2004年3月2日
「人は見かけによらず」

以前から少しだけ触れていましたが、修士論文(Thesis)をやめることにしました。決めたのは去年のことですが、それでも修士論文とは関係ないところでリサーチはしようと思っていました。教授はあまり乗り気ではなかったのですが、周りの助けを得て実行できる見通しは出てきています。

大学内で人間を対象に実験を行うため、フロリダ大学のIRB(Institutional Review Board)というところから許可を得なければなりません。必要書類を準備していざ大学病院内にあるIRBオフィスまで出向きました。オフィスは病院の片隅の地下にあり、ちょっと異様な雰囲気でした。

書類が全部揃っているか定かでなかったのでIRB担当の教授らしき人に相談に乗ってもらったのですが。

見た目からして賢そうで堅物(かたぶつ)そうなその人は、さも「何しに来たんだ、このアジア人は」という目で私を見上げました。とりあえず私の持ってきた書類を渡して、足りない書類があるかどうかをチェックしてもらいました。するとどうやら私の持ってきたものは書類が足りないだけでなくフォーマットも全く違うということが明らかになりました。すると面倒くさがるかと思いきや、その人はインターネットで確認してくれたり、同僚の人に質問してくれたり、違う部署の人に電話で聞いてくれたりと、親身になって問題解決に付き合ってくれました。オフィスのロケーションや雰囲気から正直すこしビビっていた私にとって彼の親切は非常にびっくりし、そして心温まりました。結局フォーマットを変え、更に足りない書類をそろえて再提出するようにとアドバイスを受けました。全てのIRB関係の書類は彼を通るということで、あとで私の書類が彼のところに届いたときにすぐに判るように名前も控えてくれました。ただの「ギーク」だと思い込んでいたその人は突然現れた私のために30分も彼の時間を割いてくれたのでした。

ただ、最終的に言うと私は間違ったIRBオフィスに出向いたようで、彼からのアドバイスは無意味となってしまったのですが、それでもそのときの彼の親切さは大変心に響いたのでした。人は見かけで判断できないですね。