金蓮花は「きん・れんか」と読む。在日朝鮮人3世で、第23回コバルトノベル大賞を受賞して、作家デビュー。
銀葉亭茶話で受賞し、「舞姫打鈴」はつまり独立した作品でありながら、受賞作からつながるシリーズとも言えるだろう。
ちなみに「打鈴」は「たりょん」と読み、「身の上話」という意味だが、タイトルからは舞姫が鈴を打ち美しい音色とともに繊細な舞いを舞う姿をイメージさせる。そしてそれはあながち間違いではないのだ。
集英社のコバルト文庫から発刊されている。コバルト文庫というと、恋愛小説、ファンタジー小説、そして青春ユーモアミステリーというイメージが強い。
大きな意味ではこの作品もファンタジーなのだが、舞台は百済、新羅、高句麗が半島を分けていた頃の朝鮮半島。
そして、もうひとつの舞台が「銀葉亭」である。
銀葉亭は人界にはない。仙境にある。神仙たちはこの銀葉亭を訪れ、話に講ずる。この話そのものが本編の物語なのだ。
こういう構成なので、最初は少し取っつきにくいかも知れない。あるいは、銀葉亭で語られることは全て過去のことであるから、完結した物語として銀葉亭の主と一緒に耳を傾ける、という気持ちになれれば安心して読めるかも知れない。
宮城の三姉妹のいちばん上、雪華公主の口から語られるのは、勇将金庚信の恋の物語。
そして、舞いの名手、当代一の美女と称され、欲しいものは全て手に入る身分でもある雪華公主の、「何かが足らない」という焼け付くような想い。不安と焦燥。
この二人の関係は? 行く末は?
戦いのシーンも舞いのシーンも美しく巧みな表現で僕を引きつけた。
いつも感心するのが、背景の説明だ。場所も時代もなじみのない僕にとって、ひとつひとつの背景説明があるのが嬉しい。(それがうっとおしい人もいるかも知れないけれど)
でもぼくは、ここではこうだからこう、という書き方が好きなんですよ。
登場するのが美女ばかりというのが若干気にならないわけでもないけれど、こんなに豊かな美女の描写があるのだろうかと思わせるほど、読んでいる方がうっとりしてしまう。
さるお方のお薦めで手に取った本(というか、貸していただいた)で、そういう機会でもなければ読むこともなかったのだけれど、時々書店の棚を覗いて新刊が出ていたら買ってみようという気になっている。