2002/04/23 (火)
2ch生活板の歯医者スレを読み、ながらくさぼっていた歯医者の予約を発作的に
入れた。木曜午後。妊娠以来ほぼ2年ぶり。クリーニングは必須として、10年来
の懸案の、おやしらず抜歯を真剣に検討するつもり。隣の歯との間のポケットが
だんだん大きくなってきて、食事をするとかならずものが詰まるし、歯磨きも大
変だし、といって手を抜くとすぐ歯肉炎を起こすしで、うんざりだったからだ。
2002/04/25 (木)(火)
歯石取りが600ドル、レントゲンが300ドル、コンサルタントフィーが250ドル、
計1150ドル(HK$1 = JP\16.7)でございました。約二万円。で、懸案のおやしらず
抜きについては、レントゲンの結果、彼女(歯医者は女性)にはあつかいきれない
ケースなので、外科医を呼ぶとのこと。口腔外科ということか。専門家なら上半
身に麻酔をかけてくれて、意識を失っているうちに全てが済むのでラクだとい
う。私の望んでいるやつだ。が、気になる費用は一本7000ドル程度とのことで、
おすすめは上下左右の4本をいっぺんにだが、予算に制限があるなら下の二本だ
け抜けば15000ドル以内で収まるだろうとサックリ言われた。
いちまんごせんどる。にじゅうごまんえんですか。
我が身の程に過ぎたる歯医者にかかっていることに突然気づき、すごすごと帰っ
てくる。歯のクリーニングは前回と同じくすんばらしー出来であり、ちっとも痛
くなく、歯石だけではなく表面のコーヒーステインなどもきれいに磨き取っても
らい、つるつるぴかぴかの歯で大満足であるが、でも一万円ってクリーニングと
してはやっぱり安くないよね…。
帰社してすぐ現地人の同僚にかかりつけを紹介してもらった。月曜の昼にアポを
入れたが、今日の医者で取ったレントゲンを持って来いといわれ、取りにいかな
きゃならないのがちょっと面倒。
2002/04/26 (金)
レントゲンを返してもらいにいった。そういう患者は多いらしく、あっさり渡し
てくれた。
2002/04/29 (月)
同僚に紹介してもらったところは私のかかりつけよりだいぶ安く、上が一本800
ドル、下が2500ドルで、口腔外科医を呼んでの意識のなくなる上半身麻酔がオプ
ションで3000ドルの計9600ドル。(+本日のコンサルタントフィー100ドル。)
16万ちょっとっスか。かかりつけのところで4本抜いたら3万ドルだから、1/3
の費用である。それでも一瞬、上半身麻酔無しの普通の麻酔で抜こうかと思った
のだが、なんでしんどい思いをして働いて、こんなとこでケチらねばならんのか
と思い直し、やっぱりかけてもらうことにする。そのかわりいっぺんに4本抜
く。がんばれワタシ!とキーボードを打ちながらちょっと冷や汗たらりな私。手
術は来週月曜日11時から、2時間程度の予定。
下の親知らずは両方とも完全にあごと平行に生えていて、前の歯を圧迫している
ところがレントゲンを素人目に見てもあぶなっかしい。前の歯、耐え切れずに折
れそうである。臼歯がすべてドミノ状態に斜めになっているのも分かる。なんべ
ん歯肉炎を起こしやがったかなあ、こいつらは。それにいくら歯磨きを徹底して
も、口臭の元になってるんじゃないかとヒソカに心配だったのだ。上の親知らず
はまっすぐはえているが、口の壁を噛んでしまうのはいつもこやつらのせいだっ
た。麻酔もかけてもらうんだから、抜いてさっぱりしてしまえ!
