制は緩やかです。しかし,利害関係者の多い政府やECの安全宣言などは信用できません。やはり,疑わしきは避けるのが賢明というものです。「健康のために」有害物質をとりこんでは,なんのためなのか解らなくなります。

ポリフェノールは抗酸化物質で,活性酸素を抑制し,LDLコレステロールの酸化を防ぎます。しかし,ポリフェノールとは多くの化合物の集合で,ポリフェノールのうちのどの成分がもっとも効果的かと言うのも解っていません。どの植物由来のポリフェノールが良いかも解りません。

本来,過酸化物や,過酸化物からできた発癌物質などをを体内に取り入れないことです。たばこがもっとも危険です。酸化した油も避けましょう。長く加熱された油で揚げた,外食のあげものや油で揚げたインスタントラーメン,フライドポテト,ポテトチップ,冷凍食品などです。背の青い魚の干物も過酸化脂質が多いので避けましょう。もちろん,コレステロールを下げれば,動脈硬化は急激に少なくなります。

コレステロールの酸化を防ぐのは,ヴィタミンE,ベータカロチン等が知られています。他に抗酸化作用のあるヴィタミンにはヴィタミンC等があります。緑茶のポリフェノールにも同じ様な作用があると思われています。植物や緑茶からこのような物質を多くとるのが理想的で,それには多くの野菜をとることです。

それが本来の姿であり,わざわざ抗酸化物質をとる必要はありません。悪い食生活をする一方で,毒消しを飲んでうまくやろうと思ってもうまくいきません。良い例は,他のページに書いてありますが,たばこのみに毒消しのベータカロチンを投与すると,かえって癌が増加しました。悪い習慣をあらためないで,ポリフェノールだけでうまくやろうとするなら,このようなしっぺがえしがあるかもしれません。ポリフェノールが心筋梗塞予防には非常に良いとしても,癌に関するデータは1998年3月現在ではありません。しかも,チェルノブイリです。

特に,若い女性が赤ワインを健康のために飲むのはばかばかしくて,話にもなりません。極度の肥満や糖尿病などをのぞいて, 閉経前の女性は心筋梗塞の危険はほとんどないからです。むしろ,女性はアルコールに影響されやすく,飲酒で乳癌が増加します。最新の指針でも,男性に比べて,許容量が半分に設定されているのはこのためです。もちろんアルコールは胎児の脳の発達に重大な影響を与えます。さらに,放射線の疑いです。おろかなマスコミやムードにながされてはいけません。

フランス人はコレステロールが高めなのに,心筋梗塞が少ないという,フレンチパラドックスが有名になりました。赤ワインのためですが,これとて,フランス人にはウイルス肝炎が多くないのに,肝硬変はきわめて多いという事に注意が向けられていないのは片手落ちです。

ポリフェノールの研究は始まったばかりで,どれぐらいの量摂取したら良いかのしっかりした報告もありません。唯一の報告では,20mg以上です。これだとチョコレートにして2g,ワインもごく少量で十分です。

日本のワインの安いものには何割かはスペイン,ポルトガル,イタリアなどの安いワインを輸入して混ぜているものがあります。規制が緩くそれでも国産と表示できます。たまに飲むワインにヤボは言いませんが,毎日飲む方は注意したほうが良いでしょう。私もたぶんポリフェノールは良いものだと思いますが.,どうしてもワインを飲みたければ,南半球産や北米産のワインがより安全でしょう。それも,少量で十分です。緑茶やチョコレート2g,ココア(できれば砂糖抜き)1杯で代用できると考えられます。

追加
98年3月,ワインを一日4杯以上飲むフランス人男性では,肝臓病と癌の死亡率が上昇するという報告が出ました。3杯以下の摂取群では心臓病30%,癌が18%位減るようです。 1998.03.06

欧米でフレンチパラドックスがもてはやされているのは,心疾患の死亡率がフランスより高いからです。 フランスの心疾患死亡率を調べてみました。日本の方がずいぶん低いのです。フランス人が日本の食生活を模範にすべきであり,逆ではありません。十分な裏付けの調査もせず作られた,流行に乗せられた新聞記事を盲信してはいけません。


1998.03.01
http://www.oocities.org/HotSprings/4347/
〒6050842 京都市東山区六波羅三盛町170 河合 医院

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