DE MELON on TRA No.2
夕陽は赤く−曲:弾耕作/編・英詞:中西俊夫
メロンの気持ち−曲・詞:中西俊夫/編:RUDE FLOWER
千昌夫の秀吉−曲・編:中西俊夫
鳥とピアノ−曲・編:中西俊夫
DEP'T AND COZO−曲・編:中西俊夫
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はっきりと最初に申し上げておくが、これは10月21日にデビューするメロンとは別のプロジェクトである。メロンでの活動はクオリティの高さが基本的条件となっているが、今回のデメロン・プロジェクトはその反対。ストリート・レベルのパワーである。 |
一曲目、加山雄三の「夕陽は赤く」もカバー・バージョンである。この曲で私がやろうとした事は左右を全く別に考え、二重音楽を作る事だった。結果的に右チャンネルにトーキング・ヘッズ的ファンク、左チャンネルにモロ、加山雄三的しょうなんさうんどが聞ける。聞き手の好みよってオーディオシステムのバランスを調節すれば左右どちらかも聞けるし、また左右一度に出してもちゃんと聞けるという点に注目して欲しい。なおソロで聞ける笛の音は、ボリビアのモセーニョという1メートル以上もある、珍しい笛である。「千昌夫の秀吉」にいついて。レコーディングに入る前夜、私ははっきり言って何のアイディアもなかったので、取りあえず虫の声でもとっておこうと思った。 | ![]() |
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そういうわけで夜の2時半ごろテープレコーダーを片手に家の近くの公園へ虫の声を録りに行ったのだが、突然、私の背後から、ヒタッヒタッヒタッと何かが駆けてくる音が、ヘッドフォーンで倍増されて聞こえてくるではないか!私がふりむくと、そこには全速力で私に向かってくる、3匹の犬がいた。一番先頭はのら犬らしく、それを追って毛の長い大きな犬と、小さなすばしっこい犬がワンワン鳴きながら駆けてくる。はっきりいって久しぶりに驚いた。足はすくみ、その場に釘づけ、額には冷汗がジワッ、思考は一瞬停止するわ、えらいこっちゃ。するとその20m後方に白いゴルフパンツに白いシャツの男が、ぐっと中ごしになって、「秀吉!カモン!」といってパン!と手をたたいたのだった。 |
そのとたん2匹の犬はくるりときびすを返し、私はホッと安どのため息をついたのだが、その後、私の母に聞いてみると、そのへんで秀吉と名のついた犬をもっているのは千昌夫しかいないという。そーか。あれは千昌夫だったのかそーいえば似てた。というわけで、そのテープをテープループにしてそれをベースにして作った。アンビエント・ミュージックがこれである。「ミュージック・フォー秀吉」シェパードには聞かせるな。 「鳥とピアノ」この曲は3つの違ったリズム、まず心臓の鼓動を録り、それに合わせて1234と数えたのを録音し、それに合わせて任意のピアノを弾いた。そのようにして3つの違ったリズムがからみ合い、お聞きのような不思議なメロディーが出来たわけである。 |
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ここで聞ける鳥の声は本物の鳥の声ではなく、バード・ウォッチングの時に使う、呼び笛をトリートメントしたものである。冒頭で聞こえる羽ばたきの音もウォーターチューブという楽器を使用したものである。またこの数人の中にカウントをしてもらい変拍子を作っていくという方法で曲を作れば、また別の感じの曲も出来ると思う。 「メロンの気持ち」これはヒングルヒットだ。秋にできることはすべてこの作品でやった(プロデューサ中西俊夫)。やったっスね!もー本当!やったっす!(ルード・フラワー一同)。ど−も最初のワンコーラスが何度やってもあ−なんだけどあれがいいって人もいるから、私としては...ブツブツ(シンガー佐藤千賀子) |
DE MELON 「TRA THE NEW ARTIST CATALOGUE No.2」1982年掲載 |