朝鮮日報 2005/01/21 19:56
大手企業労組、ここまで堕落したのか
起亜(キア)自動車・光州(クァンジュ)工場の労組委員長が、生産職の契約社員を採用する見返りとして金品を受け取った疑いで検察の捜査対象となった。
一体、労組のパワーがどれほど大きければ、好き勝手に就職させることができるのか。人を採用するのは雇用者の権限だ。
にもかかわらず、労組が社員の採用に介入し、“就職売買”をしたとは呆気に取られる。
前後の事情は検察の捜査によって明るみに出るだろうが、会社側が労組の圧力に屈したか、労組との確執を避けるべく、ある程度の無理な要求も受け入れてきた慣行のためだろう。
さらに驚くことは、労組がこうした非を犯した対象がパート労働者でも採用してほしいとしている人たちだという点だ。
建前ではパート労働者を保護すべきだと口がすっぱくなるほど謳いあげた張本人が大手企業の労組だ。これほどの偽善があろうか。
数年前、ある大手企業の労組が自社に納品する中小企業から納品通過税を徴収して物議を醸したことがある。
下請け業者とパート労働者を増やして私服を肥やしているから「権力労組」「貴族労組」といわれるのも当然だ。
起亜自動車は労組専任者だけで74人いるといわれる。労組委員長になると、起亜自動車が生産する最高級乗用車が提供される。役員クラスの待遇だ。労組執行部の選挙が「小さな国会議員選挙」といわれるほど過熱するのは当然だ。
日本は労組専任者が労働者600人あたりに1人、米国は1000人あたりに1人だ。韓国は180人あたりに1人である。このままで、いつまで世界競争のなかで生き延びることを望めるだろうか。
労働運動を「社会的な弱者」が行う自助運動というのは昔の話になったようだ。
労組加入労働者総数160万人のうち、大手企業の組合員は72%を占める。大手が主導する労働運動は零細業者の労働者に被害を与える。
現在、従業員10人未満の零細事業場の労働者は500人以上の大手企業労働者の50.7%の賃金を受け取っている。99年の59%からさらに低下した。
貧しい者がさらに貧しくなり、富める者がさらに富むのがこの国の労働運動の現実になってしまった。
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