研究計画書

 

 

ぺトラ・カルロヴァー

 

 

 

題目:20世紀初めの日本・インドシナ関係

 

 

1.            研究の背景

私はこのテーマを選んだのは、日本学科で修士課程を終了した後、ベトナム学を勉強し、日本とベトナムの関係の歴史に興味を持ったからである。早稲田大学アジア太平洋研究センターの教授白石正也は、20世紀前半の日本・インドシナ関係を研究し、そのテーマの中で、Đông Du(東遊)というベトナム民族運動に着目した。それに対し、本研究は日本対外政策を出発点と見、東アジアの国際状勢に基づき、日本・ベトナム関係を考察する。

日本・インドシナ関係の出発点は、19世紀の終わりに極東において日本が強くなってきたことである。当時、日本はヨーロッパ並びにアメリカによって支配されていないアジア唯一の国であった。他の国と同様に不平等な条約を結ばされ、すぐに自治権を取り戻すように努力し始めた。日本人は欧米列強の地位に達するために、西洋学問を勉強していた。日清戦争1894-1895)は日本の成功の証しになり、ヨーロッパの人々が初めてアジア民族に感心を持った。この新たな地位は日本を極東の植民地競争において英国・フランス・ロシア・ドイツ・米国の潜在的なライバルにしてきた。他方では、日本はアジアの民族の教師になり、学校を開校したり、指導員を送ったりし、朝鮮、中国などの国へ自国の影響を拡大した。同時に、多くのアジアの学生が日本に留学していた。

 来日した留学生の中に、数百人のベトナムからの学生もいた。当時ベトナムが仏領インドシナの一部であったので、フランスの植民地の政府は、教育を得る彼らの希望を支援したことはない。それどころか、ベトナム人を外国へ行かせないように努力していた。実は、日本はフランスにとって直接の脅威でなかったが、海軍の強国である英国の同盟国(1902年より)だったため、フランスを強く警戒させた。相対するこの2つの視点は日本・フランス関係、あるいは日本・インドシナ関係の主な特徴である。

この時期、日本政府は対外政策を自国の安全に集中させていた。すなわち、日本列島の直接の支配権を握るように努めていた。ある場合は(例えば、台湾、朝鮮などの場合)、その目的ために軍事力も使った。しかし、20世紀初めの日本には、ベトナムの民族が要求する軍事援助については、意志も能力もなかった。それ故に、日本人とベトナムの人々の接触はベトナム人の留学生に日本の学校で教育を与え、経済援助することだけにとどめた。東遊運動)

 

2.研究目的

本研究の目的は以下のとおりである。

1. 20世紀初めにおける本とインドシナ、すなわち、日本とフランス・日本とベトナム民族がとった以下のような外交行為の理由を考察する。

Phan Bôi Châuファン・ボイ・チャウ)というベトナム人の愛国者は母国を独立するために、来日し、大隈重信などの日本の政治家に軍事力援助を要求した。しかし、その時、大隈が日本政府の決定に影響を与えず、ベトナム人を助ける直接理由もなかったので、日本人・ベトナム人関係は個人的な性質であった。つまり、日本人の政治家の考えと個人的な行為が日本対外政策とまったく異なった場合もある。

 それに対し、日本・フランス関係は東アジアの国際状勢(特に中国の問題)を反映し、日本とフランスの政府が行った対外政策を表した。

2.日本の政治家がベトナム人を助けた理由を明らかにする。

その理由は日本国内政策の発展と日本対外政策における彼らの見込みと繋がっている。その時には、日本の拡大について2つの意見があった。一つは、日本が朝鮮を経て、満州、北中国などへの北方の拡大を実施することである。もう一つは、台湾・中国南東部の福建などの足場に南方へ拡大することである。しかし、もちろん20世紀の初めに、日本はインドシナに拡大する可能性がなかった。

3.欧米列強が日本・インドシナ関係に与えた影響を調べる。

日本もインドシナも欧米列強の植民地競争が行われた東アジアにあるため、欧米列強の行為がその関係に影響したことは当然である。この影響は各国の対外政策だけに限定されず、東遊運動と日本で滞在しているベトナム人へも衝撃を与えた。

 

3.            研究の方法

本研究は日本・フランス・英国・ベトナムなどのさまざまな史料に基づいている。

最初に、世界の中に日本とベトナムの国際状勢を研究する。より正確に言うと、フランスの植民地であるベトナムの状勢、東洋強国になってきた日本の状勢とその背景ということである。

次に、日本の政治家と来日したベトナム人の関係で特徴を調べる。この研究の為に、ベトナム語で書かれたファン・ボィ・チャウの日記・日本政治家の日記などを利用する。

最後に、東アジアに関する国際条約・東アジア国際関係を研究されている論文などを集め、日本・インドシナ関係にロシア・英国・フランス・ドイツ・アメリカなどの列強の影響を明らかにする。