Deep Purple

Album Number
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Purpleについての個人的な一考察


Discography

Deep Purple。 1968年にRitchie Blackmore(G)、Jon Lord(Key)、Ian Paice(Dr)、Nick Simper(B)、Rod Evans(Vo)の5人のイギリス人達によって結成されたHR グループ。3枚のAlbumを発表後、 1969年にNickとRodが紆余曲折を経てバンドを脱退。 後任としてIan Gillan(Vo)、Roger Glover(B)が加入する。 Purpleにとって、多くのヒットナンバーを生み出した「黄金時代」のメンバーだ。
「Highway Star」や「Smoke On The Water」を始めとして、「Strange Kind of Woman」や「Lazy」等を生み出すのに協力した素晴らしい2人だったが、その2人も6枚のAlbumを発表(Live Album含む)後、1973年には脱退。 またしても、Vocal とBassのメンバーチェンジが行われた。
そして、新たにPurpleと言うBig Bandに加入してきたのは、Soulfulな歌唱スタイルのDavid Coverdale(Vo)とFunkyなGlenn Hudges(B/Vo)だった。 唄えるBassistの加入によって、歌唱の方面に力を入れられる様になったPurpleは、1974年に名盤「Burn」(邦題: 紫の炎)を発表する。 後、新加入の2人の色を濃く打ち出したAlbum「Stormbringer」 を発表するが、これがRitchieの音楽スタイルと合わず、このAlbumによって、逆にPurpleは主要メンバーの1人を失うハメになった。 そう、GuitaristであるRitchie Blackmoreの脱退である。
その後、若き天才Guitarist、Tommy Borlinを加入させて「Come Taste The Band」を発表。 決して悪い出来ではなかったが、最終的にセールス的には以前の作品程には伸ばす事が出来ず、結局Purpleは、この 4度のメンバーチェンジを経た後、1976年、この第4期時代を最後に、一度解散の憂き目に遭っている。 Ritchie Blackmoreが脱退した1年後の事だ。



店長Hiroの一考察



私は、残念ながらと言うか幸いながらというか、それほど年配ではない。 故に、Purpleをリアルタイムで聴いてはいないのが、非常に残念だ。 既に私がPurpleを知った頃には、いわゆる 「再結成Purple」の頃であり、他のメンバーはそれほど遜色は無いが、Ian Gillanの声の張りと艶の無さには、ちょっと打ちのめされた。
少しの間だけ一緒にやっていたBlack SabbathのBassist、Geezer Battlerが「あまり好きなタイプのVocalistではないね。 彼はシャウトしすぎるんだよ」と話していたのが印象的に残った。
この事から考えると、逆に取れば、シャウトの時のその伸びやかな声こそが、Ian GillanのVocal Styleの因って立つ所ではないであろうか?
今現在、年齢のせいで声の伸びと艶が無くなってきたが、果たしてIan Gillanはこれから、どこに因って自らのVocal Styleを築き上げれば良いのか?

再結成Purpleの第一弾目のAlbum「Perfect Strangers」は決して駄作ではなかった。
次作の「House of Blue Light」も、前作ほどのQualityはなくなったかもしれないが、それでも立派なAlbumであると個人的には思っている。
しかし、一度Joe Lynn Turnerが加入、「Slaves And Masters」と言う素晴らしいAlbumを制作後、脱退した後にリリースされたAlbum「The Battle Rages On...」のIanのVocalは酷いものだった。
あのStudio AlbumはJoe用に作曲された物を、JoeとはVocal Styleが全く違うIanが唄っているのだから、Styleの違いという事を考慮すれば、まだ仕方なく思える部分がある。
が、 その後に発表されたRitchie再脱退前の最後のLive Album、「最後の聖戦」でのIanのパフォーマンスには、Purpleファンの私でさえ落胆せざるを得ないものだった。
いや、Purpleのファンだからこそ落胆したのかもしれない。

