Paris, Texas |
いつも目にしている、見慣れた筈のテキサスの風景も、この映画というフィルターを通してみると、また違って見えるから不思議だ。この映画の舞台は、タイトルどうり、主にテキサスなのだが、タイトルになっている、パリという名の、テキサスに実際ある街は、ほとんど出てこない。”悪魔の墓場”といわれる、ビッグ・ベンという名の、メキシコ国境に近い、テキサス西部の荒野で幕を明け、大都会ヒューストンで幕を閉じる。 監督がドイツの人というせいもあってか、どの風景もアメリカっぽくない。出てくる人達も、どこが他の知らない世界から来た人達という感もある。ビッグ・ベンもヒューストンも実際に訪ねたことはあるわけだけれど、そこでの自分の持っているイメージと、全くかみ合わないという事に、はじめは興味を引かれた。色とか、視覚的な感覚の違いもあるのだろうけど、どことなく、テンポを狂わされているような気分になった。 ストーリーは、蒸発した奥さんを探しに、息子と共に、テキサスをさまよう男の行動を中心に描かれたロードムービー。我ながら下手な説明だが、その通りの内容なのだ。映画の始めの方では、身も心も、乾ききって、痩せこけながら、荒野を歩きつづけていた主役の男も、後半、息子や蒸発してしまった奥さんに触れる事によって、次第に潤いを取り戻してゆく。そのプロセスは、切ない。人間、行き詰まった時には、宝捜しの旅が必要だ。この映画の中で、TEXASは、その舞台だったのだ。 |
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