爆乳戦隊・パイレンジャー


最終話「最終決戦!!」

 

「さあ、いくわよ、美奈子ちゃん」

「はいっ」

 パイレンジャー基地の、地下格納庫である。アイドリング中のパイキャリア二号機に本上まなみ一尉とパイピンク・小向美奈子が乗り込んだ。本上一尉はネイビーブルーの海上自衛隊のパイロットスーツに、美奈子は迷彩服に身を包んでいる。パイロットのライセンスを取得している本上一尉がメインパイロット席(機長席)に座り、美奈子はその隣のコ・パイロット席(副操縦士席)に座る。

「本上一尉、私も連れて行ってください」

 後ろの方から聞こえた声にまなみが振り返ると、本上一尉の秘書官、佐藤江梨子陸士長だった。迷彩服をつけている。そして、なんとその手首には、パイ・リストが装着されていた。

「江梨子、あなた……」

「私も、スタッフからパイレンジャーになるOKを貰ったんです。あ、長官のお許しはまだですけど」

 江梨子はニコッと微笑み、ぺロッと舌を出す。本上一尉は苦笑するしかない。

「フフッ、OK、私が許可するわ。美奈子ちゃん、席を替わってあげて」

まなみに言われた美奈子は江梨子に副操縦士席を譲り、後ろにある通信士席についた。

「さあ、イクわよっ!」

 そういうと、まなみは親指を立ててフロントウインドーの向こうにいる整備員にサインを送った。

「OK、PC−2、テイクオフ・スタンバイ!」

 格納庫内に放送が流れ、警告ブザーが鳴る中、PC−2、つまりパイキャリア二号機の乗っている床が動いた。前方にある隔壁が開き、斜め上方に延びている地上までの通路に入った。

「ハリィアップ!……ハリィ!……ハリィ!」

 急げ! という管制官の声が、通路内に響く。

(ごめんなさい、京香長官……。これって、命令違反ですよね。でも、わたし、じっとしていられなかったんです……)

 そう心の中で詫びながら、まなみは通信機のスイッチを入れ、作業室を呼び出した。

「どうですか、調整の方は?」

「もう少しです、あと十五分でやります!」

 職人肌の中年の技術員が応答してきた。

「頼みます……。完了したら連絡をください」

(この様子なら、大丈夫そうね)

 まなみは安堵のため息を漏らしながら通信機のスイッチを切ると、計器類のチェックを始めた。その間にも、パイキャリアは地上に向けて移動していく。

いくつもの隔壁を通り、数十メートルを上りきると、地上に出た。防衛庁の前庭にあるヘリポートに出た。まなみはVTOLの翼を上方に向ける。高性能ターボプロップエンジンが唸り、プロペラが高速で回る。

「PC2、チェック・ユア・システム」

 防衛庁の最上階にある管制室から、最終確認を促すコールだ。まなみは全ての計器が正常であることを確かめると、応答を返す。

「システム・オール・グリーン」

「OK,ゴー! PC2! グットラック!」

 離陸許可が出た。

「ラジャー、PC2、テイクオフ!」

 夏の青空に向けて、パイキャリアの銀色の機体が舞い上がった。まなみが見下ろす東京の街は、レイパー族の電波ジャックによる混乱も沈静化し、普段の落ち着きを取り戻しつつあった。だが、これからまなみたちが向かう先には、凄惨な戦いがまだ続いているのだ。パイキャリアは充分な高度をとると、水平飛行に移り富士山麓を目指して飛び立っていった……。

 

 その頃、パイキャリアの目指す富士の樹海では、地獄絵図が展開されていた。

 パイレンジャーの援護の為に派遣された自衛隊特殊部隊・レッドベレー小隊は壊滅し、最後の一人である隊長の菅野美穂一尉は、レイパー族の首領・キングレイパーに陵辱されようとしていた。

「いやああっ、いやっ! やめてぇ!」

 美穂は、キングレイパーの左手指が変化した五本の触手に絡めとられた身体を動かして逃れようとするが、無駄な努力にしかならなかった。もはや美穂は、特殊部隊の隊長としてではなく、レイプされつつある、か弱い女性の一人でしかなかった。

