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紅楼夢関係の本はあまたありますが、とりあえず私が目を通した文献の中から独断と偏見で選んでみました。リサーチのお役に立てればいいのですが。
1999年8月22日更新
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伊藤漱平訳 『紅楼夢』 平凡社 1973
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全3巻。『紅楼夢』に関する最も基本的な本。訳が固いので、初心者には読みづらいが、注釈が詳細で、解説も充実している。とりあえず、あらましを知りたいという人にはお勧めできないが、『紅楼夢』上級者(?)には必須です。
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松枝茂夫訳『紅楼夢』 岩波書店 1973
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岩波文庫全12巻。(ちなみに私は高校時代毎月1冊づつ買って、1年間かけて揃えた覚えがある)伊藤漱平先生の訳より、若干柔らかく読みやすいかもしれない。
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富士正晴・武部利男訳 世界文学全集3 『紅楼夢』 河出書房
1968
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全1巻。古本屋で300円で手に入れた本。挿し絵付き。世界文学全集の中の一つだが、初心者の方はこういう簡略された文学全集などから読み始めた方が入りやすいかも。(いきなりフルバージョンを読むと、人物関係がわからなくなって挫折するというパターンが多いのです)解説にはカラー写真がいっぱいあって楽しい。ただし、第八十回以降はあまりにも抄訳しすぎでいかがかと思う。
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佐藤亮一訳 林語堂編 『紅楼夢』 六興出版 1983
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全4巻。挿し絵が大変綺麗!抄訳だが、さすが林語堂先生が編集されただけあって、『紅楼夢』のツボを押さえた編集になっています。ただし、問題なのは、翻訳。この本は林語堂先生が欧米の読者向けに英語で書いたものを、英文学者が翻訳しているので、訳がよくない。残念。ちなみに、これは『ザ・紅楼夢』という形で一巻にまとめられ、再出版されています。
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松枝茂夫訳 中国劇画『紅楼夢』 中央公論社 1993
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全2巻。マンガというよりは紙芝居(?)という感じ。連画だから仕方ないのですが、日本のマンガをイメージすると失敗します。でも、初心者には読みやすいので、友人に読ませるときはこれを貸すようにしています。抄としては、社会主義的な形を強調して編集しているように感じられるので、イマイチかな。ただ、松枝先生が補完しているので、その点は評価できます。
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楊憲益、載乃迭 訳 "A DREAM OF RED MANSIONS" 外文出版社(北京)
1978
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全3巻。挿し絵もなかなか可愛い。翻訳は読みやすさよりも正確さを優先している印象。ただ、正確に訳そうとしたあまり、ちょっと硬い印象が。欧米人がこれを読みやすいと感じるかどうかは疑問だな。ちなみに、この本の挿し絵はお土産用の『紅楼夢』絵葉書にも使用されています。
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David Hawkins 訳 " THE STORY OF THE STONE" Penguin
Books 1973
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全5巻。ペーパーバックで安いし手に入りやすいので、英語版を読んでみたい方にはお勧め。読みやすい翻訳を目指したらしい。気になるのが、侍女の名前の訳。侍女の名前だけは音訳ではなく意訳。襲人がAromaだったり、紫鵑がNightingaleくらいだったり。そのあたりまではなんとかわかるけれど、マイナーな侍女になってくると、誰が誰やらさっぱりわからなくなってくる。漢字の力は偉大です!
