-About HARU-


ここにアップするメンバーによる「About HARU」は、1987年にソニーから出版された「BOYS LIFE」から抜粋しています。

From:Ryoji-MATSUMOTO (Drums)
最初はね、何だかよくわかんない人だったよ。まあ、他の2人とは一緒にやったことがあったけど、ハルさんとは初めてだったから余計にそんな感じがしたのかもしれないけどね。「練習しよう!」ってスタジオ入るじゃない。そうすると黙々とギター弾いてるの。いきなりヴァン・ヘイレン弾き始めたりとかしちゃって。「この人、本当にギター好きなんだなぁ」と思うような雰囲気だった。本当に"黙々と"って感じでギター弾いてたんだよね。完璧なロック少年だったね(笑)僕は、練習してたころは叩きまくってたんだ。(笑)「うるせェ!」っていわれるくらいだったから。で、ハルさんはハルさんで弾きまくるタイプだったから、最初のころの練習ってグチョグチョだったんじゃないかなァ。(笑)
最初に会ったときに、ピアノも弾けるってことで、「この人はいいかもしれない」なんて思ったの。あまりピアノがうまいヤツっていなかったし、女の人は必ずといっていいくらいクラッシックあがりだしね。ハルさんもクラッシックやってたみたいだけど、ロックのノリとか知ってたしね。ハルさんはピアノを習ってたから聴いた音がすぐ取れちゃうみたいだよ。だから、いろんな要素がすぐ入っちゃうから、出てくるものがメロディアスだと思う。僕は結構前から、「この人はメロディメーカーになるんじゃないか」って思ってた。ハルさんはこうだ!って思いついたときに、パッとやっちゃうタイプだから、出すものが新鮮なんじゃないのかな。それに癖っていうのがあまりないからこそ、何にでもスーッと入り込めちゃうんだよね。そう思うよ。その素直さというか、ストレートなところはすごくいいと思うよ。そういうところがあるから自分の中の引き出しが増えるし、出すものも増えるんじゃないかな。
ソロ・アルバムを作ったでしょ。そのときもあまり驚きはなかったね。この人はメロディメーカーだって思ってたから。「メロディメーカーだから必ずいいレコードを作るだろう」と思ってたからね。僕としては、「やったな」って感じだったな。(笑)ギターのことってよくわかんないけど、リー・リトナーにしても、どうしてあんなフレーズを考え出せるのかなァ。それと同じで、ハルさんもどうしてメロディアスなのか、どうして新鮮なフレーズを出してくるのかは本当によくわからないんだ。ギターって細かいでしょ。僕の場合はリズムを主体にして、叩いていけばいいけれど、ギターのソロとかは細かいところまで気を遣って弾くでしょ。それがすぐポッポッと出せるのってすごいよね。それもひとつだけじゃなくて、何パターンも出すでしょ。あれはすごいと思うよ。とりあえずハルさんはこれからもっとメロディメーカーになると思うよ。
From:Hideyuki-KAKUNO (Bass)
春畑は意表をつくヤツだね。(笑)そして、TUBEの中でいちばんナニかを持ってるヤツだね。あいつは吸収したものはすぐ出してくるタイプだよ。リョージは蓄積して、「よしッ、これで大丈夫!」となったときに初めて形として出してくるタイプなんだよね。だけど、あいつは、「かっちょい〜!」と思った次の瞬間にはもう出してるタイプなんだよ。何たって、マンハッタン・トランスファーを聴かせた翌日に、「Right,ON」であのソロを弾いたヤツだからね。(笑)それくらい柔軟性があって、順応性もすごいヤツなんだ。
でも、ある部分ではいちばん子供だったりするよね。それも5歳くらいの子供。あいつは興味がないものには全く興味がないからね。(笑)それは対人間だろうと、対音楽だろうと同じ。ところが、興味のあるものには強力興味があるわけ。(笑)ハンパじゃないくらいに突き詰めようとするよ。でも、飽きっぽいみたい。(笑)その中間っていうのがほとんどないみたいね。5歳くらいの子供ってそうでしょ。気に入ったオモチャとかあると、毎日毎日、朝から晩までそれで遊ぶでしょ。でも、ある日、パッと飽きちゃうと、ポイッて投げ出すよね。(笑)それと興味のあるものと、興味のないものがハッキリ分かれてるじゃない。それと同じよ。(笑)そういうところでは羨ましいくらい純粋だよね。本当にクリアーなヤツだよ。(笑)
クリアーなのはあそこの家系みたいよ。遠回しないい方は絶対にしないから。電話なんておもしろいよ。(笑)「もしもし、春畑さんのお宅ですか」っていうじゃない。「道哉君、いらっしゃいますか?」って聞くと、「いません」でガチャンって切っちゃう。(笑)クリアーでしょう。(爆笑)ふつうはさ、どこに行ってるとか、いつごろ帰るとか、「あ〜角野さんですか……」とかあるじゃない?ないの。(笑)クリアーな家系だから。あいつが電話してきても同じだよ。出ると、「もしもし、カックン。明日、3時ね」でガッチャン。だから、こっちが伝えたいこととかあるときは、もう1 回電話しなくちゃいけなかったりするわけ。(笑)
