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音楽-1

目次

≪ブラジルの音楽≫

僕の部屋の迷盤/名盤

'83とアイリッシュ・ロック

ギターが上手くなる方法

CDを3枚購入。98.7.26


 

■≪ブラジルの音楽≫…

例えば坂本龍一がアルバム SMOOCHY. のときに、ブラジル音楽をはじめ南米の音楽にとてもアプローチしてきたでしょう。僕は違う方向からブラジルの音楽に入っていっていたから、そのときはたいへん嬉しかった。

僕には楽曲の『楽典』の教科書的な(という比喩でいいのかな)分析とかは出来ないにしても、そのボサノバあたりが、印象派にも通じるようなとても複雑な和声の体系を持っているなという位は、感じるじゃないですか。

それが、坂本氏が指摘していたところによると、その二者には実際的な繋がりがあったらしい。
すなわち、20年代のフランスの印象派の連中なんかの影響を、まずVILLA-LOBOSあたりがブラジルに持ち帰る。で、ジョビンあたりはその影響下にあって、つまり間接的ではあるけれども印象派の影響を、受けつつ、音楽をつくって、あのゴールデン・エイジをつくりあげる。

VILLA-LOBOSは先輩の方にテープに採っていただいて聞いたことがある。一言でいうと「映画音楽的」で、それはつまり「映像=image的」→「印象派的」なのであると、簡単に解釈しておきましょう。

そんなわけで、もともとが、「エロティックな」とでも表現すべき、複雑な和声系を好きだった僕なので(世の中で最もエロティックなものは音楽です)、ボサノバっていうのもそこから入っていって、そしてそこで得たことのひとつは、ようやく「歌」というのが素直に耳に入ってくるようになったこととか。

Caetano Velosoの、まずその声に惹かれちゃいました。つぎにその歌詞。意味のあるようなないような、文字どおりに「詩的」なもので、必ずしも「意味を伝達するものとしての音楽」でない姿勢が気に入りました(*1)。加えて、歌われるポルトガル語の美しい響き!。思わず僕は白水社の『ブラジルポルトガル語の入門』を買って勉強を始めてしまいました。

ところで、そのCaetano Velosoの CIRCULADO VIVO の参加ミュージシャンでもあり、アルバムを一緒にプロデュースしている人でもある Jaques Morelenbaum は、坂本龍一の新作 1996 でチェロを弾いているひとに他ならないことに、お気づきでしたか?。



(*1) 「マラルメは、言葉が音楽に接触する、その境界面上におこる出来事の探求に、没頭した。音楽との接触面に近づいていけばいくほど、言語の構造性は、解体にさらされていくが、そこにポエジーが発生するのだ。詩の言葉は、まるで「夜の音楽」のように、宇宙的なもの、ピュシス的なものへの接近を、こころみているのである」/中沢新一『純粋な自然の贈与』p.123。


■僕の部屋の迷盤/名盤

音楽には何が必要か、という問いに即座に答えるとすれば、それは「自由であること」の一言に尽きます。あらゆる呪縛、足枷、通念、プロトタイプ、クリシェ、常識、あるいは非常識からも自由に、音楽とは ≪鳥のように≫ 垂直に舞い上がる、ひとつづきの運動体なのです。

なかでも「言語による呪縛からの自由」は、とくに重要なことであると言えるでしょう。その時に触れた中沢新一の本には、言語による芸術がいかに言語という系によって擁護されているか、逆に音楽という媒体が本質的に実体を持たず系を持たず、安定しえないことから、音楽家という人間がいかに危険な(critical=臨界的な)場所に身を置いているかが、対比的に語られていました。それはともかく、最近のポップソングをみても、言葉と音楽の関係として、ある種歌詞が意味をなさぬようになってきているのは、そういう意味では必然であり、健康なことなのだと感じています。小林武史かんけいの歌詞はまさにそうですし、『アジアの純真』はすこし感じは違うけれどもそっちの類、コムリー哲哉氏の場合には、殆ど歌詞と呼べるレベルでありません。また、サザンオールスターズはそうした状況に先輩として負けじと、『愛の言霊』なる、面白い歌を歌ってみせます。

…話を「自由さ」に戻しまして、やはり「途方もない自由さ」として、「グレゴリオ・パニアグワ」の、右に出るものは居ないでしょう。『古代ギリシアの音楽』、いったいどれだけの信頼できる史料が残っているものか、説明には「少しの想像力で補って」というようなことを書いてあるけれども、99%は、彼の途方もない想像力によって成り立っているCDに他ならない。これはまあ、「名盤」であるというよりは「超・迷盤」であると、認識しておくべきものでしょう。
このアルバムを「聴いたときの衝撃は、今でも忘れることが出来ない」とは、浅田彰氏の弁ですが、初めてパニアグワを聴く向きには、このアルバムよりも、『ラ・フォリア』のほうが、よりポップな感覚で理解しやすいものと思われます。

