公務員「もらいすぎて覚えてない」

朝鮮日報 2003.11.20(木) 20:22

収賄容疑の公務員「もらいすぎて覚えてない」

 「あまりにもたくさんの賄賂(わいろ)を受け取ったので、誰からどんな理由でもらったのか覚えていない」

 20日、収賄容疑で蔚山(ウルサン)地検で拘束された蔚山市上水道事業本部のノ某(46/6級公務員/係長)容疑者は自分の具体的な収賄の内訳さえ分からない程、頻繁に賄賂を受け取ったと検察で陳述した。

 この日、ノ容疑者を拘束した蔚山地検・特捜部の柳?(ユ・ヒョク)検事は「ノ容疑者は98年9月から2001年8月まで蔚山市総合建設本部に勤務しながら、ほとんど毎日10万から100万ウォンの賄賂を受け取り、親戚名義など7つの借名口座を開設して入金するなど、月平均2000万ウォン程度の賄賂を定期的に受け取っていたことが分かった」と明らかにした。

 検察はノ容疑者が借名口座に入金し管理してきた3億4000万ウォンが賄賂により形成された財産であると見て、預金全額を没収し、追徴保全措置を取った。
 
 この日、同様の疑いで拘束された蔚山市清掃施設管理所のチェ某(39/8級公務員)容疑者も、蔚山市総合建設本部に勤務していた98年9月から2002年2月まで、施工会社から各種の便宜を提供する見返りとして6000万ウォン程度の賄賂を受け取ったほか、工事現場の簡易食堂「ハムバジプ」の運営権を上納させ、愛人にこれを運営させた疑いが持たれている。

 蔚山地検・特捜部は20日、ノ容疑者とチェ容疑者ら蔚山市の公務員4人を収賄容疑で拘束し、金某(41/7級公務員)容疑者に対し同様の容疑で拘束令状を請求した。

 また、工事の便宜を図った見返りとして賄賂を受け取った釜山(プサン)の国立釜慶(プギョン)大学の6級職員 ホ某(48)容疑者を拘束し、済州(チェジュ)大学・元事務局長の李某(61)容疑者に対しても同様の疑いで拘束令状を請求した。また、賄賂を渡した施行会社の関係者7人も書類送検した。

蔚山=金学贊(キム・ハクチャン)記者

中央日報  2003.11.21 18:00

【社説】「賄賂が多過ぎて覚えていない」

 ある6級公務員が、受け取った賄賂があまりにも多過ぎて覚えていないと検察で陳述したという。 上級公務員は数百億ずつ政治資金という名目で受け、下級もそれなりに賄賂を受け取っているとは、いったいこの国はどうなっているのだろうか。

 報道によると、贈収賄嫌疑で蔚山(ウルサン)地検に拘束されたこの公務員は、98年9月から3年間、ほとんど毎日10万〜100万ウォンずつ月平均2000万ウォン(200万円)を受け取り、親姻戚名義の借名口座に入金させて管理してきたという。 しかも月給と手当は一切手をつけず一つの通帳に入金し、受け取った賄賂を子女に相続までしたというのだから呆れる。

 一線公務員の金品授受は最近始まったことではない。 問題はその手法が次第に大胆、常習化しているという点だ。 以前、野外駐車場で宝石箱を受け取る現場が摘発された京畿道(キョンギド)公務員の車内からは、1090万ウォンの現金と小切手が発見された。 流用した会社の資金70億ウォンを空きマンションに隠したり、不正資金事件をめぐり乗用車に現金50億ウォンが入るかどうかを裁判部が現場検証する世の中だから、公務員もこうなるのだろうか。

 蔚山市の公務員がこうした犯罪行為を長期間続けていたというのは非常に大きな事件だ。 もちろん、金品授受の一次的責任は公務員にある。 しかしこうした不正が長期間続くというのは、監督体系に問題があることを表している。 3年間も上級者、監査担当者らは何をしていたのか。 また、こうした犯罪行為の再発を防ぐため、いますぐにも指揮線上の問題点を明確にし、責任を問わなければならない。

 その間、政府は公職者倫理規範をつくり、政府内に腐敗防止機構も設置した。にもかかわらず公務員犯罪は減っていない。今回の事件も、蔚山市だけに限定されたものとは言えないはずだ。公務員に対する自体監視体系が正しく作動しているか徹底的に点検し、補完策を打ち出さなければならない。