- Cristmas special - クリスマスに贈るほん HOME

今回は趣向を変えて、ミステリから離れたクリスマス本を。
プレゼントにもらったら嬉しい絵本をピックアップしてみました。
子供だけでなく、大人でも楽しい。
そんなラインナップ(のつもり)です。
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『ワニのライルのクリスマス』
Lyle at Christmas Bernard Waber
バーナード・ウェーバー、小杉佐恵子訳
大日本図書
ISBNコード:4-477-01068-0 / ¥1,476

 物語の舞台はNY。東88番通りに引っ越してきたプリムさん一家は、バスルームにワニがいてびっくり。(そりゃ、びっくりだろう) 最初は驚いたプリムさん達だけど、そのうちプリムさん一家はワニのライルが大Dきになって……、と、ほのぼの心温まるお話。
 ここでワニとどう意思の疎通をするのだ、とか、食われないのか、とか、くだらないことを言ってはいけない。ライルは歌も歌うし芸もする。ベッドのシーツだってピシっとかけられるあたりが自慢なのだ。(私には出来ないぞ、そんな上手なベッドメイク)
 ライルは読者にも愛されてシリーズ化されて、これは、そのクリスマス・ストーリィ。
 何が好きって、ライルが家で掃除をするくだりだ。ひとりでお皿を洗ったり、床を磨いたりしているうち、ライルはひとり遊びでワックスのCMごっこをするのだ。
 ああ……これ、いかにも私がやりそう(笑)。
「いかがですか、このスーパー・リオハ・ワックス。従来品に比べて輝きは30%アップ、しかも乾燥時間は40%も短縮!」
 ……実演販売のようにスラスラ出てしまったわ……(笑)。
 そんなオチャメなワニなら、バスルームにいてくれたら嬉しい……かもしれない。

『まどからおくりもの』
五味太郎
偕成社
ISBNコード : 4-03-338030-2 / \1,000

 私はこの人の「しかけ絵本」が大好きで、いまだに書店に行くと絵本コーナーに立ち寄って見てしまう。しかけ絵本とは、本の作り自体にしかけがある本のこと。この本なら、イラストの窓部分がくりぬいてある。開いた窓から、部屋の中(次のページに描いてあるもの)が一部見えるのだ。
 どの本もその「しかけ」が上手くて、子供だけのものにしておくのはもったいくらい。
 物語はサンタさんが窓からのぞいてプレゼントを配っていくという単純な話なのだけれど、見える部分から想像できるものと全体像は違っていて、ページをめくるたびにドキドキだ。
 サンタさんはトンチンカンなプレゼントをあげてしまっている。でも、大丈夫。最後はみんなニコニコと喜んでいるから。
 楽しくって微笑ましい、こういうのがいい絵本だなあ、と、思う。お値段もかわいいのが、また素敵。

『サンタクロースっているんでしょうか?』
Yes, Virginia, There Is a Santa Claus Francis P. Church
フランシス・P・チャーチ、中村妙子訳、東逸子画
偕成社
ISBNコード : 4-03-421010-9 / \800

 これは前の2つより字が多いです。ちょっとおねえさん向き。と、いっても、対象年齢は小学1、2年生と書いてあるから、ここをご覧の大きなお友達は心配いりません。
 内容は、1897年、8歳の少女の質問に答た新聞の社説。
 1897年といえば19世紀だ。それから延々と100年以上、皆様に親しまれ、愛されてきた文章なわけですね。
 しかし、ひねくれた私はここで待ったをかけたい。
 以下は少女のお手紙の全文である。

 きしゃさま

 あたしは八つです。
 あたしの友だちに、「サンタクロースなんていないんだ。」っていっている子がいます。  パパにきいてみたら、
「サンしんぶんに、といあわせてごらん。しんぶんしゃで、サンタクロースがいるというなら、そりゃもう、たしかにいるんだろうよ。」
と、いいました。
 ですから、おねがいです。おしえてください。サンタクロースって、ほんとうに、いるんでしょうか?

バージニア・オハンロン
ニューヨーク市 西九五丁目一一五番地

 これが日本なら「読売新聞に聞いてごらん。読売新聞がいるというなら、そりゃいるんだろうさ」ってなことだろっ。(新聞名は置き換え可。東スポはまずいと思うが)
 お前は新聞に無垢な少女の願いをうっちゃりするのかと、父親を小一時間問いつめ(以下省略)。
 ヘタクソでも世のお父さんには自分でがんばって説明して欲しいなあ、と、私は思う。
 でも、さすがニューヨーク・サンの記者は伊達に記者ではなかったわ。チャーチの文は読むたびに目頭が熱くなる。子供の質問に困ったら、こっそり読んで感動を胸に語ってあげよう。

(2002.12.10)


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