昼頃、伯母さんから声をかけられた。
「なあ、お昼は別にどこも行かんやろ?」
「ええ、今日は夕方群馬に帰るまでゆっくりするつもりですが。」
「なら、『ひつまぶし』一緒に食べ行こか。」
「???何ですか、それ?」
つまりはうな重のボリュームを増やして取り分けて食べるようにし、お茶漬けスタイルなどいろいろに食べられるようにしたものらしい。ここで遠慮する手はないので(ちったあ遠慮しろよ、俺)有り難く頂く事にした。
という訳で「ひつまぶし(『ひつまむし』と言う人もいる)」を食べるためにうなぎ屋へ。伯母さん一家が行きつけの店が休みらしいので、少し遠くまで車で出る。名古屋市内は一般的に道路が広く、自家用車族に気を使った都市計画をしているのだが、まさにそれ故に自家用車が氾濫して却って交通状態が悪くなっているのは皮肉ではある。(群馬でも自家用車保有率は高いが、それは公共交通機関が不備なため。自家用車は名古屋人のように「便利だから使う」のではなく、「必要に迫られて使う」のだ。自慢にはならんが…。)
閑話休題、うなぎ屋で「ひつまぶし」を頼み、待つ間ビールを頂く。伯父さんはあまり酒は飲まないが、ペースはかなり速い。長時間かけて多量のアルコールを摂取する「汚い酒」な私とは随分違うが、今回はそのペースでお付き合い。まあビールくらいなら出来上がりはしない。そんなこんなで「ひつまぶし」が出てくる。名前の通りお櫃の中にご飯と細かく切ったうなぎの蒲焼きが入っており、これをしゃもじでよくかき混ぜてから茶碗に盛って食べる。量はかなり多いので、大の大人でも食べ残す人がいそうだ。たれは東京風(まさか八丁味噌をかける訳はあるまい)だが、山椒を振ると珍しがられた。
二杯目か三杯目はお茶漬けにするらしい。お茶はうなぎ屋の方で用意してある、だしや醤油などで味をつけた特別製のもの。「ひつまぶし」ではなく普通の梅茶漬けなどにかけても美味しそうだ。また最後の一杯をお茶漬けで流し込む事で、このボリューム満点の御膳を残さずに腹に入れる事が出来る(ただ調子に乗って食べ過ぎて、腹にもたれる事もありそう(^^;;;)。値段はさすがにそれなりのものがあるが、(その店では)普通のうな重でも同じ位の値段だったのはどうしてだろう?しかしこの「ひつまぶし」、他の地域に店を出せば絶対受けると思うけどなあ。
「浴衣なんだし」ということで食事中ずっと正座していたら、足が感覚上自分のものではなくなっていた。足を引き摺りながらようやく店を出て、車に乗ってしばらくは痺れが続く。うう、修行が足りん。なお伯父さんがビールを飲んでしまったので、運転は従姉がした。伯母さんの家に向かう途中で降ろしてもらい、ちょうど通り道にある徳川美術館を見学。さすが入場料1200円もふんだくるするだけあってなかなか貴重な展示があるが、名古屋城とダブるジャンルも多い。質から言えばこちらが優っているのだろうが、それぞれ棲み分けた方がより多くの見学者を呼べるのではないのだろうか。なおこの週末から「徳川慶喜」の特別展を開催しており、この日には夏休みに入った小中学生が団体で見学に来ていた。
伯母さんの家にバスで向かう。お土産を探すためにバス停の近くのスーパーを覗いてみたが、お目当ての「地域限定」商品が思ったほど無い。「おっとっと」や「プリッツ」のようなスナック菓子には結構他地域では珍しがられる「地域限定品」があるのだが、このスーパーでは見当たらなかった。「でらうま」ビールは重いし、八丁味噌なんか買っていったところでウチでは使わないし…。結局買ったのは、「味噌煮込みうどん(袋詰め乾麺)」(笑)。
伯母さんの家に着いた頃には、もう名古屋駅に向かう時間が迫っていた。昨日着ていた浴衣を大慌てでたたんで荷物をまとめ、伯父さんの車で送ってもらって駅へ(あれ、さっきビールを飲んでから何時間経っていたっけ?)。そこから新幹線で高崎へ向かい、ここに「第一回弥次喜多記念名古屋伊勢おかげ参りの旅」は終わりを告げたのでした。
だらだらと 長きレポート 打ちつかれ もうこの辺で 尾張にすべし

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