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S.M.B. TALKS about
"BLACK SHIP" RECORDING



S.M.B.[K:K.Katoh/R:R.Ohara/Y:Y.Takahashi/H:H.Imai]
K.Katoh and C.Thomas
K.Katoh and C.Thomas
−クリスがミカ・バンドをやりたいって話を聞いた時には、どういうところが気にいったなんて伝えられてきたの?
まあ我々のやっていることっていうのは、理由がないというか、あるというか、だからさ、むこうは直感的に、やりたいっていうんだったら、ああ、この人はいい人だなあと、じゃあやってもらお、といったように直感的なことだけなんだ。やれ何がどうのこうのっていうわけじゃなくてね。むこうも別に理由をいわないし、、後で聞いても知らないわけ。単にやりたいってことらしくて。
−それで、クリスをプロデューサーに迎えるにあたって、決意といいますか、ミカ・バンドで決議したようなことはあった?
音楽的には我々も年中ころころと変ってるっていうか、それと、我々内でひとつの結論出したわけね。それは、たとえばむこうの「ニュー・ミュージカル・エクスプレス」なんかに最初のアルバムの評が載ってて、ほめてある部分と、皮肉っぽい部分があるんだけど、結局、分析してみると、ぐしょぐしょにいろんなもの、影響とかも入っていて、それが特異なものを生み出してるっていうのね。で、ヒントはそこにあるんじゃないかって考えたわけ。
たとえば、今までやるんだったら、ソウルっぽいものもあれば、ロックン・ロールやレギーがあるというように、1曲1曲違うわけね。なんでそうなるかというと、みんなの好みのものが違うしさ、それ1曲に生かしちゃおうというか、全体のバンドのカラーをそういう風にしてしまおうということになったわけ。それに、より以上に自分達のもので勝負してみようってことをみんなで決めたっていうかさ、それになにしてくれるかっていうのもあまりわからなくて、ある種の期待はあったけれど、別にこういう風にしてくれというようなことはなかったんじゃないかな。その期待はわかんないわけで、わかってたらクリスは必要としないし、僕達でやってたし......。
−レコーディングの時だけど、クリスは指示をくれるの、それともアドバイス?
アドバイスだね。気分を変えてくれることもあれば、ここはこういう風にやってみたらってのもあるし、むこうも煮詰っちゃうと、クァーって感じで、防音の仕切り板で遊んだり、ハワイをスタジオの中に作ったり。そういえばね、いちばん最初の曲でね、どういう風にやろうかな、なんて適当にやってたらクリスが飛んできてね、いうんだ「スライ知ってるかい」って。もちろんっていうと、「フレッシュ聞いたかい」っていうから、あれは最高だよなんていっててさ。それでプレイ・バック聞いてるとなるほどって感じで、クリスが「もっとファンキーにやんなよ」って、それで、うん、わかったよってね(笑)。
Mika
K.Katoh, R.Ohara and H.Imai
−今回のレコーディングで何か得たことはありましたか。
なによりも感じているのは、メンバー一人々々の個性っていうか、いやそれよりも強力な、スゲェーっていうようなものをね、メンバーが持っているってことですね。
−クリスについてどう思ってます?
彼は僕らが考えられないほどの完全主義な人だと思う。だから時々、僕の理解できないぐらい、彼は追求してて、みんなも理解できないぐらいのね。彼はね、自分のアイディアっていうものをたいせつにするでしょう。そのひらめきに自分があきるってことがこわいらしくって、それを実現するためにすぐに手を打つ。そういうアイディアのフレッシュさを大切にするっていう所が、まあ僕達、日本のこの体勢の中ではやりたくてやらないその点じゃないかって思うの。
−ミカ・バンドに入ってから、君自身どんな風に変ったと思う? それと今回のレコーディングではどうだった?
入ったばかりの頃はね、曲も覚えないかんし、バックつけることしかできなかったでしょう。それが今回のアルバムのレコーディングではね、やっと何らかの働きができたというか、自分のキャラクターを曲の中に入れていけたと思うの。メンバーになったからには、俺はミカ・バンド変えたいしね。まあ何らかの役割を得られたのがうれしいね。
それと今回は、シンセサイザーとかオルガンとか、できるだけナチュラルな音にしてね、音楽的にフレーズの中で、しっとりとするような音にしようと考えてたんやけど、クリスも同じでね。まあセンスで勝負いうとこやね。それと僕は、クリスが雰囲気的に調子がでんと、まずいこというたらいかんという時でも、結構はっきりいうたしね。常に一方通行ではなく、お互いの立場をに立ってね。俺も楽器弾いてるし、考えることもあったからね。それはいつも出してたよ。まあ、16ビートのファンキーな曲にクラヴィネット使うのは、アメリカのコピーみたいでいやや、いうたら、クリスもそういうてくれてね、うれしかったわ。僕も自信ついて、それにミカ・バンドのオリジナリティーをどこに持っていったらいいかという確認がとれたみたいな気がするね。
日本のロック・グループとイギリスのプロデューサーが出会うとき
「ミュージック・マガジン」1974年6月号掲載分から抜粋
インタビュアー:小倉エージ


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