レースクイーン淫肉グランプリ〜濡れたサーキット〜
エピローグ
・・・・・・数日後、俺は成田空港の搭乗カウンターを通り、飛行機に向かっていた。
ロンドン行きの国際線に搭乗するためだ。ロンドンから飛行機を乗り継ぎ、アフリカに向かうのだ。
ようやく俺の長年の願いがかない、アフリカに野生動物の撮影に行くことになったのだ。
だが、今ひとつ俺の表情は冴えなかった。
ここにこぎつけるまでの数日間を考えると、あまり気持ちのいいものではなかったからだ。
◆ ◆ ◆
ようやく双子ボクロの女、山咲百合を探しあてたのに、百合自身はチーム時限のオーナーとは寝ていないという。
ましてや百合には、事件当日沖縄にいたという確実なアリバイがあったのだ。
マシンの秘密を握るフロッピーの存在など、百合は知るはずもないだろう。
いったいどういう事なのか?
俺は、その日、百合を東京に送り届けると、恋人の赤木祐子とともに、祐子の叔父でもあるチーム時限のオーナーのところに駆け込んだ。
そして、祐子の叔父を問いつめると、全ての事実が明らかになった・・・・・・。
「度会さん・・・・・・、申し訳ないッ!」
そう言って祐子の叔父は俺に平身低頭し、話し始めた。
それによると、全ては祐子の叔父の作り話だったらしい。
フロッピーを紛失した彼が、チームのメンバーやスポンサーに対してついた嘘だったのだ。
もし彼自身の責任が問われると、数億円のスポンサー料が吹っ飛んでしまう。
そこで俺をダミーにして、その危機を乗り切ろうとしたのだそうだ。
どうせ失敗するのだから、手付け金の500万円だけで損失は抑えられるからだ。
双子ボクロの女の話ももちろん、でまかせだった。
山咲百合に双子ボクロがあったのは、本当に偶然だったらしい・・・・・・。
「すまん、本当に申し訳ないッ!」
そう言って、祐子の叔父は俺に成功報酬の500万円の小切手を切った。
そして・・・・・・。
◆ ◆ ◆
そして、俺は、成田空港にいた。
お詫びのしるしとばかりに、当初の約束通り、祐子の叔父は俺の写真集のスポンサーになってくれたのだ。
俺の本来の性格なら、そこで祐子の叔父をぶん殴り、小切手を叩き返すところなのだが・・・・・・。
俺は、目先のニンジンに食いついて、アフリカ行きを決めてしまったのだ。
俺の表情が冴えないのはそのせいだった。
(ふう〜。まあ、いいか・・・・・・。)
俺は胸ポケットからショートホープの箱を出し口に咥えた。
これから数時間の飛行機内は禁煙だ。思いっきり吸っておかねば・・・・・・。
俺は火をつけようとライターを取り出す・・・・・・。
と、そのライターをしなやかな指が奪い取り、煙草に火をつけた。
「おーい、元気ないぞー。ゴーちゃーん!」
「ゆ、祐子、お前・・・・・・!」
祐子は俺と同じ航空便のチケットを見せびらかしながら、俺に「祐子スマイル」で微笑みかけた。
「エヘヘヘ。モデル事務所、辞めてきちゃった。ねえ、アシスタントの仕事なーい?」
「・・・・・・ああ、あるよ。1人分だけな。」
俺は、煙草を灰皿に捨てると、祐子のデカパイをつかんで引き寄せた。
祐子の唇を奪いながら、目を閉じると、アフリカの草原が見えたような気がした・・・・・・。
(おわり)