MinMin's Diary



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8月29日

ばたばたとしているうちに8月もあっという間に過ぎてゆこうとしております。(^^;
本日、バスに乗ってて私がいちば〜〜〜ん嫌いな広告を見てしまった。
台湾にある数々のブーイング広告の中でも私がいちば〜〜〜ん嫌いなやつ。
もう普段の原則を崩して名前出しちゃう。
台湾大学のそばにある「青山外語」ってところの広告。
一般的な台湾人が持っているアメリカと日本に対するイメージがよ〜く表現されている秀作?です。
左側にはワイシャツにネクタイ姿のヤングエグゼクティブ(死語?)風の金髪の兄ちゃんが親指を上に立てて「ぐ〜!」とでも言わんばかりの自信満々の笑顔で地球儀を前にして立っている。
地球儀の前ってシチュエーションがさもさも「国際的」って言わんばかり。
この兄ちゃん、きっと台湾人が大好きな「北東部アメリカアクセント」なんだろうな〜なんて考えてしまう。お前ら、聞き分けられるのか?って聞きたくなるほど、台湾ではこれにこだわるのよね。
よく中国語の学校でフィリピンの華僑の友達が英字新聞での「人事」の欄に投稿している台湾女性の記事を声を出して読んでくれた時に必ず登場したもんな。
「アメリカ北東部のアクセント」。
どこの都市周辺を指してるのか、言ってる本人も分かっているのかしら?
ま、これだけならオツムの弱い白人フリークの馬鹿女と思って笑い飛ばせるけど、英語の塾の教員募集にも教員経験の有無は書いてなくても「アメリカ北東部アクセント」が条件になってたりする。
大体ね、ESLの訓練を受けて資格を取っている人の英語なら標準語に値するの。
だから日本語でもすぐに「東京弁」なんていう指定をしてくるんだろうな。
あんたら、「あさひひんぶん」とか言いたいのかいな、べらんめぇ。
日本語の標準語も東京弁ではございません。
標準語っちゅうのは、きちんと日本語教師の資格を持った人に習えば覚えられます。
あ、話が逸れた。
ともかく、金髪のヤンエグ風の兄ちゃんがにっこり笑っているのの向こう側、つまり右側の方には、なんと、金襴緞子の帯しめた花嫁御寮がいるんだわな。
おいおい、日本語ってこういうイメージな訳?
なんか、下手な結婚紹介所のCMみたい。
台湾の女性には金髪のヤンエグの兄ちゃんを紹介。
台湾の男性には大和撫子の日本美女を紹介。
なんかさ〜、こういうのにつられて英語を勉強したりする台湾女性や、日本語を勉強する台湾男性がいるのかいなと思うと、ものすご〜く暗澹たる思いにとらわれてしまう。
あんたら、何のために外国語を勉強するの?
こういう浅薄なイメージしか持てないの?
どうして日本って聞いたら出てくるのが金襴緞子の花嫁さんなわけ?
ええかげんにせぇやって思ってしまう。
外国に対するイメージがものすごく浅薄。
これだけ外国人が流入して来ているのに、そこからは何も学ぼうとしない。
その実態を見極めようとせず、自分達の既存のイメージでブラインド状態。
いくら自分の国で仕事にあぶれ、台湾にたどり着いてきたような程度のアメリカ人や日本人が、いい加減な気持で適当に語学を教えていてもそれは非難しない。
たとえ不法就労であっても。
一方、きちんと就労許可をもらって、台湾の発展に寄与しているフィリピン、タイ、インドネシアの労働者に向かっては、さもさも偉そうに「お前ら、台湾人の金を儲けに来てるんだろ?」なんて言う人もいる始末。そんなら3Kを台湾人自身でしろっちゅうの!
感謝こそすれ、見下すようなもんじゃないでしょうが。
青山外語の広告を見ただけでむかむかする気持が湧きあがってくる。
おまけにこれだけ馬鹿にしているフィリピンにも「医学部入学」という手を狙って留学する台湾人もいるんだな。
なんで同じ高さの目線で他の国をながめられないの?
自分の国も相手の国も等しく同じ高さだって思えないの?
経済的に遅れているとか発展しているとか、そういう問題じゃないでしょう?
今日も一緒に御飯を食べたインドネシア華僑の青年が「中国語をもっとうまくなりたいから、台湾人家庭にホームステイができたらいいのに」って言ったのに対して言葉を失ってしまったわ。
