〜あらすじ・雑文・etc.〜
8月16日(日)
ナイロン100℃「フローズン・ビーチ」@紀伊国屋ホール
- 今年最後の本公演という今回は「ちょっとコワれた三谷幸喜」とKERAさんが称
していたので三谷さんの作風を徹底的に茶化した感じの物かなぁって思っていっ
たんですが、それともちょっと違う雰囲気でした。まずロビーに入ると廣川さん
がパンフを売っているではありませんか。つい惹かれて購入(ってわけでもない
けど)。写真がモノクロでステキなんですよ〜。
今回女優4人しか出ないで2時間10分(15分?)ということでちょっと長
かったかなという印象ですが、そこは達者な女優さん達ですから十分堪能いたし
ました。
ストーリーがサスペンスなのでいつものような笑いの部分は少なくて、犬山さ
んの子供役とか今江さんの謎の外国人なんてのは全然出てきません。松永さんが
双子の両方をやっている以外二役など全くない、5人しか出てこない芝居なんで
す。その5人がそれぞれ誰かに恨みを持っていて、チズ(峯村さん)はアイ(松永さん)から薬をわけて貰っているが、イチコ(犬山さん)と共謀してアイを殺す計画を立て、でもチズとアイは結託してアイの代わりに双子の姉モエ(松永さん二役)を殺そうとします。モエは父の後妻サキエ(今江さん)の不倫の証拠をつかんでサキエを攻め続け、そして殺人は実行される・・・。とまぁ、さわりを書いただけじ
ゃ全然わからないですね。
芝居は1987年、1995年、2003年と3つの時間で切り取った三部構
成になっているんですけど、KERAさんらしい時代モノの入れ方がちりばめられて
いました。それは「たけしフライデー事件」であったり「ノルウェーの森」だっ
たり、「阪神大震災」だったり「オウム真理教」であったりするんですけど。KERA
さんは時代考証のネタをストレートに出すこと多いですよね。
あ、それと、これはもちろん私の個人的意見ですけど、前から言っているとお
り紀伊国屋ホールで怖い話ってちょっとあわないと思うんですよね、やっぱり。
今回の私の席は割と前寄りだったからそんなに不満はないけれど、後ろの方の席
で観ていた人に、イチコが自分から刃物の刃の所を掴んで指を切り落としちゃう
シーンの怖さが伝わっているのかどうかは疑問な気がします。
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7月20日(祝)
「毛皮のマリー」@ザ・スズナリ
- この公演はマリー役の篠井英介さん、下男役の海津義孝さん以外全員がオーデ
ィションにより選ばれたキャストでしたが、なかなか美形、かつ肉体訓練の行き
届いた役者揃いで目の保養になりました。
個人的には三輪明宏さんのマリーより好きでしたね。醜悪だけど美しいマリー
の、非現実的な中にある真実みたいなものが垣間見えた気がしました。ただ、海
津さんの「醜女のマリー」はそう言うほど見苦しくなくて、篠井マリーと遜色な
いのでちょっと落差がなかったかも。
美少年役の内田滋啓くんはそりゃもう可愛くて、その彼が私の席のすぐ横にう
ずくまっていたりして(金網をはった小部屋に籠もるシーンが何度かあり)、ド
キドキしちゃった(笑)蝶々の図鑑を眺めながら、時々鷹の剥製に話しかける仕
草がガラス細工みたいに透明で素敵でしたよぉ。でもこんなこと言うのってなん
か変かなぁ・・・(笑)
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7月19日(日)
月影十番勝負「唇からナイフ」@紀伊国屋ホール
- 事前にうちの「ネタばれ伝言板」でいろいろと噂を聞いてから観に行ったので
ショックは少なくてすみました(笑)まぁプロデュース公演ってこともあるし今
までの月影十番の様子からみてもそれなりの物だと思っていましたが、本当に「
それなり」(笑)
出ている役者さんはよくやるキャラを披露している風情で、久松さんはパワー
全開、六角さんはちょっとおどおどした気弱な男、長野さんはちゃきちゃき口の
たつ才女、高田さんはお茶目な女、といった感じ。唯一、加納さんは普段女形な
ので、りりしい男役が珍しかったですが、ちょっと演技が大きいような・・・(
笑)
研究所で羊のクローンを作ったはずが人クローンのメイ(高田聖子さん)が出
来て、しかしそのメイが、実は研究所の金城所長(加納幸和さん)がある目的の
ために意図的に作ったのだったという大きな流れがあるんですけど、研究所の水
ヶ瀬(六角精児さん)や営業の木本(久松信美さん)の反応とか、メイの教育係
の火野(長野里美さん)がなぜそんなこと?とか、ピザ屋の土橋(大倉孝二さん
)はラストシーンの後どうするのか、とか、いちいち腑に落ちないことが出てき
たりするんです。まぁそんな細かいことは気にせずに役者を観て楽しめばいいの
