■駆け出しATCの奮闘記@UF■

#6: ライアビリティー

ライアビリティーとは賠償責任という意味です。

アメリカは日本と違って簡単に裁判沙汰になります。そういった意味で私達アスレティックトレーナーも訴えられる可能性は大です。こちらは人助けのつもりでやっていても、それが相手に不快な気持ち、状態にさせると訴えられる対象になりやすいですね。

チームで働いていると、選手との信頼も得ますし、バックアップ体制も抜群なのでよほどのことが無い限り裁判沙汰になることは無いでしょう。例えばアスレティックトレーナーの処置のせいで選手生命が絶たれただとか。

しかし、私が今居る現場では不特定多数の選手(生徒)を相手にしています。こちらは良かれと思っていることでも、向こうがこちらを知らないので信頼関係を築くのは思っているよりも難しい。特に選手が大きな怪我をしてパニックっているときはなおさらです。

ある日、インターミューラルのバスケットボールで選手がジャンプからの落下時に膝を捻り転倒。現場でのEvalの結果、かなりの確率でACL(前十字人体)を断絶していると判断。その場はアイスバックとクラッチ(松葉杖)を与えて選手を大学内のインファーマリー(大学のヘルスセンター)に行くように伝えました。

そして翌日。

いつものように学校へ向かう私の携帯に電話が。同僚のGAのエイミーからでした。内容は「昨晩対処した選手が学校相手に裁判を起こす」というものでした。私は血の気が引き、一体何を間違ったかなどを一生懸命探しながらも結局見付からず、そのままトレーニングルームに行ったのでした。

実際詳しく聞いてみると、その選手は我々アスレティックトレーニングスタッフに大して訴えているのではなく、レクスポーツに大して訴訟を行おうとしているということでした。彼の言い分は「コートの上に水が散らばっていたため自分が膝を捻り、ACLを切った。コートに水があったのはレクスポーツ側の管理不足のせいだ」ということでした。そんな理由で・・・ということもまああるのですが、とりあえずはほっと胸をなでおろしたのでした。

私達を救ったのは怪我のリポートフォームでした。これには怪我がどのように起こり、アスレティックトレーナーがどんな処置をしたのかを事細かく記すフォームです。このフォームが完璧に書かれていた為私達にお咎めがなかったのです。

アスレティックトレーナーの仕事は怪我の応急処置、判断、リハビリ、治療というような方面に目がいきがちですが、こういった管理能力も問われてくることをつくづく感じた事件でした。そんなことで訴訟を起こすなんて・・・と日本人としては思ってしまうこともありますが、アメリカで勝負しようと決めたからには、「郷に入れば郷に従え」、です。

(03/09/04)