Kenny`s ウェ・マガジン From Toronto,Ontario
2005年2月  
By ケニー吉岡(ブルースハープ・プレイヤー)


寒さがいつになく厳しかった一月が終わったものの冬はまだまだ続く。カナダで暮らす我々には暗い季節だ。家の中にこもる時間が自然と多くなり、最近では読書量がしきりに増えるのだが、蔵書に限りがあるので同じ本をくり返して読むことに、、。

ジェイ・クラーク&ザ・ジョーンズがメンバー・チェンジ。ドラムにもとケンジントン・ヒルビリーズ、ザ・シャベルズで活動していたショーン・ディグノンが参加。彼は僕らの数年来の友人でついに一緒に仕事をすることになったという感じだ。新しいラインナップによるギグは2/5(土)Lee`s Palace(Bloor & Bathurst)、2/26(土)Cadillac Lounge(Queen & Dufferin)

一月のある火曜日、恒例のJames Joyceでのギグ。相棒マイク・オグラディのルームメイトが婚約したということで祝宴をあげる。アイリッシュ・カー・ボムなる(物々しい名前だが)一気飲みカクテル2杯にて木っ端みじんに砕ける。なんでもショット・グラスに注がれたジェイムソン(アイリッシュ・ウィスキー)とベイリーズとのカクテルをギネスの半分入ったパイント・グラスに乾杯のかけ声とともドボンと沈め、後は一息で飲み干すというものだ。家にたどり着く前に白い雪の上に嘔吐すると非常にみじめな気持ちになる。さすがに翌日気分が優れなかったことは言うに及ばず。

二月はじめ、にわかに悪寒がし出しその後丸二日ほど床に臥せる。土曜日のLee`s Palaceのギグはどうしても休むわけには行かず。体にむち打ってハーモニカを鳴らすことになろう。

先日ジェイムス・コットンのVerveというレーベル時代のベスト盤というもののコピーを聴いた。まだ彼のヴォーカルが十分にきける録音で、何故かソウル、R&Bよりの曲が多くなかなか楽しめた。コットンのヴォーカルの最良の時期と言っても大げさではない。またリトル・ウォルターの"Off The Wall"のカヴァーも収録されていたのだが、これもコットン節炸裂で素晴らしい。あの太いトーンは彼だけのオリジナリティと言っておこう。

ファビュラス・サンダーバーズの昔のCDをふと聴き直す。キム・ウィルソンと言えば僕は現在世界のベスト・ハーピストのひとりと断言する程レスペクトしているプレイヤーなのだが、初期の作品はまだまだ青いではないか。彼にしてみれば汚点(密かに回収してテキサスの大平原のどこかに埋めたいのでは)と言える程軽い音質のハーモニカ・パートを数曲見つけた、、、(少し誇張しただけで、後からもう一度聴いたらそれ程悪くはないと、、一応のフォロー)。僕のトロント初期のレコーディング、最初の教則本の演奏など今聴くと耳を覆いたくなるものがあるのだが、まあ発展途上の段階だということで、反省材料としておこう。

アイス・ホッケーの国カナダ。しかし野球ファンも思いのほか少なくない。イチロー、松井の2人の大物日本人メジャー・リーガーが仕事先のバーでの話題にのぼることもよくある。先駆者の野茂を含めて彼等の偉業は賞賛に価するのは疑う余地がないが、あえてひとこと言うなら、既に日本に戻ってしまったマック鈴木にも同様またはそれ以上の敬意を表したい。それは他ならない通訳に頼らず彼自身英語を学びコミュニケイションをとり道を切り開いたという点である。海外生活を経験した人なら誰でもその苦労がどのようなものかがわかるだろう。数年前彼が10勝を挙げた時は、イチローが前人未到の記録を打ち立てた時の何倍も嬉しかったように記憶している。

何故野球の話になったかというとたいした理由はない。ギグの帰り道地下鉄の中で、近所に住むメジャー通のカナダ人の友人と今年のシーズン予想など野球談義が始まった。トロント・ブルージェイズの2シーズン連続制覇が92、93年。僕がトロントに来たのが94年であるからして彼曰くBad Luckを日本から持ってきたと、、。2年前のハラディ、デルガドの活躍を除けば今はパっとしないチームで、今年もそれほど期待できるわけではないのだが。

今回は趣向を変えて自由にとりとめのないことを書いてみた。時には変化が必要なのだ。

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