かも知れないけれど、怖い話ってどこかで信じられるってとこがないと全部が嘘
っぽくなっちゃうし、もっともっと練って本当に私たちを怖がらせて欲しかった
です。
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7月18日(土)
- 子供ためのシェークスピア「ヘンリー四世」@東京グローブ座
- このシリーズはホントに毎回はずれ無しなんですけど、今回も良かったですね
。「子供のための〜」と銘打たれていますが大人の鑑賞に堪えるいい作品です。
今回の原作は(私は読んでいないのですが)二冊にわたるほどの長編だそうで
すが、休憩込み2時間程度におさめています。
役者さんは1人2〜3役の掛け持ちで、お忙しそう。戸谷さんを明楽さんが肩
に乗せた巨人とか、体力的にも大変そうです(笑)おどけた感じでフォールスタ
ッフを演じる吉田鋼太郎さんは反乱軍のモーティマーとの2役でその演じ分けが
際だっていたし、植本さんのドル(居酒屋の女性客)もイっちゃってて(←ほめ
てます)すごい☆ 植本さんはもう1役のジョン王子のとき、集中力が無くて人
の話し中でもそわそわキョロキョロしている感じが、「次男」で「幼い」役の雰
囲気をすごく現していて(贔屓の引き倒しといわれても)絶賛しちゃいます。
最後のシーンで今のイギリス王室の話にオーバーラップさせたセリフがあって
、綿々と続く歴史のといったような物が感じられてなんだか不思議でした。
今回は、開演15分前にキャストが出てきて歌を歌ってくれました。山崎さん
の繰るシェークスピア人形が歌って他の人たちがコーラス役です。なんかほのぼ
のと楽しそうでこれはちょっとしたボーナストラックって感じでした。
- JOVIJOVA「SUMMER TOUR」@スフィアメックス
- 何というかですねぇ、ここにも居ました「笑いすぎる客」。それはもう極端な
くらいどこでも笑う笑う。それで私一気にひいちゃいましてダメでした(泣)ま
ぁJOVIJOVA自体、やってることはベタベタなんですけどね。でもドリブラみてい
た私にとってベタねたはそんなにイヤじゃないんですよぉ(ま、それにしても、
いまどきドリフや欽ちゃんパクってどうするって感じはあるんですけど)。だけ
どやっぱり、どこでも笑うあの客らと、そういうことに実は喜んでしまってるメ
ンバーは、ちょっとやばいんじゃないだろうか。これからどうなっていくのでし
ょう。行きに乗った山手線では、JR東日本ビューカードの夏バージョンポスタ
ーで微笑むメンバーいましたけど。
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7月5日(日)
中島らも事務所プロデュース「一郎ちゃんがいく」@東京グローブ座
- 当日券はきっと混むと思い発売1時間前に並んだら私の前には4人しか居ない
(笑)気が抜けたけどおかげで最前列のチケットをGet出来ました。
芝居の方は(どうせプロデュース物だしって思っていたら)なかなか面白かっ
たです。89年、90年に上演された作品を、主人公の設定だけを残して書き下
ろした新作だそうです。留学団のリーダーを決めるため、日本で一番の頭脳の持
ち主を升毅さん、佐々木蔵之介さん、粟根まことさん、野田晋市さんの4人が競
うというストーリーで、この4人のバトルのシーンはセリフ量と滑舌に脱帽です
ね。すごい早口だし。それと、粟根さんがこれでもかってくらいぶっ飛ばしてい
たり、佐々木さんの涼しげ〜なかっこよさ満載だったりして最高〜〜(はぁと)
そして升さん演じる浅井一郎のいとこ役の三好大角さんがすっごくいい役者にな
っちゃってて、これもまたうれし〜〜(はぁと)
今回は男優がおいしいとこ全部持ってってる芝居だったけど、牧野エミさんは
、すっごいドレスを何度も何度もお着替えしていてすごいインパクト。縦ロール
の金髪もキテましたねー。わかぎえふさんの男の子役もはまり役で、えふさんが
(演出しないで)出演だけっていうのを久しぶりに観るせいでしょうか、安心で
きるなぁって思いました(これは演出兼出演していると、板の上でも演出家の目
でいる雰囲気が伝わるって私が感じるせいだけど)。前日に観た遊気舎が若手の
力不足を感じる出来だったこともあってか、こちらは役者の技量が拮抗していて
満足できました〜。
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6月28日(日)
ナイロン100℃「Φ」@中野ザ・ポケット
- 「Φ、空集合、何もない空間」といった映像が開演前から流れています。芝居
もいろいろと詰め込んでいるにもかかわらず、最後まで観てこれと言った物が残
らない感じでした。敢えてそう作ってある感じ。
井出雅子さん(@珍しいキノコ舞踊団)の振付が全体にちりばめられていて、
