腰痛について、イギリスで、具体的なエビデンスが出ました。
腰痛が長く続くと、何か悪い原因が隠れていないかと心配になるものです。 腰痛が治療にもかかわらず、6週間以上続いている人を二グル−プに分けて、一方はそのまま放置し、片一方はレントゲン検査を行い精査しました。両群の3月後と9月後の疼痛のアナログスケールによる評価と患者の満足度を比較したものです。
3月後の疼痛尺度は、レントゲン実施ぐんがに対し、未実施群は3で明らかに未実施群がよくなっていました。つまり、検査をして真実が明らかになったほうが結果は悪いということです。
9月後には両群に差はなくなりました。
患者の満足度は3月後では差がなく、9月後にはレントゲン実施群では満足度は高かったそうです。
異常の発見率は実施群で69%で、椎間板や椎体の変性・変形が主でした。これらの所見は治療方針に影響することはまずありません。症状が悪くなったのは、心理学的要因です。
何でも暴き立てて、白日のもとにさらすのが世の中を良くするなどという主張がよく見られます。 こういうのは、レベルの低い人間の主張です。人間というのは、そんなに単純ではないのです。
嫁姑の関係が悪い家族がいるとします。
たいてい家族が責められ、「犯人探しが」されます。
嫁に対し、「お前は鬼嫁だ、地上から消えてしまえ。」と責めたところで、自体は解決するどころかかえって事態が悪化します。
誰かを悪者にして性格的欠点をあげつらっても、解決しないことのほうが多いのです。
真実を暴けば済むものではありません。
性格の組み合わせが悪いだけで、逆ならうまくいくはずだと思えたり、疲労している家族のために、一時的にヘルパーや施設入所で時間をかけると解決することもあります。
福祉や医療とは、効率性や善悪論で単純に解決することではありません。
軽度な幼児虐待に悩む親を、「お前は悪人だ」と責め立てて、刑務所に入れれば、困るのは幼児や家族かもしれません。かえって家族関係が崩壊するのです。援助やサービスの提供とカウンセリングで変容できるならそれがベストです。嫁・姑関係でもどちらかが一方的に悪人とは断定できないこともあります。
犯人探しが人間関係で常に正義であるどころか、かえって事態の悪化を招くことはよくあることです。ここらあたりが、マスコミには理解できないのです。いつも、犯人探しです。
朝日など、盛んに医療は「サービス業」であるから、患者の満足を最大にするよう努力すべきだと医師攻撃を行います。しかし、責任回避で患者の要求どおりに行い、事態が改善するどころか悪化することもあるのです。
患者の満足が医学的に・科学的に間違っていることは多くあります。
いんちき健康食品や、驚異の効果XX、みるみるガンが治るXXなど患者の初期満足度は高くても、効果はありません。
マクドナルドのアルバイトと、医師を同列に扱いたいのが朝日なのでしょう。医療や福祉は受益者と提供者の共同作業であり、患者が一方的にサービスや満足を受ければそれでよいというものではありません。
いつまでも非科学的いんちきな癌療法等の宣伝を、第一面に載せて平気な営利主義の大新聞の倫理感覚を疑うものです。
2002.04.01
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