 その凄惨な姿に、長官・鈴木京香と爆乳戦隊・パイレンジャーの五人の女戦士は立ちすくむしかなかった。

 だが、さすがにチームリーダーのパイレッド・優香は自分が次にすべき事を考えていた。

「みんな! パイソードで、五人全員でかかるのよ! いい!」

「オッケー!」

 光線兵器であるパイレーザーや、各個人の爆乳から繰り出される必殺技は、美穂が盾とされているため使う事ができない。五人はパイソードのレーザー剣を抜き、素早くキングレイパーの回りを取り囲んだ。これならキングレイパーの右手が変形した剣で誰かのパイソードが止められたとしても、残り四人の攻撃がヒットするはずである。

「イクわよっ! それっ!」

「やああああっ!」

 パイレッドの合図で、五人がタイミングを合わせ飛び込んでいく。

同時に五本のレーザー剣をキングレイパーに浴びせた。

優香の目論見どおり、パイイエロー・乙葉の剣は受け止められたが、他の四人の剣は、キングレイパーの背中や腰を確実に切り裂いていた。

「グォオオオオオオ!」

 キングレイパーの雄たけびが樹海に響き渡る。

「やったか?!」

 パイブラック・小池栄子が振り返った。

「手ごたえ充分!」

 パイブルー・眞鍋かをりも叫ぶ。

 だが、しかし……!

「ウソ……、でしょ」

 パイホワイト・酒井若菜は後ずさり、呆然とした。

 キングレイパーの皮膚の切り裂かれた部分から蒸気のような湯気が上がる。まるで高速逆回転のビデオを見ているかのようなスピードで見る見るうちに傷口が塞がり、肉が盛り上がっていく。

「そ、そんな、パイソードが効かないなんて……」

 パイレッド・優香は絶句した。

「フハハハハ! そんなオモチャでは私は倒せん! これでも食らえ!」

 キングレイパーの右手が鞭のようにしなり、取り囲んだパイレンジャー達を打ち据えた。

「キャアアアアッ!」

「アアッ!」

 五人の身体がはじき飛ばされ、パイ・スーツの内部回路がショートした。

「フッ、邪魔ばかりしおって。よーく見ておくがいい、パイレンジャー! お前達もやがてこうなるのだ!」

 そう言うと、キングレイパーは触手でからめ取っている菅野美穂一尉の裸体を自分の方に向けた。

「いっ、イヤッ! やめてぇえ!」

「フフッ、そう言っていられるのも今のうちだ。今に男が欲しくてたまらない身体になるのだからな。ほーら、こうすれば……」

 キングレイパーの舌が蛇のように伸び、美穂の薄い胸を舐めた。粘性の強い唾液が、美穂の桜色の乳首を濡らした。

「はうっ!」

「フフッ……、今度はマンコだ」

 舌が美穂の下腹部に伸びる。

「ああっ、いやっ、あ、アアッ!」

 異臭を放つ唾液を撒き散らしながら、大きく拡げられた美穂の股間に舌が触れた。

「アーッ、い、いやああああ!」

 美穂のピンク色の花園を、おぞましいキングレイパーの舌が蹂躙していく。

「あ、まさか、この匂いは……」

「私たちを苦しめた催淫薬だわ!」

 パイブラック・栄子とパイレッド・優香がマスク越しにだだよう異臭を感じ取った。

「と、いうことは、美穂ちゃんは……」

 京香長官がそう言い終わらぬうちに、美穂の絶叫が樹海の森に響き渡った。

「アアアアアーッ! 熱いっ! か、身体が熱いっ、アアアアッ!」

 美穂の白い裸身がピンク色に染まっていく。恐怖のあまり縮みあがっていた乳首が次第に硬く膨らみ、股間の割れ目がヒクつき始めた。呼吸が荒くなり、大きく口を開けて喘ぎ始める。