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中国芸術研究院紅楼夢研究所 校注 『紅楼夢』 人民文学出版社
1994
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全1巻。中国で購入。前言などはやはり社会主義的な解釈が鼻につく。(これは大陸のどの『紅楼夢』関連文章に言えることなので、もうあきらめていますが)装丁はなかなか立派。
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王蒙 評点 『紅楼夢』 漓江出版社 1994
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全3巻。中国で購入。本文の右端に空欄が設けられ、そこに細かく解説が加えられている。安いのを買ったので装丁はイマイチ。挿し絵もなし。
論文・エッセイ
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張競 『恋の中国文明史』 筑摩書房 1993
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一般読者向けに書かれているので、とても読みやすい。中国の恋愛文学が漢民族以外の文化からどう影響を受けて変容していったのかを、通史的に論じている。目の付け所がおもしろいと私は思いました。とりあえず、『紅楼夢』好きな方はぜひぜひご一読を強くお勧めします。
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張競 『近代中国と「恋愛」の発見』 岩波書店1995
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『紅楼夢』に関しては序章で触れられているのみ。ただ、私は張競氏における「恋愛」の定義に関して、近代的価値観にひきづられている印象を受けます。
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小濱陵一 「林黛玉論−日常的解体を越えんとして」 『中国文学報』
第26冊 京都大学 1976
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散漫な印象を受ける。「少女」世界について言及しているが、そこに着目したならばもう少し突っ込んだ少女論のレベルにまで持ってきて欲しいと感じた。
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小濱陵一 「『紅楼夢』−その内なる軋み」 『中国文学報』
第30冊 京都大学 1979
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林黛玉の二重性に着目した点は、私の卒論にも大きく影響を及ぼしている。また、賈探春の二重性と賈家についての考察は一読に値すると思われます。
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松枝茂夫 『中国文学の楽しみ』 岩波書店 1998年
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『紅楼夢』研究の第一人者である松枝先生のエッセイ(?)集。当然ながら『紅楼夢』についての記述は真っ先に出てくる。こんな些細なことでも日頃肩身の狭い(だって、「え?なにそれ?」なんて言われつづけた日にはねえ)紅迷にとっては嬉しくなる。内容はどうってことない。
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合山 究 「紅楼夢における女人崇拝思想とその源流」 『中国文学論集』
第12号 1983
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賈宝玉の処女崇拝的思想の源流をたどっている。考察に関して目新しさはないが、資料のインデックスとしての利用価値はある。(この手の文献を辿るのは大変なので、そういう点で役に立つ論文です)
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飯塚 朗 「『紅楼夢』あらすじ」、 村松 暎 「『紅楼夢』の作者と時代」、
松枝茂夫「『紅楼夢』の文学」、 太田辰夫「『紅楼夢』の言語」、 伊藤漱平「『紅楼夢』の研究と資料」
以上四論文『中国の八大小説』 大阪市立大学中国文学研究室編 平凡社 1965
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どれも概論です。が、この『中国の八大小説』という本は中国文学を知る上で、一番コンパクトにまとまっていると思います。是非お勧めしたいのですが、入手が困難なので、大学の図書館などで探してみてください。
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「特集 『紅楼夢』の世界−華麗なる清朝貴族の日々」 『しにか』
1992 1月号 大修館書店
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収録エッセイは以下の通り。井波陵一「賈家をめぐる人々」、斎藤喜代子「『紅楼夢』のお正月」、木村春子「『紅楼夢』に見る清朝貴族の食生活」、中島みどり「大観園からのメッセージ」、小山澄夫「『紅楼夢』の背景-清代における貴族社会をめぐり」の五つ。どれも読みやすく、気楽に楽しめる。『しにか』のバックナンバーは大学の図書館を探せば見つかります。
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李希凡 他著 『紅楼夢評論集』 人民文学出版社 1973
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中国での『紅楼夢』研究では著名な李希凡氏の他、Lang Ling氏(漢字が出ない!)が執筆。中国の『紅楼夢』研究について要領よくまとまっている。内容については、ざっと目を通しただけなのだが、やはり社会主義(!)中国らしい内容のようだ。
その他
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『紅楼夢大辞典』 馮其庸 李希凡 主編 文化芸術出版社
1990
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本の厚さは8センチ!しかし、ど忘れしたときなどとても便利な辞典です。『紅楼夢』に関するあらゆることが網羅されていて、例えば、あの詩は第何回で詠まれたのかな?とか知りたい時に、これをひくとすぐ分かります。勿論オール中国語ですが、別に小難しい論文などではないので、中国語が分からなくても没問題!
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李玉敬 著 中山時子監修 平松圭子 武永尚子訳 『<紅楼夢>詞語対照例釈』
燎原書店 1987
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『紅楼夢』を原文で読むのは、私のように大して中国語ができない人間にとって、なかなか骨が折れるので、この本は参照になる。また、この本を読むだけでも、なんとなく、原文の雰囲気を感じることができるのは例文が豊富だから。
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永井荷風 『墨東奇潭』 岩波書店
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岩波文庫全1巻。林黛玉の「秋窓風雨夕」の一部を引用して、登場人物(恐らく荷風自身をモデルにしていると思われる)にこれを翻訳しようとしているが、いつもうまくできないと言わせている。また、その全訳は荷風全集に収録されているので、ご参照を。中国文学に造詣の深い荷風ならではの見事な翻訳である。また、日記文学の最高傑作(と私は思っています)である『断腸亭日乗』の中で、荷風はもう一度読みたい本として『紅楼夢』を挙げています。荷風による『紅楼夢』批評を是非読みたかったとつくづく惜しまれます。
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R、H、ファンフーリック 松平いを子訳 『古代中国の性生活−先史から明代まで』
せりか書房 1988
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『紅楼夢』に関しては、ほんのわずかしか触れられていないけれど、おもしろいので、お勧めします。
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