「企業は悪」 社会主義に親しみ

朝鮮日報 2004/05/09 19:56

平等主義という“麻薬”を断ち切ってこそ国が蘇る

 国民の49.3%が企業に対し悪い印象を持っているという。「良い」という意見は39.9%に過ぎない。民主労働党の総選挙の公約である「富裕税」に関しては「賛成」(62.3%)が「反対」(26.5%)をはるかに上回った。現在の経済状況に対する朝鮮日報・ギャロップの世論調査の結果だ。

 外国資本の国内企業の買収については「賛成」(38.6%)より「反対」(52.8%)がはるかに多かった。反面、国内資本の外国企業の買収に対しては賛成(77.1%)が反対(14.6%)より圧倒的に多かった。

 しかしより注目すべき部分は、韓国の体制の根本に対する国民の認識が変わっているという事実だ。

 資本主義の市場経済については「良い体制」(59%)という意見が「問題ある体制」(36.6%)という答えを上回った。しかし1年前の調査で「良い体制」72.2%、「問題ある体制」27.6%だったことと比較すれば、韓国国民の見方が速い速度で“左”に移動していることが分かる。

 国民の経済観が親社会主義的、親分配的、親平等主義的に流れているということだ。市場開放という世界経済の流れを拒否する閉鎖的民主主義の情緒とも感じられる。

 実質的な原因は外貨危機以降に拡大した貧富の差と不況の長期化だ。ここに現政権発足以降、政界と親政府メディアが執拗に「豊かな者とそうでない者」、「学のある者とない者」を分け、このような格差と葛藤を選挙戦略に利用して拡大再生産するという結果に拍車をかけたのだ。

 分かりやすく言えば、大衆迎合主義(ポピュリズム)的政治指導者が出現する南米型の社会的雰囲気が整ったといえる。このような国民情緒の上で国家競争力を育て、資本主義の市場経済を花開かせるのは不可能だ。

 このような状況では大衆迎合主義の政治家と平等というスローガンの麻酔を打たれた国民が結合することになりやすく、その結果、企業と財産家は海外に抜け、街中には失業者が溢れる下方的標準化という国家没落の道を歩むことになるだろう。

 国と国民の未来は、この国の政治指導者らが下方標準化に傾いている大衆の情緒に迎合するか、あるいは平等主義という“麻薬”を断ち切ることだけが国が再び立ち上がる道であることを国民に説得するかにかかっているといえる。