「アウッ、アアッ、ハアアッ……」

 触手に掴まれたままの裸身をふるわせて、美穂が喘ぐ。パックリと口を開けた花弁から溢れ出た蜜が、美穂の股間から太股にかけて幾筋も垂れていた。

「フフフ、見たか、パイレンジャー! こうなると、お堅いはずの隊長さんもスケベなただの牝だな」

「おのれキングレイパー! 美穂ちゃんを離しなさい!」

 京香長官の凛とした声がそう言い放った。だが、それで態度を変えるキングレイパーではない。

「ほう、この女、美穂という名前か。いい名前だ……。ほうら、美穂、欲しいか? 俺様のチンポが! それ、咥えるんだっ!」

 キングレイパーの股間のいきり立ったペニスが伸びた。美穂の唇を強引にこじ開け、犯していく。

「フグッ、ウウウウッ!」

 キングレイパーの巨大なペニスが、美穂の美しい唇を陵辱していく。

「フフフ、上手いぞ美穂! お前のフェラチオ、最高だ! フハハハハ!」

 キングレイパーの歓喜の笑い声が森じゅうに響き渡る。

「か、菅野一尉!」

「くっそぉお!」

 パイレッド・優香が、パイブラック・栄子が、パイソードをふるい、キングレイパーに飛びかかる。必殺の想いを込め、パイレッドの剣は背中を、パイブラックの剣は肩口を切り裂く。だが、先程と同じように切り傷はできるものの、切られた跡は即座に修復されてしまう。ダメージは全くない。

「ええい、小うるさい蝿どもが!」

 キングレイパーがそう叫ぶと右手を一閃した。レーザー光線を思わせる電撃が飛び、パイレンジャー達を攻撃する。

「きゃあっ!」

「ああっ!」

 先程の鞭による攻撃よりも強い衝撃が、パイレンジャー達を襲う。地面に倒れこみ、電撃のショックにのたうち回る。

「フフフ、さあて、今度は下のお口をいだだくとするか。指チンポではなく、親チンポでたっぷりかわいがってやるからな」

 美穂の唇から、抜き取られたペニスが今度は美穂の股間を襲う。キングレイパーの左手の触手が、美穂の太股を左右に開いた。美穂の唾液まみれになったペニスは、それ自体意思を持っているかのように股間に迫る。

「い、いやあああ! 助けてぇ! あああああーっ!」

 ズボッ!

 美穂の哀願をあざ笑うかのように花びらがこじ開けられ、ペニスが挿入された。

「キャアアアアアアア! いっ、いやあああああ!」

「くふうう! すげえ、締まりのいいオマンコだぜ! さすが鍛えてある身体は違うな」

 ベニスが美穂の股間を出入りし始めた。催淫剤の効果で充分に濡れていた美穂の花びらが、グチュグチュと音をたて始めた。

「み、美穂ちゃん……」

 やや離れた場所にいる京香長官は、立ちすくんだまま、その光景を見ているしかなかった。京香にとっての美穂は、愛情を込めて接してきたかつてのかわいい部下だけに、握りしめた手が怒りに震えていた。

「あああ、たまらん、この分なら何発でもできそうだな! フッフッフッ!」

「アッ、ウッ、アアアッ!」

 美穂は、自らリズミカルに腰を振り立てて、キングレイパーのペニスを身体の奥深く受け入れていた。白い肌は、汗にまみれ、開けられた唇からは突かれる度に喘ぎ声が洩れる。

「くあああ、自分から腰を使いおって、スケベな雌豚め! ようし、孕ませてやる! 一発目だ! それっ!」

 ドキュウウッ!

「んんっ……はうあっ!」

 美穂の胎内に、キングレイパーの精子が注ぎ込まれた。同時にボコッと美穂の下腹部が膨らんだ。

「キャーッ!」

「ああっ!」

「み、美穂ちゃん!」

 パイレッド、バイブルーと京香長官が叫ぶ。呆然としている間にもキングレイパーはまだ腰を使っている。

「まだまだあ! 一人じゃ寂しいだろうからな、双子にしてやる。そりゃっ、2発目!」

 ドピュウウッ!

「アウアアッ!」

 美穂の胎内に、二発目が注ぎ込まれた。先程の膨らみとは別にもう一つ膨らみができた。

「あ、ああ、ひ、ひでぇ……」

 パイブラックが半泣きになった声をあげる。

「そりゃっ、三つ子だっ。三発目!」

 容赦なくキングレイパーは、抜かずの三発目を放つ。

 ドキュリュン!