人間的には可愛いヤツかな。(笑)その場にいても大人しいから存在感がないけど、いないと淋しい。(笑)で、意外と頑固なんだよ。口では「うん」とか「わかった」とかいってても、イヤなものは絶対にやらないからね。そのへんは徹底してる。TUBEの中ではもっともっと春畑の占めるウェイトが増えて欲しいね。今のままだと、16ビートのギターなんて必要なくなっちゃうもん。それじゃイヤだからね。春畑がもっと前面に出ないとおもしろくないもん。今後はサックス必要、パーカッション必要、キーボード必要……あるよ。でもギタリストがメインでやりたいよ。やっぱりギターバンドだよ。音的にはギターバンドでなきゃあ。その意味でも、もっと春畑には頑張ってもらいたい。とにかくストレートなヤツだね。余分なフィルターは一切通さない。ギターも、性格も、そういう男だよ。
From:Nobuteru-MAEDA (Vocal)
あいつは俺たちも出たコンテストの最優秀ギタリスト賞を獲ったんだよね。角野は見に来てたから、もう目をつけてたみたいだね。で、電話して呼び出して、「バンドをやる、やらないは別にして、1回合わせてみようよ」って話したんだ。そのとき、角野の中には"確かめたい"という気持ちがあったみたいだけど。それで春畑の家の近くのスタジオ行ってセッションしたんだ。セッションしてても、彼はハードロック少年だったからね。(笑)"エディ一直線"って感じだったんだ。スタジオに入ってきて、いきなりデカイ音で弾き始めてさ。驚いたよ。(笑)それで無口でしょ。「おもしろいヤツだなァ」って思った。で、「今、何をコピーしてるの?」って聞いたら「サザンオールスターズです」だって。ビックリしちゃったよ。(笑)スタジオに入ってくるなり、ヴァン・ヘイレン弾きまくってたヤツがサザンだもん。(笑)そしたら、「最近はそういうのもやってるんです」とか、かしこまっちゃってさ。(笑)「俺たちもサザン知ってるから合わせてみようか」っていって一緒にやったのが「ラチエン通りのシスター」それが4人でやった最初の曲だったと思うなァ。その後に「じゃあ、もう1曲サザンやろう」というので「いとしのエリー」をやったの。そしたら、いきなりピアノ弾き始めちゃってさ。「こッ、こいつはピアノも弾けるんだァ!」って。(笑)いきなり驚かされちゃってさ。「もう、こいつしかいねェよ!」ってかんじ。(笑)
春畑は今、ものすごく孤立しちゃってるね。もちろん、いい意味でだよ。ギタリストとしての孤立っていうのかな。自分がメロディメーカーであって、どんどん指示していかなきゃいけないってところで孤立してるんだ。アレンジの話をするときでも、自分が考えてないときは参加できないしね。みんながあいつの意見を待ってるんだから。あいつが方向性を出してくれないとね。俺がまず抽象的なんだけど、色を塗ろうとするわけ。青!とかいって。その青に対するコードとかメロディをあいつが分析して出してこないと、次にリズムが進めないわけだよね。で、角野がムチャムチャ攻めるの。それは角野の役割で。春畑はまだ攻められっぱなし。そこで孤立してくるよね。
俺は、あいつがエディ・ヴァン・ヘイレン好きなら、本当にエディになるべきだと思ってるからね。だとしたら、春畑に期待してるのは、エディとデイブ・リー・ロスの関係だと思うんだ。エディとデイブって、今は別々にやってるけど、別れても2人とも第一線でやれるだけのものを持ってたわけじゃない。あの2人がもめたのは人間性の部分で、音楽性では両方とも全米チャートNo,1になっちゃうっていうのはすごいよ。だから、俺と春畑もそうならなきゃ。それくらいの実力にならなきゃって思う。ひとりひとりでもNo,1を獲れるくらいにならないとね。だから、少なくともTUBEなんていうのは春畑の思いどおりに動かすようになって欲しいよ。もし、それで暴走しそうになったら、角野や俺やリョージで必死になって止めればいいことじゃない。




LUNA's Comment

小さい頃(小学生の時)から春畑を見てきて、最初の頃はなにも考えずに「好きだから」見ていました。
その頃の春畑の音は、今聴くとやっぱり春畑の音ではなくて違うものに聴こえます。
ある程度の技術や実力が身に着くまでソロアルバムを出さないという人もいます。
でも彼の場合はやりたいことを形にすることで、自分を見つめ
自分の音や方向性を見つけ出していったのではないかと思います。
実際、7枚のソロアルバムをリリースして「今までの総括ができた」と言っているくらいです。
そこから"どう発展していくのか"杉原はとても期待しています。
そして"TUBE"としてもっと違ったものを創ってもらいたいとも思っています。
そろそろ転換期なのではないかと感じているのですが、如何なものでしょう。

※ウラバナシ※
デビュー前に各々「自分に似合うと思う衣装で集まろう」という話になった時に
前田さんと角野君はスーツ、リョージ君はライダーなのでツナギを着てきたらしいのですが
なんと春畑は魚屋さんが履いてるゴム長のつなぎを着てきたそうです(爆笑)
そりゃ似合うとは思うけども....でもちょっとなんか違うでしょう、道哉くん.....←そこが好き(笑)







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