思い出せばば子供を産むのは全然怖くなかった。不安でもなんでもなかった。ラ
ンラララランだった。おやしらず一本抜くほうが子供一人産むよりずっと怖い。
x4本。嗚呼。
2002/05/06 (月) 抜糸当日
おやしらずばーっし! 手術は朝11時から。出社して週末のメールをチェック
してから歯医者へ。飛び散った血が服を汚したという話を聞いたことがあるの
で、深紅のニットに黒いシャツ、診療室が寒いのでさらに黒いカーデガンを着込
んで診察台へ。ドクターは歯科医と口腔外科医の2人。口腔外科医が脈拍を心拍
数をはかる機械を右手にとりつけ、右手の甲に静脈麻酔を打つと、あっという間
に眠ってしまった。「あ・ワタシ・もう・眠りそう」という自覚もなしの急直
下。寝ている間にすべてが終わったが、途中で喉に水分が入って咳をしたことを
覚えている。血かヨダレかどっちであろう。
目が覚め、なにがなんやらわからんままに看護婦にささえられて待合室に戻る。
主観時間として3分ぐらいしかたっていないが、時計を見るともう3時。4時間
近くかかったのか…。医者は抗生物質を3種と痛み止めを2種処方してくれ、抜
いた歯を返してくれた。上の2本は原型をとどめていたが、下の2本はコナゴナ
であった。
さて手術費用、もともとは9600ドルだったが、端数の600は切ってくれた。って
医療費の勘定がそれかい…。Sick Leave Recommendation Form(病欠勧告・これ
があると会社が有休になる。なければ無休。)を書いてくれるといったが、今仕
事がソレどころではなく、マジで休めないのだ…。あああ、手術の日程まちがえ
た。せめて来週にしとけばよかった。仕事に行くにしても今日は車の運転はだ
め、それから重要な決定も今日はやめておきなさいと、聞きようよってはコワイ
ことを言われ、しばらくや待合室で休んでいてくださいと言われたが、今日やる
ことやらんとおうちへ帰れないので、オフィスに戻ることにする。麻酔切れても
しばらくふらふーら。まっすぐ歩けねえ。フラフラとオフィスに戻り、フラフラ
と仕事をし、定時で切り上げて帰った。
医者のくれた抗生物質と痛み止めを飲んでいると。意外と痛くない。腫れても来
ない。医者の注意書きには「歯磨きとうがいは翌日から」と書いてあるが、「当
日はメシを食うな」とは書いてないし、朝食も昼食も抜きであったから飢餓感は
けっこう絶頂。ハラが減っていては直るものも直らんわいと自分で理屈をつけ、
相棒の制止も聞かずに血の味のする晩飯をばりばりと食っておったら、ちりめん
じゃこがはさまってしみじみ痛くなってきた。医者の注意をさっぱり無視し、し
っかり歯を磨いて口をゆすぐと、血のかたまりがボタボタボタボタ。傷口をふさ
ぎかけていた血のかたまりであることよのう。
詠嘆しているうちにも口の中が血くさくなってきたので、ぬるま湯に塩を大量に
とかしてやさしくうがいをし、就寝まで脱脂綿をかみしめることにする。
2002/05/07 (火) 抜糸翌日
息子の発熱用に買い置きしてある冷えピタを両あごに貼って就寝したせいか、朝
になると痛みはぜんぜんなし。出血もほぼ止まっているようだ。鏡で見ると、下
歯茎の両側が黒糸でぐっさぐっさと縫われている。切開跡は2・3センチもある
だろうか。朝食にスキムミルク+ココア+オートミールを大事をとってストロー
で飲み、医者の薬をしっかり飲んで、やさしく歯磨き+やさしくリステリン。今
日も出社だかんばろう。
病人扱いしてもらおうと思い、会社でも冷えピタを装用。っていうか昨日とちが
って今日は顔が腫れている。エラが張って、輪郭が愉快なベースボール型になっ
てしまっているので、自分で笑ってしまう。実は親知らずを抜いたらエラがほっ
