金属材料の疲労き裂進展
安全な構造物ならびに機械を設計するときに, 材料の疲労き裂挙動を知ることは基本である. なぜなら, 事故の９割が疲労によるものだからである. 材料における疲労き裂挙動を明らかにするために, 疲労強度, 疲労き裂発生機構, き裂進展機構などの研究は多数行われている. 本研究では疲労き裂進展中のき裂経路について調査を行う.
圧延材料は構造物や機械などにおいてよく使われている. 冷間圧延によって板材料はわずかな異方性が存在する. 一般に, その異方性は疲労き裂進展経路に影響がないと考えられる. しかし, 純アルミニウム板の中央き裂引張り試験片の場合は圧延方向が負荷方向に対してある角度になるとき, き裂はモードI方向に進展せず, 混合モードI＋IIの状態で圧延方向に進展する. 現在ではこの特異な現象の原因は明らかにするために, 破壊力学, 有限要素法, 金属組織学, X線回折を用いて種々な実験並びに解析を行なっている.
保有する実験装置または機械:
油圧式疲労試験機
(SERVOPET Lab 5, Cap. 5 tonf ), 圧延機械,
走査型レーザ顕微鏡, 反射電子プローブマイクロアナライザー（EPMA）付き走査型電子顕微鏡, 光学顕微鏡, 微小硬さ試験機, 引張り試験機, 電解腐食装置 など
上記研究に関する主な論文の一部:
Y.
Hagiwara, D. Shohret, Effects of Anisotropy and Plate Thickness on The Fatigue Crack
Propagation of Aluminum Plate Specimens, Proceedings of The 37th
Japan Congress on Materials Research, 1994, p.46-51.
Y.
Hagiwara, Y. Masukawa, Effect of Varying Load on The Fatigue Crack
Propagation of Pure Aluminum Thin Plate Specimens, Transaction
of JSME Ser.A, 1997, p.2282-2289.
Y.
Hagiwara, D. Shohret, Quantitative Estimation on the Fatigue Crack Propagation of Anisotropic
Aluminum Plate Specimen, Acta Mechanica Solida Sinica, v8, 1995, p.340-345.
最近の研究成果の一部 :
修士論文:
Yudy Surya Irawan, Finite Element
Method Simulations of Anisotropy Afffected Fatigue
Crack Propagation Paths of Pure Aluminum Plate, 修士論文（英語）, 武蔵工業大学, 2003年3月
国内学会発表:
Yudy Surya Irawan, 萩原芳彦, 大谷眞一, 純アルミニウム薄板における疲労き裂進展経路に及ぼす特異な異方性挙動のFEMシミュレーション, 日本機械学会−中国四国支部第41期総会・講演会講演論文集No.035−1，pp.19−20，鳥取大学，鳥取，2003年3月6日.
Yudy Surya
Irawan, 萩原芳彦, 大谷眞一, 純アルミニウム幅広板における疲労き裂進展経路に及ぼす特異な異方性挙動のFEMシミュレーション, 日本機械学会−九州支部第56期総会・講演会講演論文集No.038−1，pp.49−50，九州大学，福岡，2003年3月17日.
Yudy Surya
Irawan, 萩原芳彦, 大谷眞一, 特異な異方性を有する純アルミニウム板における疲労き裂進展経路に及ぼす板厚の影響, 日本機械学会−2003年次大会・講演会講演論文集Vol.1 No.03−1，pp.123−124，徳島大学，徳島，2003年8月5−8日.
Yudy Surya Irawan, 萩原芳彦, 大谷眞一, 特異な異方性を有する純アルミニウム板における疲労き裂進展経路に及ぼす応力集中の影響, 日本機械学会−第11回機械材料・材料加工技術講演会論文集，pp.97−98，武蔵工業大学，東京，2003年10月17−18日.
Yudy Surya Irawan, 萩原芳彦, 大谷眞一, 特異な異方性を有する純アルミニウム板の混合モードI−II疲労き裂進展経路に及ぼす圧下率の影響, 日本機械学会−材料力学部門, M＆M2004カンファレンス講演会論文集，pp.151−152，秋田大学，秋田，2004年7月21−23日.
国際会議発表：
Yudy Surya Irawan, Yoshihiko HAGIWARA, Shin-ichi
OHYA, Prediction of Anisotropy Affected Fatigue Crack Growth Paths on Pure
Aluminum Sheets , Abstract Proceedings of the Sixth World Congress on
Computational Mechanics in conjunction with the Second Asia-Pacific Congress on
Computational Mechanics (WCCM VI),
p.244 (Full paper in the CD-ROM Proceedings of WCCM VI), at Beijing Hotel,
Beijing-China, in September 5 - 10, 2004.
何かご意見があれば, こちらのアドレスによろしくお願いいたします.
g0372002@sc.musashi-tech.ac.jp
またはydsi75@yahoo.co.jp
最初公開日: 2003年4月8日
最終更新日: 2005年4月15日