The Scrub Pub ‐‐‐ Nov. 27th, 1999

サンクスギビングの休暇、親や家族にいない人達は、どうしているのだろうか。街のレストランも、ファーストフードさえ閉まっている店が多い。そういう人達は、サンクスギビングが過ぎるのを、ひっそりと1人で待つのだろうか・・・。そんなことを、ここに来てから毎年考えている。そして今年のその日も、そんな事を思いながら静かに過ぎていった。

せっかくの休みだというのに、洗濯に行かねばならなかった。2週間に一度のサイクルなので、大量だ。自分の部屋に洗濯機が無いのは辛い。少し前に、アパートのコインランドリーで、盗難にあってお気に入りの洋服達を失って以来、近所に在る、The Scrub Pubという、コインランドリーを利用している。名前から想像できる様に、パブとランドリーが1つになっていて、洗濯してる間に、飲んだり、ビリヤードしたりできる。こう云う発想は、アメリカならではだと思う。普通の、何も無いコインランドリーで洗濯してると、目を離した隙に盗まれる恐れもあるし、洗濯機の前で、じっと終わるのを待ってるのも馬鹿みたいなので、こういった空間はとても有り難いし、面白いと思う。

すでにそんなに気の利いた場所も、その日はさらに特別だった。何時もの様に洗濯物を抱え、店のドアを開けると、店内は普段よりも薄暗く、バーのカウンターには、ターンテーブルが並び、DJがいた。コインランドリー・クラブになっていたのだ。

洗濯しながら踊りたいとは思わなかったが、少し得した気分だった。実際、洗濯しながら踊ってる人達を見ながら、ミュージカルでも観ているような気分になったからだ。音楽のせいか、店内は薄暗いが、雰囲気は、いつもより幾分明るい。それに、けして流行の音楽が流れてたわけではないのに、それでも何故か、洗剤の匂いのする空気に乗って、心地よく聞こえた。悪くない日だ。自分だけの記念日にしよう。

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