「ウウッ!」

 半ば意識を失いかけている美穂は、低く呻いただけだ。膨らみが三つになる。その膨らみは徐々に大きさを増し、美穂の下腹は、大食らいのカエルのように大きく膨らんでいく。

「美穂ちゃん!」

 京香長官の問いかけに、美穂は俯いていた顔をあげて京香を見つめた。目から涙を溢れさせながら、パクパクと口を動かした。もう声も出ない。

(お・ね・が・い……、こ・ろ・し・て……)

 京香は読唇術で美穂の唇の動きをそう読み取った。物音を立ててはいけない潜入戦闘時には意思の疎通に必要な読唇術は、レンジャー部隊の必須科目なのだ。

「美穂ちゃん! わかったわ!」

 京香は足元に落ちていた自動小銃を拾うと、立ち撃ちの姿勢で構えた。一連の動作で引き金を絞る。

 ズキュウウウウウン!

 樹海の森に銃声が轟いた。

 京香の放った銃弾は、美穂の眉間を打ち抜き、頭蓋骨を抜けて脳細胞を破壊した。力を失った美穂の身体は、だらりと弛緩した。

「ちょ、長官! ひどすぎます!」

「なんてことを!」

 パイイエローとパイホワイトが京香を非難する。が、京香の両頬を伝う涙に、その意味を悟り黙り込んだ。

「くそう! よけいなことをしおって! こうなれば、お前達パイレンジャーの身体をいただくまでだ!」」

 怒り狂ったキングレイパーは、美穂の遺体を放り投げ、パイレンジャー達に迫った。

 その時だった。

「待ちなさーい!」

「ちょっと待ったぁ!」

 二人の女性の声が、割って入った。

「あ、あなたたちは……」

 パイレッド・優香が振り向くとそこには……、

「パイピンク・小向美奈子!」

「パイグリーン・佐藤江梨子!」

 ピンク色と緑色のパイ・スーツをそれぞれ身につけた新しいパイレンジャーが、そこに立っていた。

「みなさん、私たちも戦います。それに、まなみさんも……」

 そう言ってパイグリーン・江梨子が指を指した上空を、本上まなみ一尉が操縦するパイキャリア二号機が低空飛行で飛び去った。

「長官、あの……、これ、まなみさんからです。長官に渡すようにって」

 パイピンク・美奈子が、何かを京香長官に渡した。

「えっ、なあに」

 ネックレスのケースより一回り大きい、黒い箱だ。それを受け取った京香は戸惑いながらもその箱を開けた。

「あっ、これは……!」

 京香は上空を飛んでいるはずのまなみの方を見上げて苦笑しながら、やがておもむろに、着ていた迷彩服を脱いだ。

 剥き出しになったDカップのバストがブルン! と揺れる。

 美奈子から受け取ったもの……。

 それは金色に輝くパイ・リストだったのだ。

 京香はそれを手首につけると、二つの美しい乳房を掴みあげて、叫んだ!

「爆装! レインボーチャージ!」

 虹色の光が輝き、京香の身体がそれに包まれる。

 そしてその光が収まった時、黄金色に輝くパイスーツを身につけた戦士が現れた。

「パイゴールド・京香!」

 そう叫んだパイゴールド・京香のバストがブルン! と弾む。

 これでパイレンジャーは8人となった。

「ちょ、長官も、パイレンジャーだったんですか?」

 パイホワイト・酒井若菜が驚きの声をあげる。

「フフッ、若菜ちゃんには言ってなかったかしら? 私がパイレンジャーの第一号だったって事……。そんなことより、みんな! 美穂ちゃんや他の隊員達の仇をとるのよ! パイレーザー、一斉射撃!」

「はいっ」

 7人の応答の声が同時にあがった。

「パイレーザー!」

 8本の光線が、キングレイパーの身体に向けて放たれた。パイレンジャー達の怒りの攻撃だ。盾にされていた美穂がいなくなった分、もう遠慮はいらなかった。だがキングレイパーは文字通り光の速さのスピードで、その攻撃をかわしていく。