裕福な華僑の家庭で育ち、人間的にも温厚で人を差別するようなことを知らず、マイノリティとして気を遣って生きてきた彼が、この手の浅薄なイメージしか抱けない人達の家庭に万が一、行ってしまったらと思うと、とても勧められなかったのです。
そう思いながら、これは台湾人が台湾人としてプライドを持てる環境にいないし、メディアもそういった風潮を生み出していないのが問題だなと思いました。
私の大嫌いな哈日族を見ていても、あれは台湾の文化をまったく理解せず、目先のかっこ良さだけにとらわれている人達だと思いました。
でも考えたのです。
台湾のメディアはどうして台湾の若手芸能人を使って日本のドラマの吹替えをしないのでしょう?
いつも「字幕」という手段を用いていたのでは意味がありません。
予算がないのでしょうか。
ディズニー映画「ターザン」は中国語(北京語)バージョンを金城武が吹き替え、英語版よりも集客率がよかったのです。
それならば日本語のドラマにだって台湾の若手アイドルを使って吹き替えをし、そこから徐々に台湾製の若者向けドラマを作っていけばいいのではないでしょうか。
私が子供の頃の日本でもアメリカのドラマが吹き替えで放映されていました。
見ていたドラマはほとんどがアメリカ製だったかもしれません。でも日本語だったので違和感なく見ていました。むしろ対等な意識で見ていたかもしれません。
日本が得意とするのは別の国のものを咀嚼して自分達に近付け、そして徐々にそれを自分達のものにして行くことではないかと思います。
覚えているのは名作映画「ウェストサイド物語」をテレビで初放映する時に、映画のキャスティングに近い俳優を声優として用いたことです。
確か主役のトニーを当時若手人気俳優だった国広富行、マリアを大竹しのぶ(当時は清純派だったもんな〜)、ベルナルドを沢田研二、アニタを木の実ナナだったと記憶してます。
放映前の宣伝にはこの4人が映画のキャストと同じ衣装を着て登場したりしてました。
本当に台湾を大事に思うなら、テレビ番組の場合は副音声で日本語を流しても、主音声では中国語を流すべきでしょう。
映画は「見たい」と思う人が能動的に出向く場所です。
しかし、テレビは何気なく目にします。
その何気なく目にするところでしょっちゅう日本語を聞いていたら、なんだか日本語の方が特別なものだと錯覚しかねないと思うのです。
でも、もう、ちょっと手後れです。
こうやって台湾人には国によってランキングをつける悪い癖が広まり、本来なら希望に満ちて台湾に中国語を学びにやってくる東南アジア華僑達を下に見て失望させ、台湾を舐めてかかってやってきた不良外国人ともいえるアメリカ人や日本人に「ちょろいところじゃん」と更に見下されるのです。
どうにかならないのでしょうか...。
本当に暗澹たる気持になります。
台湾という土地は一度として来るものを拒んだことはありません。
でも、今、ここに住んでいる台湾人にはどうも悪い持病ができてしまったようです。
これも台湾人自身の持つアイデンティティクライシスと言えば聞こえはいいのですが、自分達の持つアイデンティティの不確かさによって、台湾を国際社会においてどんどん不利な状況に追い込みかねないということをどれだけの人が認識しているのでしょうか。
台湾人を利用しているだけのアメリカ人や日本人は台湾を決して国際社会で支持してくれるような存在にはならないでしょう。
東南アジアからわざわざ中国語を学びにくるような人達こそ、大事にするべきではないでしょうか。
こういった人達が、さまざまな場所で台湾に力を貸してくれるやもしれないのです。
先進国から流れて来ているような人間にはあまり期待しない方がいいでしょう。
発展途上国から来ている人達こそ、その国の未来を支える人達なのだから、そちらの方がずっと台湾にとって宝物です。
台湾留学経験者が外務大臣になるかもしれません。
その時、その人が台湾にいい印象を持っているかいないか。
これは大事なことではないでしょうか。
もっと長い目でものごとを見てほしいと切に願います。



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minmin@geocities.co.jp