ナイロンの役者さんがそういう動きをするのがなんだか面白かった。普段余り踊
らないけど皆さん身体動くなぁって感心しちゃった。ただ、踊るシーンでちょっ
と大勢板に乗せすぎなとこがあって、窮屈な感じが残念。
テキストは「FAILY TALE(作:平田オリザさん)」「朝日のような夕日を連れ
て(作:鴻上尚史さん)」をはじめ、いろいろな既成の本からの引用をKERAさん
テイストでつなげて、そこにヨシタケシンスケさんのオブジェを挿入していたよ
うです(知らない本もあったのですが、そうらしい)。意味はあるけど用途がな
いオブジェの存在が、「何もない空間」とシンクロしてましたね。
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5月16日(土)
花組芝居「泉鏡花の日本橋」@シアタートラム
- オープニングの舞台セットは一瞬「十六夜の月(新宿梁山泊)」のチラシデザ
インを思い出してしまったのですが、障子で仕切られたいくつかの部屋と、その
向こうに大きな月が出ています。ですが舞台全体は水の中のようで、淡いブルー
で静かにゆらめいています。
さて、芝居のほうですが、なにしろすごく良いのですよ。役者さん達がみんな
色っぽいの。お孝(加納幸和さん)も葛木(桂憲一さん)も清葉(山下禎啓さん
)も赤熊(水下きよしさん)も、加納さんがパンフレットの序文で書かれている
「愛すべき不健全さ」、偏狂的でどこかバランスを崩してなお、一途に気持ちを
持ち続けていて、それが悲しくも美しいんです。そういった人々の中で言うなれ
ば「健全な」笠原巡査(佐藤誓さん)とお千世(横道毅さん)が舞台を引き締め
、和ましていて、お二人がいてこそ前出の人たちが際だっていてとても良かった
です。
私の席は下手側の通路際だったので、花道として役者さん達が通ってすごく得
した気分。車屋さんに「乗っていきやせんか?」と言われてしまい「(笑)」で
した。
音楽の使い方は、ちょっとずるいって思うくらいいいとこでいい曲使ってまし
た。最初のピアノ曲も雰囲気作りバッチリだったし、終盤のいいところで「アヴ
ェマリア」って、ちょっとはまりすぎじゃないのって気はしたけど、やっぱり感
情が動かされるのも事実なので否定は出来ないですね。
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4月25日(土)
MOTHER「シャイバン」@青山円形劇場
- 今回は法廷物です。なんというか、いつもどおりのMOTHERです。今回は中堅〜
若手が結構大勢使われていて、彼らがそこそこがんばっていました。それから、
東京公演の初日は映像の仕事で升さんが欠席だったそうですが、今日は出ていま
した(大阪公演で注目だったと噂のキスシーンもちゃんとあったし)。
ただ、最近ずっと感じていることですが、MOTHERって升さん、牧野さんなしに
は成立しないつくりになってしまっていて、そこがちょっと不満ですね。あと、
その2人が多忙なせいか、年齢的なものなのか(失礼)以前に比べるとダンスの
かっこよさも今一つキリッとしてないし・・・。折角若手を大勢使ってメインキ
ャストが入らないダンスシーンもあるんだからもっとハードで場が締まるような
かっこいいダンスにして欲しかった。なのに若手、足はあがらないし動きが堅い
し。
そして、観客の数名を陪審員に指名して、その人達が劇の終盤、白黒つけてラ
ストシーンが変わるというつくりでしたが、客いじりはなんだか蛇足っぽかった
し、陪審員はいかにもファンクラブ中心にとりそろえた感じ(知り合いが選ばれ
ていましたが、彼女はファンクラブでチケット購入でした)があったのと、陪審
員によるストーリーの変化と言っても本当にオーラスのシーンが付け加わるだけ
なので、白黒を選択させても言うほどに芝居が変わらなくて楽しめなかったです
。特に今日は陪審員の判決が6対6の同数だったんですけど、その際の裁判長(
関秀人さん)の判決が白だったってことは、作り手は(陪審員が)白を示すこと
を想定していたことをばらしちゃったような気がして冷めたってこともあります
。ファンなら宮吉さんを無罪にしたいって思うだろうと想定してそっちをメイン
に作っていたんじゃないかと勘ぐってしまうような・・・。
ま、今回わたしは久保田浩さん@遊気舎を観たくて行ったので、この点は堪能
しました。初めの登場シーンのダンスは必見。久保田さんのダンスなんて貴重で
すからね。劇中のキャラとしてはちょっと生かされていなくて、もっとかき回し
て欲しかったです。
いろいろ書きましたけど、「MOTHERはもっとかっこいいはず」って思ってるの
で、是非是非パワフルに復活して欲しいです。
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