「フハハハハッ! 5人だろうが8人だろうが関係ない! みんな順番に犯してやるぞ! さあ、最初の生贄は誰だ」

 勝ち誇った高笑いとともに、キングレイパーが叫ぶ。筋肉がパンプアップして、一回り身体が大きくなったようだ。そのまま腕組みをしてたちすくんだまま、パイレンジャー達を見据えた。余裕の表情だ。

「ああっ、だめだわ。動きが速すぎて、捉えきれない。……長官、どうしますか」

 パイレッド・優香が京香長官、いや、パイゴールドに指示をもとめた。

「そうね……」

 パイゴールド・京香は上空を見上げながらパイ・リストの通信スイッチを入れた。上空のパイ・キャリアに残っている本上一尉を呼び出す。

「本上一尉、こちらパイゴールド。聞こえる? 状況は?」

 間髪を入れずに応答があった。、 

「はい、長官、たった今、新兵器のチェックを完了しました」

「了解。……グットタイミングね。ええっと、新兵器の転送のキーワードを知っているのは……、ホワイトね」

「はい、長官」

 パイホワイト・酒井若菜が進み出る。

「じゃ、転送とセッティングを頼むわね」

「はいっ」

「あ、で、でも長官、その間にキングレイパーが……」

 疑問をさしはさんだパイブルー・眞鍋かをりを制して、パイゴールド・京香は、キングレイパーと7人のパイレンジャー達の間に割って入った。

「みんな、ここは、私に任せて。新兵器のセッティングに専念してちょうだい」

 その様子を見ていたキングレイパーが叫んだ。

「なにをごちゃごちゃ言っておる! ようし、望みどおり、まずはパイゴールドからその身体を頂いてやる」 

 両手を鋭いナイフに変形させて、キングレイパーが一歩足をすすめた。

「そうわいかないわっ!」

 パイゴールド・京香は爆乳に両手をあてがった。

「変態野郎のお相手は、この私だけで充分よっ。いいわね、イクわよっ! 『爆乳!ゴールデンシャワー!!』」

 パイゴールドの渾身の必殺技が炸裂した。

パイ・スーツの乳首から、金色に輝く液体が飛び、キングレイパーの身体に降りかかる。

「フハハハハ! 京香女王さまの黄金水か。こりゃあいいぜ。出来れば股間から、直接飲ませてもらいたいものだな」

 そう不敵に笑いながら、キングレイパーはパイゴールドの『ゴールデンシャワー』を浴びつつも、歩みを止めない。

 そのままじりじりと、パイレンジャー達との間合いを詰めていく。

「おおお! 塩辛いぞ! 本当に黄金水のようだな、フハハハ!……グッ、ウッ、ギャアアアアア!」

 キングレイパーの顔が苦痛に歪む。それは、ただの黄金水ではなかった。強力な酸を含んだ溶解液なのだ。

「ギャアアアアアッ!」

 キングレイパーの体が溶け始める。地面を転げ回りのた打ち回る。

「今よ、若菜ちゃん!」

「ラジャー!」

 パイホワイト・若菜は両手をマスクの前でクロスさせると、手首のパイリストにキイワードを囁く。キイワード認証のコールが返って来ると、今度は大声で叫んだ。

「カモン! 『オメガバスター』!」

 若菜の叫ぶ声に、呼応して目の前の空間に歪みが発生した。虹色の光がスパークして、パイレンジャーの最終兵器『オメガバスター』が転送されてきたのだ。銀色に輝く砲身は、独特の形状をしていた『プッシーキャノン』とは異なり、通常兵器の無反動砲の思わせるフォルムである。だがその砲口は名前の通りオメガ(Ω)型になった独特の形状をしていた。