また、僕がArto Lindsayを好きなのも、結局はその「自由さ」に関わることなのですね。彼が一本のギターという楽器を手にする。ところが彼はそれをもってコードを弾こうと考えもしなければ、メロディーを弾くことを試そうともしない。ただその圧倒的な「自由さ」によって、そこに張られた金属の弦をはじくことによって、時空を切り裂いていく。金属音というのは歴史的にみても非常に異端なもので、そのぶん「現代的な」音でもあります。その意味でのアルバムとしては、Peter Scherer & Arto Lindsay, "PRETTY UGLY" (徳間ジャパン)。


■ '83とアイリッシュ・ロック

そんなわけで古い曲のオン・パレードな近頃のFMなのであるけれど、今日はそんななかでU2の "New Year's Day" が掛かっていた。こんな80年代の音楽には70年代程の違和感は感じなくて、このアルバム "WAR" が、今から13年も前の、'83年のものであると聞いて、驚くことひとしおである。
うーむでもそういえば'83年というのは、僕が今でも聞いている音楽が結構作られている時期でもある。

例えばTHE GOLDEN PALOMINOS、及び、LOCUS SOLUSのような、ジョン・ゾーンやアート・リンゼイが中心になって作っていた前衛的なもの。
THE LOUNGE LIZARDSも'83年だったかも知れないし、もしかしたらAMBITIOUS LOVERSの最初のアルバム(ENVY)も、この年だったのでは?。そうすると結構多産な年だったのね。

ところでその冒頭のU2っていうのは、まあ確かに世界的なロック・グループであるわけ。どういった意味でそれがロック・グループであるかというと、ロックってのは本来カウンター・カルチャーであるわけですよね。そこにきた彼らは、アイルランドっていう暗い影を背負って出てきているわけなんだよね。アイリッシュであることのこだわりを彼らは決して捨てなかった。
わりと新しいヴィデオ "ZOO TV" でも、湾岸戦争の爆撃指示をするジョージ・ブッシュの映像をコラージュして、非常に皮肉で、非常に政治的で、非常にロックな、ヴィデオに仕上がっていた、というわけで、

WE, WILL, ROCK YOU.

 ☆

その後調べてみると、THE LOUNGE LIZARDSは'81年、ENVYは'84年でした。結構違ってました。
でも'83年というと、これも違うかも知れないな、'84年かも知れないけれど、The Art Of Noiseのデビューシングル、INTO BATTLE WITH THE ART OF NOISEが発売された時期でもある。
クリサリスに移籍以降の彼らは全く面白くなくなってしまったけれども、ZTT時代のは今でも好きです。特に、ファン・アイクをさりげなくジャケットに使っちゃったりしたこの12"シングルなんかはやはり傑作でしたね。


■ギターが上手くなる方法

日曜日の14字の山下達郎『サンデーソングブッヒュ』ハトテモオモシロイ番組なのだけれども、今集の放送で彼が「ギター(楽器)が上手くなる方法」を、伝授していたので、ここに採録。

いはく、彼は20、21の頃、バンドでやってたころ、リズムが「ハシル」(刻むリズムに対して前へ出てしまう、rushする)クセがあった。それが20大の鋼板に、村上秀一、オカザワアキラ、坂本龍一、マツキツネヒデ(?)といった「超一流の」リズムセクションとライブをやっているうち、彼らのバイブレーションが伝わり、自分のリズムが落ちついてきた。「上手い人とやらなければダメなのだ」ということが、その溶きにすごく良く分かった。

つまり、上手い人とやりなさい。プロとやりなさい。
という古都でした。


 

■CDを3枚購入。98.7.26

土日の出勤用に(?)、CDを3枚購入。
1. Tango Brasileiro! / Izumi Tateno, piano
2. K.K.K.K.K. / Kahimi Karie
3. CANVAS IN VIGOR / 山下洋輔

1. Tango Brasileiro! / Izumi Tateno, piano
例によりまして、南米の音楽には引き続き興味がありますので、たまたま見つけたこのCDを購入。(…近頃、あまり文章に目を通していないせいか、何かの続きとしてCDを買うことが少なくなって、店で偶々見つけたものを買う、ことが多くなっている。あまり良いことではない。)
これはナザレスというブラジルの作曲家の、ピアノのためのタンゴとワルツ集なのだけど、レコーディングやレコード会社はフィンランド、ピアニストは日本人、ドイツ製、という、不思議なCDであります。

2. K.K.K.K.K. / Kahimi Karie
レコード屋さんで大きなポスターが出ていたのでこの新しいアルバムのことを知り、小山田君と仲違いしたあとの彼女はいかがなものかと購入。最近ちょくちょくFMで掛かっていたのもこのアルバムの先行シングルであったと判明。

3. CANVAS IN VIGOR / 山下洋輔
久しぶりに山下洋輔を聞こう!とか思って、どれにしようかなーとCDを見ているうちに、曲目の中にジョビンのSURFBOARDを見つけたので、これにしました。
SURFBOARDはとてもいい曲だわあ。この曲は一人でピアノで弾くことはできるのだろうか。こういう曲を弾けると気持ちいいと思うのだけれどもなあ。
このCDはラスト曲がM.WaldronのSoul Eyesでありまして、なかなか豪奢なセンチメンタリズムであります。Good。

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最終更新日00/11/09