出 会 い の 泉
仮題・中学殺人事件(辻真先)




   NHKがテレビ放送をはじめた頃のディレクター・プロデューサーというから、辻さんのお年も...
 その後数々のアニメ脚本を手がけ、現在は小説やノンフィクション作家だが、「仮題・中学殺人事件」は、まだ辻さんがバリバリアニメを書いていた時代の作品である。
 辻さんの出した本は200を下らないが、まさしく代表作である。現在でもこの作品は、「合本・青春殺人事件」に収録されてい手に入ると思われるので取り上げた。
 タイトルから分かるように、推理小説である。しかも、犯人が最初から分かっている。それは「読者」である。
 ううん、何で読んでいるだけの僕が「犯人」にされるのだ?。まあそれは、よめばわかるんだけど。
 活躍するのは、顔面がそれに似ているからと言うことで付いたあだ名が「ポテト」こと牧薩次と、そのガールフレンド「スーパー」こと可能キリコ。
 この二人が解決するのが学校で起こった密室殺人と、ダイヤトリックでアリバイを確保した少女漫画原作者の殺人事件。
 後者の方は真犯人のアリバイを証明する車掌の証言が実はアリバイを崩していたというストーリー。
 しかも、このふたつを結ぶ別の物語では、「時刻表のレイアウト」自体が重要なカギになる。
 また、恋心を基調とした青春の哀感が漂う作品で、このムードは6作目「TVアニメ殺人事件」まで継承される。

 ポテトとスーパーは、辻作品の代表的なキャラクターで、シリーズを通じて彼らの成長を読むことが出来るが、近い将来めでたく結婚するはずである。

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