「さあみんな、セッティングを急いで。『オメガバスター』のパネルの中にあるコードを、直接オッパイのプラグに繋ぐのよっ!」

 パイホワイトの指示で、パイレンジャーたちは『オメガバスター』を担ぎ上げた。パイイエローとパイブラックが前列に、パイブルーとパイレッドが後列に位置している。五人はその側面にあるパネルを開けてコードを引き出す。コードの先をパイスーツの乳首の部分にセットした。サブメンバーであるパイグリーン・佐藤江梨子とパイピンク・小向美奈子は、パイレッドとパイブルーのヘルメットの後部から三つ編みの髪のように伸びたコードを乳首に繋ぐ。二人はこうすることでパイスーツのエネルギーを『オメガバスター』に注入するのだ。

「長官も、早く!」

 砲身の末尾にある照準スコープをチェックしながら、パイホワイトが叫ぶ。

「わかったわ」

 まだ、身悶えているキングレイパーを見ながら、パイゴールド・京香はパイホワイトの背中に下がっているコードを乳首のプラグにセットした。

「みんな、イクわよっ! パイエナジー、チャージ!」

 パイホワイトが、エネルギー充填のスイッチをいれた。

「ウウッ」

「ああん」

「はあん」

「いやん」

 乳首から直接体内のパイエナジーを吸われ、パイレンジャーたちは身悶えた。『オメガバスター』に必要なエネルギーを満たすため、

限界までパイエナジーを使うため、強烈な力で搾乳……いやエネルギーを吸い取っていくのだ。

「エ、エネルギー充填、80パーセント、85、90……」

 パイホワイトが、照準装置の脇にあるエネルギーゲージを読み上げていく。

「100、110、120……」

 エネルギーの充填はまだ終わらない。

「ちょ、ちょっと、若菜! ま、まだやるのかよ!」

 腰をふらつかせながら、パイブラック・栄子がたまらず叫んだ。

「そうよ、『オメガバスター』は『プッシーキャノン』よりもパイエナジーを必要とするの。みんな、がんばって!」

 若菜の代わりに、パイゴールド・京香が応じた。

「みんな、これで最後よ! レッドベレーの隊員の仇を、菅野一尉の仇をとるのよっ!」

 パイレッド・優香も全員に声をかけた。

「おう!」

 パイレンジャーたちの声が、樹海に響く。心なしかエネルギー充填のスピードが速くなっていく。

「エネルギー充填140……150パーセント!」

 エネルギーゲージが目一杯みたされ、発射OKのサインが照準パネルに表示された。

「よしっ、照準セット!」

 ちょうどその時、ようやく身体を再生させたキングレイパーが立ち上がった。

「ロック・オン! 『オメガロード』シュート!」

 パイホワイトが叫びながら、二つある引き金のうちの一つを引いた。

 Ω型の砲口が、白く輝いた。下の足のようになった部分から、虹色の二本の光条が伸びていく。『オメガロード』の名前のとおり、道のように伸びた光が、キングレイパーを捉えた。

「ぐウッ、クッ……おお? フッ、フハハハ! なんだこれは、全然効かないぞ!」

 まとわりつくだけの光の帯は、確かに何の効果ももたらさなかった。

「こんなもの、すぐに振りほどいて、その大砲ごと、お前たちをぶっ殺してくれるわ!」

 キングレイパーはそう言い放つと、『オメガロード』を振り払おうとする。全身の筋肉をパンプアップさせて、その力で光の帯を切ろうというのだ。しかし、どんなに力をこめてもそれを切ることができなかった。

