台湾(その2)


1999年から2001年の間に何度か台湾へ行ったときの話色々です。

でこぼこの歩道

台北の歩道
映画「ラブゴーゴー」より
私が初めて台湾へ行ったとき、一番最初に遭遇した事件は何かと言うと、それは歩道でつまづいて転んだ事。いや、本当。馬鹿みたいなんですけど。台湾の商店街の歩道というのは、かなりでこぼこしています。初めて台湾へ行く日本人で、おっちょこちょいの人なら、絶対つまづいて転ぶと思う。

何故台湾の商店街の歩道がでこぼこしているのかと言うと、その理由は、台湾の場合、歩道というのは商店の建物の一部だからです。つまり、隣同士の商店の軒下を連ねることによって、屋根のついた歩道にしているのです。だから歩道の部分も商店の床の延長で、それをどういう設計にするのかは、それを作る各商店が勝手に考えるので、ある店はタイル張りだったり、ある店はリノリウムの床だったり、それぞれまちまちのデザインで、高さもまちまちで、だから繋ぎ目が全部段差になるのです。

これは台湾のどの都市へ行っても同じですが、唯一の例外は花蓮で、この街だけ石を敷き詰めたピカピカ真っ直ぐの歩道でした。これは台湾の習慣なのか、あるいはそのように義務付けられているのかどちらかだと思う。これと同じスタイルはマレーシアなどでも見られ、マレーシアの場合は、日中の突然のスコールを避ける目的で、商店の軒下を歩道として提供するように旧植民地政府が義務付けていたそうです。

右の写真は映画「ラブゴーゴー」から。典型的な台北市街の歩道の風景です。ただ、この写真では段差がほとんど見えていません。

台南担仔麺

台南で有名な食べ物と言えば、台南担仔麺というのがあります。これは台南以外でも、台湾のあらゆる所で似たような店を沢山見掛けます。台南で有名な度小月という店へ行きましたが(場所はガイドブックなどによく載ってます。)、最初注文の仕方がよく解らなかったんですが、これは先ず2種類ある麺のうちどちらかを選び、その後、上に乗せるトッピングを幾つか好きなものを選びます。目の前に並んでいるので「これとこれ」と言って指差せばいいです。私が行ったときには若い兄ちゃんが店員をしていて、選んだトッピングによって値段が変わってくるので、「これで幾ら?」と北京語で訊いたら、兄ちゃんは「いくらいくら」と台湾語で答えました。解らなかったので、もう一度北京語で聞き返したら、兄ちゃんは、「全く、台湾語が解らねえなんて、しょーがない奴だなあ。」という顔をして、やっぱり台湾語で答えるのでした。彼も当然学校の教育は北京語で受けている筈だから、北京語が出来ない筈はないのですが、丁度その頃、台湾では総統選挙を控えていたので、台南あたりでは台湾人意識が高まっていたせいかもしれません。当然彼は、陳水扁に投票したと思う。ちなみにそのとき覚えた台湾語、「ゴーザップ」(50のこと)。

虱目魚粥

虱目魚粥 もう一つ、台南で有名な食べ物と言えば、虱目魚があります。白身の魚ですが、これはほぼ台南でしか食べられないようです。台北でも華西街の近くで見つけて食べてみましたが、美味しいけれど少し生臭い感じでした。しかし台南で食べたものは、もう口の中がとろけそうなくらい、めちゃ美味しい。これは日本で言えば、小樽で食べるウニやイクラと同じかもな。

ちなみに台南で私が行った店は、小西門ロータリー近くの、永華路が西門路にぶつかる手前辺りにある店。店のオバちゃんは、私が日本人だと判ると、北京語でとてもゆっくり話してくれました。多分普段は台湾語で話しているんだと思うけど。

