都市成長境界線とは何か? I 都市化保留地域とは何か? I 日本の線引き制度への示唆 I 都市成長境界線拡大の意思決定プロセス 境界線の制度は、1971年に策定されたオレゴン州の土地利用プログラムの一貫として始まり、1973年の州土地利用法によって、各自治体に義務づけられました。ポートランド地域では、メトロの前身のCRAGが1977年に行った提案が1979年にメトロ議会で承認、1980年にオレゴン州土地保全開発委員会(LCDC)に認可されたのが始まりでした。現在、メトロは3郡の都市部と24市にまたがるポートランド地域の全ての境界線を管理します。その総延長は320キロ、境界線内部の面積は943平方キロです。(→地図) 1979年に最初の境界線が設定されて以降現在に至るまで、アメリカおよび地域経済が低迷し、新規開発もあまり発生しなかったため、議会による境界線の変更(後述)は行われていません。しかし、1990年代前半からの急激な地域成長は多くの土地開発需要を引き起こしているため、1996年より議会による境界線見直しの検討が行われてきました。この検討は、メトロを中心に、自治体、住民、環境グループ、産業などを幅広く巻き込んで行われてきましたが、1997年10月23日の議会において、現時点の試算による住宅用地約29,000戸分の不足(業務開発用地の不足はほぼゼロ)を収めるのに必要十分な1,600〜1900ヘクタール(4,100〜4,800エーカー)の拡大が決定されました(→決定プロセスはこちら)。注意すべきは、この決定が幅を持った総量だけを定めたものであり、具体的な位置は決まっていない点です。今後、開発を希望する全てのデベロッパーはマスタープランを作成しメトロの承認を受けねばならず、このプロセスを経て位置指定が行なわれるのです。拡大面積に幅があるのは、マスタープラン作成に柔軟性を持たせる工夫です。
境界線の(拡大を含む)変更は、メトロ、自治体、土地所有者が提案することが可能であり、法律的には以下の4つの方法があります。しかし、議会決定された(1)の手法による初めての拡大が約1,600〜1,900ヘクタールであるのに対し、過去18年間の(2)〜(4)での拡大が合計で約800ヘクタールであったことを比べると、(1)の方法が他の3つに比べてはるかに重要であることを意味します。
ポートランド地域を始めとするオレゴン州での境界線導入による都市成長管理の成功に倣って、シアトル、サン・ディエゴ、メリーランド、マディソン(ウィスコンシン州)でも同様の試みが行われています。
都市化保留地域の制度によって、住民は都市拡張に最適である地域を選定することができ、開発業者は新規開発にともなう許認可などの不確定要素を減らすことが可能です。また、投機的な土地取引を減らす効果もあります。個々の都市化保留地域の範囲は土地課税区画線に一致し、河川や排水溝、氾濫源、標高線、地形、道路、土地課税区画線、送電線などに基づいて指定されます。都市化保留地域内部のゾーニングは田園用途のままですが、境界線に取り込まれる際に整然と効率的な都市サービスを供給できることを保証する注意が払われます。そして、都市的なゾーニングが指定されるのは境界線内に含まれてからになります。
州法に規定される都市化保留地域の指定条件は、以下の通りです。
なお、数字を比べれば明らかなように、全ての都市化保留地域を編入するわけではありません。この議論が地域住民の保守的な価値観をどれほど強く反映しているかを示すために、2つの都市の例を挙げます。ミネアポリスは32,000ヘクタールを都市部に加え、81,000ヘクタールを都市化保留地域に指定しました。デンバーでは43,000ヘクタールを都市化予定区域に指定しました。
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