The Menil Collection ‐‐‐ Jan. 5th, 2000

ヒューストンに、”The Menil Collection”という名の美術館がある。ドミニク・デ・メネルと云う女性の、個人蔵の美術品を無料で公開している場所だ。そこは、ヒューストンのミュージアム・ディストリクトという、美術館や博物館が集まった地域の、はずれの一角に位置している。ミュージアム・ディストリクトと云う所は、大都会のヒューストンの中にあって、休日にのんびり散歩のできるような、感じの良い場所でもある。その美術館自体は、昔、原宿にあったような、レンガ造りのレトロなアパートや住宅に静かに囲まれ、その中心にあるメネル女史のコレクション達は、木漏れ日の中で、レンゾ・ピアノ設計の綺麗な建物に包まれている。

■美術館内廊下■

レンゾ・ピアノがデザインした、屋根の採光システム。

あまり多くの美術館を訪ねた訳ではないが、この美術館とは一番ウマが合う。変な表現かもしれないけれど、一度この美術館を訪ねた事のある人の中には、同感だと思ってくれる人も少なくない筈だ。コレクション内容は、モダンアートとシュールレアリズムを中心に、ポップアート、後期印象派、アフリカの民族美術と幅は広いが、個人蔵というだけあってか、趣味良くまとまっている。シュールレアリストのルネ・マグリットの作品が一番多いが、この美術館で初めて、大好きなフランシス・ベーコンのペインティングに出会える事も出来た。ベーコンの使うオレンジ色は、どのオレンジよりも圧倒的だった。・・・と、コレクションの話しをしていると、きりが無いので止めておくが、どれ1つ見逃せない物ばかり展示してある。

無料で入れる美術館で、これほどの内容を誇る場所は、僕の知る限りここだけだと思う。それに、カフェなど、余計な空間も省かれていて、芸術を鑑賞するためのシンプルなスペースに仕上がっている。建物も素晴らしい。僕は、こういう世界を創ろうとした人達、創った人達、守っている人達を、心から尊敬します。

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