喜多郎ミュージック・ガイド
Young Persons' Guide to KITARO Music #1



"TEN KAI" ASTRAL TRIP
天界


released 1978

BY THE SEA SIDE / 海をみつめて
SOUL OF THE SEA / ソウル・オブ・ザ・シー
MICRO COSMOS / 小宇宙
BEAT / 鼓動
FIRE / 炎の舞
MU / 無
DAWN OF THE ASTRAL / 宇宙の夜明け
ENDLESS DREAMY WORLD / エンドレス・ドリーミー・ワールド
KAISO / 回想
ASTRAL TRIP / アストラル・トリップ

all songs written and arranged by KITARO

additional musicians:
Ryusuke Seto: shakuhachi, biwa
Lavi: sitar

三度のメシより音楽が好き!というひとりの青年が創りあげた独創性あふれる音楽。デビュー・アルバムにして、この世界観、この“濃さ”...いやはや恐るべし!全音楽史上でこれに似た音楽を見つけるのはさぞかし困難だと思う。後のどのアルバムよりも自由奔放だし、ありとあらゆる音楽性(世界のいろんな地域の民俗音楽も含む)が“Sound Creator KITARO”の名のもとに目くるめく展開を見せる...これぞ正に“音のKaleidoscope(万華鏡)”といったところ。KITAROさんの全discographyの中でも一番「どういう音楽なのか?」を言葉で表現するのが難しいアルバムだけど、強いて言えば、1960年代終盤から英国を中心に最盛を極めるcreativeなrockやサイケデリックな音楽に近い。後のどのアルバムよりも“アルバム全体で一曲”という印象で、このアルバムを聴いてると「今、何曲目なのか?」とかいったコトが、どうでもいいコトに思えてくる。「音楽を感じれば、それでいい」というカンジ。全編がimprovisation(即興演奏)みたいで、印象的なメロディが何度も繰り返されることはないけど、このアルバム以降の全アルバムと同じようにメロディアスな印象は全編を貫いている。Pop感覚を期待しては絶対にイケナイ。

ここで聴けるような“何でもあり!”的な展開は後々だんだん薄らいでいっちゃうから、そういった意味でも実に興味深い内容。後にKITARO Musicの代名詞となる“和太鼓によるgroove”が早くも最終曲 "ASTRAL TRIP / アストラル・トリップ" で聴けるんだけど、このKITAROさんの身体の中に流れてる和太鼓のbeatこそが、KITAROさんのrockを独特なモノにしていると言っていいと思う。"FIRE / 炎の舞" はKITAROさんのlive favouriteとして後々までliveで演奏され続ける重要なレパートリー。

現在に至るまでのKITARO Musicの全てのエレメントが詰まってるニ言っていいようなアルバムだから、KITARO musicファンになっちゃったなら、あまり遅くならない内に聴いておくべき一枚。刺激的な音楽が好きなら、最初にこのアルバムを聴いてもいいと思うよ(笑)。まちがいなく、日本人が創り出したモノとしては歴史上最も成功したヒッピー・アルバム。

Pink Floydの「UMMAGUMMA / ウマグマ」「ATOM HEART MOTHER / 原子心母」あたりが好きな人や、Far East Family Band(KITAROさんが在籍してたバンド)のアルバムなら「"THE CAVE" DOWN TO THE EARTH / 地球空洞説」よりも「PARALLEL WORLD / 多元宇宙への旅」の方が断然好き!という人、はたまた“トリップ”したい人にもオススメ。




「英題がちがう」と思ったらKITARO Music 英題“同じ曲”表


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