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C.THOMAS TALKS about
"BLACK SHIP" RECORDING 2


Chris Thomas
His portrait on inner sleeve
−あなたのプロデューサーとしてのポリシーとか、レコーディングの方法、それに今回のミカ・バンドのレコーディングと変ったことがあったかどうか。
今回のレコーディングは、いつものようにいきませんでした。たとえば、言葉の問題にしても、時間のこととか、設備についてのこと。それは私がこれまで使ったことのなかったもので、それを学ぶに充分な時間もなかった。それでも、運よく優秀なエンジニアがいてくれて助かりました。私は、幸運にもプロデューサーとしてスタートした時からずっとめぐまれた設備のもとで、いろんなことを学んできたのです。そんなやり方を変えるのはつらいことでした。
−あなたのふつうのプロデュースの仕方というのはどのようなものなのですか。
まず誰かに歌ってもらって、それがほんとにいい曲であれば、サウンドが、思いうかび、それを創造していくのですが、いや、そのアイディアが思い浮かぶかどうかはわからないとして、それは突然、ほんのささいなきっかけでつかめるようなものであり、無理に作り出せるもんじゃないのです。それを音楽、あるいは、サウンドとして置き換えようとするんですが、技術的にも、音楽的にも、これまでに充分すぎるぐらい学んできていますから、サウンドをつかんで、それをテープに置き換えることができるんで、それは満足すぎるぐらい。それこそ私がいちばんやりたいプロダクションなんですよ。
−でも時には演奏者と意見が喰い違うことがあるでしょう。
それは作者がこうしたいって強い主張を持っているときにおこるのでしょうが、でも彼の作品であるとすれば、僕の主張は押しつけられませんよ。でもうれしいことに、これまでたいていの場合、僕のアイディアを気に入ってくれています。
Mika
−ミカ・バンドのデビュー・アルバムを聞いて、あなたはオリエンタルな雰囲気があるって語ってたと聞きましたが。
いいえ。こちらにやってきたとき、彼らの音楽性があまりに西洋的すぎるようなので、彼らの中から日本的なものをひき出してみようと思ったのですが、でもそうしたところはあまりないようで、あるとしたら歌詞についてのことじゃないですか。
それにファンキーな面はとても自然に出てきていると思うし、同時にまたトノバンは、とてもリリカルなライターで、そのふたつをメインにして、スタイルを発展させていってほしいと望んでいるのですが。
−それでは、ミカ・バンドは、世界のポップ・ミュージック界のなかでは、どのぐらいのところに位置していますか。
さしあたって、ミカ・バンドがすべき最も重要なことは、日本において彼らがいかなる存在であるのかを認めさせる必要があるのではないでしょうか。ウェスタン・マーケットの中に入りこんでいくことを考えるには早すぎるようなきがするのですが。もちろん、日本のバンドがそれをやらないって法はなくて、日本からも出てくると思いますよ、ほんとうに。でも、ミカ・バンドにとって重要なことがらのひとつは、彼らの存在、日本ではあまりにも知られなさすぎるでしょう。日本で成功するに越したことはないし、それが海外進出への手助けとなるでしょう。
でも確かに彼らは、いろんな意味でとても有望であり、今回のアルバムは、ウェスタン・マーケットに進出するきっかけを作ることになるかもしれない。
−日本のロック・グループへの興味がありますか。
フェイシズの公演の時、ジョーを見ましたが、ずっと楽屋にいて、聞いてなかったので、なんともいえません。ですから知ってるのはミカ・バンドぐらい。なによりも気に入っているのは、オリジナルであろうとしていることであり、それはとても重要なことなのです。それに彼らのことがだんだんわかりかけてきたみたいで、いろんなアイディアをえることができたし、とても気に入っています。次のアルバムはもっといいものとなるでしょう。

日本のロック・グループとイギリスのプロデューサーが出会うとき
「ミュージック・マガジン」1974年6月号掲載分から抜粋
インタビュアー:小倉エージ


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