阿宗麺線

阿宗麺線 麺線というのは、台湾屋台の代表的メニューの一つ。私はこれが気に入っていて、夜市に行ったら必ず食べてます。ところでこの阿宗麺線は、台北の西門町にある麺線の専門店です。西門へ行ってみれば、この店の前には常に長い行列が出来ていて、店の前では右の写真のように人が沢山立って食べてます。玫瑰唱片の前の広場で座り込んで食べている人も沢山います。それも若い男女がこんな風にアベックで食べているのが多い。台湾のタウン誌などを読むと、「まるでモルヒネが入っているかのように、一度食べたら止まらない、この謎のスープが美味の秘密…」などと書いてあります。で、実はこれ、食べてみると判るんですが、これはなんと、カツオのダシのスープです。カツオダシというのは、中華の世界では意外と謎の味なのかもしれない。日本でこれを再現しようと思ったら、まずカツオと鶏がらのスープで豚の大腸の細切れを煮込んで、そこに極細の素麺(「揖保の糸」あたりが良いと思う)の柔らかめに茹でたのを入れ、最後におろしニンニク、トウバンジャン、カツオブシ、香菜などを乗せれば似たようなものが出来上がり。いや、でも香菜は日本では入手困難かもしれないな。ちなみに大碗50元、小碗35元。

平溪線

戀戀風塵
「戀戀風塵」
映画「戀戀風塵」のオープニングシーン(右の写真)で使われているのが、台湾の東北部を走る鉄道、平溪線です。この映画は、平溪線の「十分」駅周辺を舞台としているため、映画の中に何度もこの鉄道が登場します。とても風情のあるローカル線で、台北からも日帰りできる距離なので、地元でも人気の観光コースになっています。

<平溪線を紹介しているウェブサイト>
39cafe http://www.39cafe.net/ 平溪線沿線の美しい写真が沢山あります。
平溪戀曲 http://w3.tlsh.tp.edu.tw/www/PC2/
106運煤台車 http://pin-shi.24cc.com/

  • 端芳
    平溪線の基点は侯硐ですが、台北から行くには、ひとつ前の端芳で乗り換えると良いと思います。
    列車の本数は、下り列車で1日に16本、約1時間に1本くらいあります。始発駅は列車によって異なり、端芳からが8本、基隆1本、八堵4本、侯硐3本です。端芳始発が最も多く、侯硐始発以外は端芳からも乗れます。

  • 大華
    線路を歩く人々。平溪線
    突然列車が来る。

    (危険かも。)
    平溪線
    平溪線は、列車に乗っているだけでもいいですが、適当な駅で降りて周辺を散策すると面白いです。私は大華で降りて、次の十分まで線路沿いに歩きました。

  • 十分大瀑布
    十分大瀑布
    平溪線
    大華と十分の中間あたりの線路沿いに、十分大瀑布という大きな滝があります。しかし滝を見るには、入場料NT$200を払わないといけません。入り口には台湾人が数人立って、入ろうかどうか迷っていたりします。200元払う価値があるかどうかは私もよく判りません。

    十分大瀑布を過ぎて十分の駅へ向かうには、橋を渡って行きます。

  • 十分
    十分 まるで家々の軒下を電車が走るような十分の街。この辺りが一番面白いです。

    映画「戀戀風塵」は、十分の街が主な映画の舞台になっているので、この駅が映画の中に何度も登場します。映画の最初のほうに、二人が駅から降りて線路を歩くシーンがありますが(右の下の写真)、線路を歩く人が多いのは、このシーンが印象的だったからだろうか。
    戀戀風塵
    「戀戀風塵」

  • 平溪
    平溪 細い川の周りに集まる温泉街のような平溪の街。ちょっと九份に似たような雰囲気の街で、台北から来たらしい若い人達がぶらぶらしていたりします。

  • 菁桐
    菁桐 平溪線の終点駅、菁桐。廃墟のような雰囲気の駅です。
    帰りは、ここから再び平溪線に乗って帰ってもいいですが、菁桐駅近くのバス停から木柵へ行くバスに乗れるので、地下鉄木柵駅までバスで帰ってもいいです。

基隆

基隆 基隆は、昼間に来るとどうってことない場所ですが、夕方から夜にかけて港の景色がきれいです。特に港の前にある歩道橋(右の写真)は何か不思議な雰囲気で、ここにはいつも誰かしらボーっと立って港の景色を見ていたりします。映画「最愛の夏」で、リー・カンイ(李康宜)とファン・チィウェイ(范植偉)の二人が朝まで港を見ていたのもここ。

また、基隆は夜市が良いです、ここでしか食べられないのが、奶油螃蟹というカニとバターのホイル焼き。これはNT$200と値段も高い。他にも螃蟹羹というカニのトロミスープなども名物らしいです。


2001/8/4

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