残念ながら私は、好きなバンドは手放しで好きと言う事は出来ない。
むしろ、良い楽曲を作ってるからこそファンになったと言う感じだ。 もしかしたら、それは真のファンでは無いのかもしれない。
だが、私自身は別に「真のファン」などになる気は無い。
耳に心地よくない楽曲を提供するバンドのCDを買うくらいなら、他にまだ欲しいCD/聴いてみたいアーティストは多くあるのだから。
しかし、あえて言わせてもらえるなら、好きなバンドだからこそ、これ以上落ちぶれるのを見たくはないのだ。
Purpleは再びRitchieを失った後、新たにSteve Morseを加入させて、Album 「Perpendicular」を発表した。
だが私自身、これを聴く気は「今の所は」全く無い。
Steve Morseが、如何にPurpleの楽曲に影響を与えてるかは、非常に興味をそそる所だが、あのIanの酷いVocalがまんま残ってるとしたら、むしろそのQualityをぶち壊しにしてしまうだろう事が予想されるからだ。
何かの拍子で、このAlbumを聴く機会が出来、その時、IanのVocal Styleが自分が思っているのと比べて良いようなら、私はRitchieがいなくてもPurpleファンになるだろう。
勿論、メンバーの中で一番好きなのはRitchieだが、あれだけの個性的なメンバーがそろっているバンドというのは、他に中々は無いだろうからだ。
もしRitchieが抜けても、Steve Morseがその穴を埋めてれば、それは何の問題も無いのだ。
それは逆に、先程にも言ったように興味をそそられる所でさえあるのだ。
Ritchieの抜けた大きな穴を埋めるのは、あの天才と言われたTommy Borlinでさえ重圧に感じた節がある。
それを、日本ではあまり知名度が無いものの、欧米では結構知名度のあるSteveがどう埋めるのか、ここは大変興味を覚える所ではある。

むしろ、私は”IanのVocal”という埋めようの無い(メンバーが埋めようとしない)穴が怖いのかもしれない。
一度、Joeが加入してPurpleはAlbum制作をしたが、この制作課程もかなり難航したようだ。
おまけに、再脱退したIanを、Joe脱退後に再び呼び戻すと言う事をしてるのだ。
何故、他のVocalistを加入させないのであろうか? David Coverdaleだって良かったハズではないのか? 何故、わざわざ”再三”Ianなのだろうか? Ian Gillanは黄金期のメンバーだからだろうか?
恐らく、最後の理由が予想される最も妥当な線だろう。 しかし、それは私に言わせれば根拠が薄弱すぎる。
Ian は確かに黄金期のメンバーだ。 私自身も、彼が在籍していた頃の昔の多くのナンバーには感動させられたものだ。
しかし、それは飽くまで”昔”の話だ。

ここで予め断っておきたいのは、別に私は「昔はよかった」なんて単純な事を言いたいのでは無い。
その「黄金期」という強烈な枷から脱却できないPurpleが嫌なのだ。
「前進」は時としてファンを失わせる結果となる事が多々ある。
しかし、それによって新たなファンを獲得出来る事だろう。 もし、このIanの再々加入がPurpleの「新たな前進」と言うのであるとすれば、それは間違っていると、個人的には思う。
それは「前進」などではなく、むしろ「過去の憐憫」に縛られた「後退」と言わざるを得ない。
むしろ、新たなるVocalを加入させる事こそ、「前進」では無いだろうか?

Joeを加入させた時のAlbum「Slaves And Masters」は素晴らしいAlbumだった。 あれでPurpleは、新たなファンを獲得した事だろう。 それは、間違いなく「前進」であったから。
しかし、Ianが再々加入してからのAlbum、「The Battle Rages On...」ではどうであろうか? 私には、あれで(少なくとも”多くの”)新たなるファンを獲得できたとは思えない。
理由は簡単。 あのAlbumの出来が悪いからだ! 何故か? それは、Purpleが「前進」せず、むしろ「後退」してしまったからであろう。
実際、Ritchie自身も、あのAlbumの出来を酷評している。
そういう意味では、今回のSteve Morseを加入させた事は、間違いなくPurpleにとって「前進」であったハズだ。
Purpleは、私達の様なファンを失った変わりに、別の新しいファン達を獲得したからだ。
これが、「前進」と言えるものではないのであろうか?

バンドが運営されていく上ではテクも大事だが、何より”人間性”もまた大切である。
今回は、Purpleのメンバーはテクよりも人間性を選択した。
この事が、Purpleの将来にどう影響するのか? それはSteveと、Ianが鍵を握っている。