そりしてちょっと小顔になるんじゃないかという幻想を抱いておったのだが、あ
っさりそれは打ち砕かれた。つーか抜歯したからというて、あごの骨まで減るわ
けではなかろう。
とはいうものの、痛み止めがよく効いて、痛みはほとんどなし。歯を思いっきり
噛みしめたり、腫れているところを触ったりすればもちろん痛みはあるが、別に
声が出たり飛び上がったりするほどの痛みではない。違和感といった程度。
昼食は会社に買い置きしてあるダイエット飲料。ストローでちまちま飲んだ。定
時まで仕事をしてさっさと退社。本日は夕食も流動食。ドラッグストアで買った
カロリーメイトみたいなやつ。アメリカ製なんで激甘い。
2002/05/08 (水) 抜糸後二日
痛み止めがよく効いていて別に痛くないのだが、抜歯跡が腫れあがっていて輪郭
が王貞治…とかつい言ってしまうと年代がばれるのだろうか。(しかも私の内部
では「王監督」ではなく「王選手」。)
で、皆に気の毒がられるので、仕事が一山越えたのをコレ幸いと会社をサボって
帰ってきた。つーか歯医者が書いてくれた病欠勧告は本来明日木曜までの四日
間。親知らず4本とも抜いた当日に仕事しにいけるガッツな女はあんまりいねえ
よ。っていうかウシのように頑丈な体に産んでくれた母よ、ありがとう。(これ
は出産後3日で退院して、我が家に来たの両親の分の食事の支度までしてたとき
にも思った。)
流動食、一日で飽きた。昼食も夕食もしっかり食って寝る。
2002/05/09 (木) 抜糸後三日
引き続き病欠。上の抜歯跡は早くもふさがった。下はまだ腫れている。が、経験
者に脅されたようにノドや耳下リンパ腺まで腫れているわけではない。口も普通
に開けられし、体がだるくなったりもしない。思うに、抜歯後の倦怠感というの
は感染症によるものももちろんあるだろうが、長時間の抜歯中に、緊張でいろん
なところに余計な力が入りすぎた筋肉痛もあるんじゃないだろうか。私は硬膜外
麻酔で出産し、子宮口全快まで昼寝して過ごせたために産後の回復が驚異的に早
かったが、抜歯も同じだと思う。
2002/05/10 (金) 抜糸後四日
腫れはほぼ引いた。もはや外からはわからない。中では歯茎が腫れているが。抗
生物質と痛み止めの第一クールはこれでおしまい。第二クールは種類の違う薬
で、痛かったり腫れたりしていなければ飲むなということなので、抗生物質だけ
飲んで痛み止めは飲まないことにする。
2002/05/11 (土) 抜糸後五日
骨をたくさん削ったという左あごの下あたりにくっきり青タンが。ろくでなしの
亭主になぐられたかわいそうな妻のようで楽しい。食事をとっていたら突然脳天
に突き抜けるような痛みが。うがいをして歯を磨いたらスポッという感じで直っ
たので、きっと何かが抜歯跡に挟まったんだと思う。
2002/05/12 (日) 抜歯後六日
息子のあせもにベビームヒを塗り、ふうふうしてやろうとほっぺたを膨らませて
息をふうと吹いた瞬間、両ほほの奥でメリッと音が(笑) したような気がした。
ほっぺたを押さえてふがふが転げまわっていると、遊んでいると思った息子がき
ゃっきゃ笑う。ちがうねんて。痛いねんて。
2002/05/13 (月) 抜歯後一週間
青タン消えた。出社前に消えてよかった。本日は抜糸。糸切りはさみでプチプチ
切られた黒糸を、ピンセットでにゅるにゅる抜かれてゆく感触がキモチワルイ。
でもこれで引っ掛ける心配なく心置きなく歯が磨ける。気になる予後は順調。削
った骨は内出血だけで炎症はおこさず、扁桃腺もリンパ腺も無事で腫れているの
は切開後の歯茎だけ。穴が埋まって違和感が消えるには、3週間ほどかかるとい
う。ヨシとしよう。
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