「ウウッ、なんだこれは! は、離れんぞ! そ、それに、身体も動かない!」

「かかったわね、キングレイパー。『オメガロード』はお前の動きを封じるための第一段階にすぎないのよ!」

 パイホワイトは、そう告げるとパネルのスイッチを入れた。

「『オメガボール』、ビルドアップ!」

 砲口の白い光が輝きを増し、光の玉を作り出していく。一メートルほどの大きさに膨れあがったそれは、パイレンジャー8人の怒りの固まりだ。

「くらえ! 『オメガボール』シュート!」

 パイホワイトが、もう一つの引き金を引いた。

 ドォン! という音とともに、『オメガロード』の上を、光の玉『オメガボール』がゆっくりと動き出した。徐々に加速度を増していく。

「お、おい、冗談だろ! や、やめろ! な、俺ともっと楽しも……ウアッ、ウギャアアアアアアア!」

 絶叫するキングレイパーに『オメガボール』がヒットした。

「う、オオッ!」

 キングレイパーは、シュートを正面から受け止めたゴールキーパーのように、輝く白い玉を抱きとめた。

「フハハハ! う、受け止めたぞ! フ、ファインセーブってヤツだな!」 

 だが次の一瞬、『オメガボール』が轟音とともに炸裂した。

「ギャ−ッ!」

あたりの樹木が吹っ飛び、草が焼け、地面が抉られ、割れた。

強烈な熱が、細胞すら残さずキングレイパーの身体を灼き尽くしていく。

「こっ、これで終わりだと思うなよ! パイレンジャー! わ、我らの力は……ウワアアアアアアアア!」

 断末魔の声とともにキングレイパーの姿は、消滅した。

 戦いは、終わった。

 

「エピローグ」

 

……一ヶ月後。

「YAL69便、ロサンゼルス行きにご搭乗のお客様は……」

 旅客機への搭乗を促すアナウンスが、成田空港のロビーに響く。

「それじゃ、長官、行って来ます」

「ありがとうございました」

「お世話になりましたぁ」

 優香、眞鍋かをり、乙葉の三人が、京香長官に敬礼をした。

 自衛隊の制服姿の鈴木京香長官が、敬礼を返した。側にいた小池栄子、酒井若菜、佐藤江梨子、小向美奈子、そして本上まなみも敬礼を返す。

「気をつけてね。三人とも、がんばるのよ。」

 聖母のような微笑みを浮かべながら、京香は三人を励ました。

「はいっ」

 三人は出国窓口に向かって歩き出した。

 あのキングレイパーとの最終バトルから一ヶ月。レイプ犯罪の本場、アメリカでレイパー族の動きを察知した国連軍の要請で、三人はアメリカのパイレンジャー創設の教官として派遣されることになったのだ。

「あーあ、寂しくなっちゃうねぇ」

 黒のタンクトップ姿の小池栄子が、ボヤいた。

「ほーんと。パイレンジャーも、プラスマイナスで4人になっちゃったじゃないですか。どうするんですか、長官?」

 白のワンピース姿の酒井若菜が心配そうな顔で京香に問いかける。

「フフッ……その心配はいらないわ。ほら」

 京香が指で挿し示した入国窓口から、一人の女性が姿を現した。

 迷彩服に身を包み、頭には赤いベレー帽をつけている。

「レッドベレー小隊……」

 佐藤江梨子の呟きに、本上まなみ一尉が答える。

「そう、彼女はレッドベレー小隊の最後の一人なの。ヨーロッパに研修中だったから、あの作戦には参加していなかったの」

「それじゃあ、この人がパイレンジャー?」

 セーラー服姿の小向美奈子が京香長官に問いかける。

「そうよ……。彼女が新しいパイレンジャーなの。……お帰りなさい」

 レッドベレー隊員は、京香の前で敬礼する。

「パイオレンジ、MEGUMI、只今着任しましたっ!」

 迷彩服の上からでも充分確認できる爆乳が、ブルン! と揺れた。

「やったぁ、これでまた五人だぜ!」

 小池栄子が嬉しそうに爆乳を弾ませ、飛び上がった。

「さあ、みんなそろったところで、和風喫茶「京香」も再開したことだし、帰ってお茶会にしましょうか、」

 微笑みながら、京香が提案した。

「はいっ」

「あ、あたし、おしるこー!」

「私はあんみつ〜!」

 新メンバーを加えた全員は、そろって嬉しそうに空港ロビーの出口へ歩き始めた……。

 

 ……危機は去った。

 乙女の身体を武器に、レイパー族とキングレイパーを倒したパイレンジャー。

 だが、性欲というものがこの世にある限り、また新たな敵が現れても不思議ではないのだ。

 しかし今はただ、新たな戦いの日までのつかの間、その豊かな乳房を休めるがいい。

 さようなら! 爆乳戦隊・パイレンジャー!!

 ありがとう! 爆乳戦隊・パイレンジャー!!

 

(爆乳戦隊・パイレンジャー・完)


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