大きな伝説を背負い、主要メンバーの1人を失った紫の炎は、どこまで燃えつづける事が出来るのであろうか……。



〜 Deep Purple Album Review 〜


第一期


「Shades of Deep Purple」


1964年発表。 Cover 4曲を含む、「Deep Purple」としての記念すべきデヴュー作。
この頃、RitchieはまだStratocasterを使用してはおらず、Gibsonのトレモロ付きセミアコ「ES-335」を使用していた。
全曲を通して、黄金期の”らしさ”は薄いが、Pop色が色濃く映し出されているAlbumだ。
曲作りの主導権は未だRitchieにあらず、Jonが全般を通して主導権を握っていたらしい。
だが、Ritchieと同じくVanilla Fudgeが好きというJonのPopな面が出ていて、中々に面白いAlbumに仕上がっている。
2曲目の「Hush」がSingle Cutされ、これがアメリカで最高4位(Billboard誌)にまで上り詰めるスマッシュ ヒットとなり、好調な滑り出しを見せる。
狼の遠吠えをイントロに持ってくるこの曲は、Joe Southの曲のカヴァーで、Purpleがカヴァーする以前にも多くのバンドによってカヴァーされてきた曲だが、 やはり何といってもPurpleのHitが最大であろう。
しかし、この曲は本国イギリスでは完全に不発に終わり、このHushのアメリカでのHitによって、当初Purpleは本国イギリスより、むしろアメリカを舞台としての活動がメインになってくる。


「The Book of Taliesin」


1968年発表。 第一期Purpleの最高傑作との呼び声高いAlbumだ。
2曲のカヴァーを含む全7曲の構成で、全7曲中5曲がアメリカでHitすると言う快挙を見せている。
2曲目の「Hard Lord(Wring That Neck)」では、これからのPurpleのLive Performanceを支えていく原動力ともなったRitchieとJonの2人のインプロヴィゼーションをFeatureしたナンバーが収録されている。
Purpleは、Studio Albumよりも、むしろLiveでこそその真価を発揮するバンドだが、何と言ってもその屋台骨を支えて来たのは、RitchieとJon、この2人によるインプロヴィゼーション溢れるソロバトルにあると言えるだろう。
この曲は、それ(PurpleのこれからのLive Performance)を暗示させる先駈け的なナンバーなのではないかと思う。
また、7曲目の「River Deep Mountain High」では、シュトラウスの交響曲、「ツァラトゥストラはかく語りき」をイントロに持ってくるなどして、前作のJonのPopな面を出したAlbumから一転、 最も影響を受けたClassicの色を濃く反映させたAlbumとなった。
個人的には、3曲目のNeil Diamondのカヴァー「Kentucky Woman」が最高に気に入っている。
マイルドでいて、かつスリルに溢れたこの曲は、後の「Highway Star」の展開に通じるものがあると感じられる。
私は残念ながら、Neilの原曲を聴いた事が無いので比べ様が無いが、恐らくかなりPurple的な味付けが加味されてる事だろうと予想される。


「Deep Purple」


1969年にリリースされた、カヴァー1曲を含む3rd Album。 第一期Deep Purple最後のAlbumである。
(既に、このAlbumがリリースされた頃にはRod(Vo)とNick(B)の姿はバンドには無かった。)
「魔術」を好んで描く画家、ボッシュの3部作より「地獄」のカヴァーを付けられてリリースされた。
このAlbumは、第一期のトータル的イメージを持ったAlbumで、今までのPopさは鳴りを潜め、Purpleがロック グループとして成熟した事を現しているAlbumに仕上がっている。
特に7曲目の”April”は次作のプロローグとなっており、この辺りではJonのクラシックとロックの融合と言う点を如実に見せてくれる所だろう。
しかしJonだけではなく、Ritchieも自由奔放にギターを弾いてて、そのフレーズは粗削りで未完成ながらも、時折素晴らしいものを聴かせている。
このAlbumは、これといったヒット性をもった曲を持っていないため、Purpleに馴れてない人には今一つ取っ付きにくいAlbumかもしれない。
(その為、PurpleはこのAlbumリリース後に「Emmaretta」というシングル用の曲を制作しており、6曲目の「The Bird Has Flown」とカップリングしてリリースしている。 現在では、そのシングルは廃盤になっているが、「Purple Passages」という第一期Purpleのベスト的様相なAlbumに収録されているので、興味ある方はこれを入手されてみると良いだろう。)
が、全体的には”バンド”としてまとまった感が出ており、一回り成長した事を示しているAlbumだと思う。
このALbumをリリース後、Purpleは今まで契約していたレコード会社が倒産したため、苦労に苦労を重ねて、やっとWarner Bros.と契約。 そこに移籍している。


