湯の岳庵

雪の舞う由布院・亀の居別荘にて


由布院で有名な宿としては、「亀の井別荘」「玉の湯」「無量塔(むらた)、でもオーナーの名前はムラタさんではない」の三つをまずは挙げることができると思います。
それぞれ特徴があって、"小室哲哉も泊まった"「無量塔」さんは、おそらく宿の設えには一番お金掛けているのでは。各地から移築してきた民家をベースに、随所にこれでもかの趣向を凝らしていて、「ライト・遠藤新」(建築家)を意識した室があると思うと「白井晟一」(建築家)ふうのインテリアもあるという具合。"Tan's Bar"(日田の広瀬淡窓から取った名)の入口あたりもおそらく白井晟一ではないかと思うけど、そのバーにあるスピーカーは何だか知らないけど50年代のアメ車みたいなすごいやつですし、さりげなく置いてある椅子はコルビュジェであったりと、オーナーの趣味が前面に出ている感じがします。

逆に「亀の井別荘」さんは気取りのなさ、さりげなさが身の上。由布院観光のメインポイントである「金鱗湖」ももともとここの敷地内だったのではないかしら…と想像しているんですが(未確認)、そうしたいい場所に昔からあって、宿の客でない観光客も気軽に迎えています。駐車場も無料で開放してしまっていますし…、来る者拒まず状態。
でも接客の姿勢はとてもきちんとしておられます。
雪の研究で著名な中谷宇吉郎さんの甥が現在のオーナーであることもあって北陸と関係が続いているらしく、北陸のどこかの旅館でスタッフは必ず修行するのだとか。

今回食事を頂いたのはその亀の井別荘さんの食事処「湯の岳庵」です。これまでもよく行っていた喫茶室「天井桟敷」の隣ですが、こちらに入るのは初めて。

アラカルトで頼んだメニウは…【しっかりとゴマの味香りのする】胡麻豆腐、【悪玉プリオンなしの】牛肉サラダ、【本当に焼きたてでアツアツの】ヤマメ塩焼、【赤みの目にも鮮やかな】マスの昆布締め、【硬すぎず実に味わいぶかい】地鶏の茶漬け、【とろりとうまい】自然薯(じねんじょ)とろろ汁、【どうやって炊いたらこんなに美味しい】御飯、【ちゃんと煎茶で淹れてる】お茶、どれもこれも実においしい。

しかしながら気取らぬ店内、リーズナボーなお値段、窓に舞う雪を見ながらの美味しい食事。(この日は由布院の最高気温1.9度でした)。

しかしながら極め付きは、食後に頼んだ善哉でありました。
甘味さ加減、それに応じた塩味の具合、軽く焼いて香ばしくした餅、小豆の粒のとろけ具合…、ゼッピン。本当にこれは美味しかった。

また来年も正月はここで善哉食べるぞと心に誓ったのでありました。

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最終更新日04/09/10