第二期


「Royal Philharmonic Orchestra」


1970年 9月 24日にAlbert Hallで制作された、Purple第二期の魁的Album。 「Deep Purple In Rock」から第二期が始まったと思っている方も多いと思うが、実際はここから第二期が始まっている。
ただし、第二期の「黄金期」はまだこのAlbumから始まるのでは無い。
前々から、Jonがやってみたかった、RockとClassicの融合にどうしても必要な試みだった。
ちなみに、既にこの試みと同様の事は、EL&PのKeith Emersonによって2ヶ月程前にOrchestraとの共演を果たしているが、厳密に言えば、少々ジャンルが違うと言えるだろう。 Purpleは、HRとClassicの融合を試みたのだから。
Jonが作曲した曲をOrchestraが奏で、その上にPurpleのHardなSoundを被せている訳だが、これが素晴らしいハーモニーを生み出してる。
当時、新分野を開拓したこのAlbumは高い評価を得た。まさに、Classical Hard Rockの基礎となったAlbumだ。
だが、逆に言えばその事自体が仇となり、激しめのHR好きなファンには少々物足りないAlbumかも知れない。
Classic好きなHRファン以外には、少々とっつきにくいAlbumになってる点は否めないが、このAlbumの特徴から言って仕方が無いだろう。
個人的には、むしろ、今までの曲を使わずに、ここまで徹底した事自体を評価したい。



「Deep Purple In Rock」


Jonが作曲の主導権を握っていた第一期から一転、Ritchieが作曲の主導権を握ったAlbum。 これより、第二期の「黄金期」が始まる。
ClassicとRockの融合を第一に考えていたJonにRitchieが「Rockを主体としたAlbumを作らせてくれ」と進言。 これがハズれれば、 Purpleは第一期と同じくJonの主導の元、Classicへと傾倒して行っただろう。 そういう意味においては、Ritchieに、いや、Purpleに とって冒険的なAlbumだった。
しかし、RitchieはClassic色を完全に消すような事をせず、むしろそれを内包しつつ、更にHardなSoundを表面に打ち出す道を選んだ。
現在のPurpleにとっても重要なナンバー「Child In Time」などから、それが如実に表れている。
また、この曲は、新VocalistのIan Gillanの歌唱力が素晴らしい形で生かされてる曲だ。
この頃に平行して、Single 「Black Night」も同時リリースされている。
この曲は、日本で爆発的Hitを飛ばし、Purpleの名を日本国内に不動の名声にした。
当時、名古屋ではRock系は全く売れないというジンクスがあったのにも関わらず、Purpleはこの曲を名古屋の地でさえもHitさせている。
当時は、今までの路線から大きく外れたPurpleに冷たい声も上がったが、Ritchieの高い作曲能力に支えられたこのAlbumは、 当時としては恐ろしいまでのQualityの高さに支えれている。
また、「Flight Of The Rat」は、これからのRitchieの素晴らしいArming Playを現し始めた重要なナンバーではないかと、個人的には思う。



「Fireball」


前作「Deep Purple In Rock」でHR Bandとしてのスタイルを打ち出してきた彼らだが、 その成功に伴い、再びRitchie主導の元に作曲、制作された6th。
このAlbumでは、「In Rock」で培ったHR Bandとしてのスタイルをさらに一歩前進させている。
次作、「Machine Head」に繋がる、重要な布石となるAlbumだ。
PurpleのAlbumとしても、重要な意味合いを持つと、個人的には思う。
全般的に、RitchieのGuitarとJonのOrganがバランス良く配置され、それが楽曲の構成を向上させている。
前半は、ヒット性を持ったキャッチーな曲で構成されており、逆に後半は演奏面で聴かせる曲で構成されている。
しかし、逆に言えば、前半がキャッチーな曲で割と整理されている印象を与えるのに対し、後半の構成がやや雑多な感じがするのは否めない。
Album Tuneにもなった「Fireball」は、Ian PaiceのDrummingが冴えてる曲だ。
個人的には、アメリカ、邦盤の3曲目の「Strange Kind of Woman」はPurple史上最高の名曲だと信じている。
(イギリス、ドイツ盤では、代わりに「Damon's Eye」が収録されている。)



「Machine Head」


Purple史上最大、代名詞的な意味合いを持つ大傑作Album。
British Hard Rock、いや、世界のHard Rock界の至宝的不朽の名盤。
このAlbum無くしてPurpleやHRは語れないだろう。
その楽曲群は、その後のPurpleの重要なナンバーとなっていく曲に溢れ、特に「Highway Star」は第二期のOPナンバーとして、 「Smoke On The Water」はPurpleの名を知らなくとも、リフくらいなら多くの人々がきっと聴いた事があるだろう程の有名な曲。
他にも、「Lazy」や「Space Truckin'」はRitchieとJonの素晴らしいインプロヴィゼーション溢れるプレイが堪能できる。
あまり有名にはならなかったかも知れないが、「Pictures of Home」や「Maybe I'm A Leo」、「Never Before」等の曲も、十分に練られていて、聴き応えがある。
Purple初のセルフ プロデュース作であり、外部の人間の力を殆ど借りること無く制作された。
Yngwieを始めとして、他の多くのアーティスト達にも多大な影響を与えたAlbumである。
とりあえず、一度聴いてみる事をお勧めする。 このAlbumの感動を、言葉で言い表す術を、残念ながら私は知らない。
HR/HM好きなら、絶対に買って損は無い、いや、買うべきAlbumだろう。



「Made In Japan」


邦題 「Live In Japan」。
Live Albumとして、これもまたHard Rock界屈指の名作。
RitchieとJonのスリリング、かつインプロヴィゼーション溢れるソロ(ソリ)、RitchieとBig Ian (Gillan)の「Strange Kind of Woman」における緊張感漂う掛け合い、 RogerとLittle Ian (Paice)のがっちりと屋台骨を支える重厚なリズム セクション。 全てにおいて、「素晴らしい」としか、表現出来ないAlbumである。
ただ、あえて難を言わせて頂けるのならば、殆どが「Machine Head」のHit性のあるナンバーで纏められており、隠れた(と私個人は思っている)名曲である 「No No No」や「Pictures of Home」等の曲が収録(演奏)されなかったのは、個人的には残念だ。
しかし、このAlbumのQualityはこの選曲だからこそ引き出せたのかもしれない事を思うと、これが正解だったのかもしれない。

現在、このLive Albumを制作するために収録された東京(2回)と大阪での計3回のLive全てが収められているCD3枚組の「完全盤」が発売されている。
(私は、初回のイギリス盤を所有しているが、これを買った時は、まさか日本でも「完全盤」が発売されるとは思わなかった。/笑)

余談ではあるが、MetallicaのLarsは、「Made In Japan」の収録されたステージに、キスまでしたと言うエピソードがある。
(更に、その前日にYngwieが、そこでPurpleのナンバーのカヴァーを演奏した事を聞いたLarsは、顔を顰めたという“落ち”まである。/笑)
これ程までに、人に感動を与えたLive Albumと言うのは、少ないのではないだろうか?



「Who Do We Think We Are」


第二期最後のAlbum。
本作を最後に、VocalであるIan GillanとBassのRoger Gloverが脱退する。
この頃には、GuitaristであるRitchieとIan (Gillan)との仲はかなり険悪になっていたようだ。
一時期、Ianが脱退しなければRitchieが脱退する、と言う所まで行きかけたが、Ianの脱退によりそれは回避された。
その為か、今まで作り上げて来たAlbumに比べ、非常に纏まりに欠ける平々凡々なAlbumに仕上がっており、個々の曲自体もパンチに欠ける物が多い。
せいぜい1曲めの「Woman From Tokyo」が少々Hitしたくらいか。 「我々は何様なんだ?」という意味合いのタイトルが、この頃のPurpleの迷いを如実に表してる気がしてならない。
黄金の第二期の最後を飾るには、あまりにも相応しくないAlbumだと言わざるを得ないのが残念だ。



第三期


「Burn」


VocalにDavid Coverdale、BassとBacking VocalにGlenn Hughesを迎えて制作された第三期の傑作Album。
黄金の第二期を構成してた2人の穴を、どう埋めたかが注目されたAlbum。
いつも通り、様式美のスタイルは貫いているが、そこに更にソウルフルな味付けを加味された素晴らしいAlbumに仕上がっている。
この辺はDavidの功績も大きいが、何より唄えるBassist、Glennを加入させた事により、歌唱の方面に更に力を入れられるようになった事が が、このAlbumを素晴らしいものに仕上げられた最大の要因だろう。
特に、Album Tuneの「Burn」は、第二期の「Highway Star」に替わる、重要なOPナンバーとなった曲で、Davidのソウルフルな歌唱力に、 Glennの歌声が絡み付き、素晴らしい構成に仕上がっている。
他にも、「Child In Time」に替わるブルーズ ナンバーの「Mistreated」は、RitchieとDavidの絡みが素晴らしく、楽曲的にも優れた構成になっている。
このAlbumのラストを締める「”A”2000」は、Jonが実験的に作曲したもので、これからのPurpleの方向性を示唆しているようで、なかなかに面白い曲だと個人的には思う。

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