いとおしい熱病


                      written by 山口良文

     眠れない夜 遠い部屋、君の寝息      ぼくを捕まえる 狂おしい熱病      そのくちびるで ぼくを冷やしてくれ      その手のひらで ぼくを眠らせてくれ      君の夢の中 誘い込んでくれるなら      ゆるやかな眠り 微熱の中に沈む      そのくちびるで その手のひらで      眠れない夜 静かな音楽の様に      ドキドキとする ぼくのいとしの熱病      冷たい月と呼応して 上昇するぼくの      なめらかなカーブで 上昇する体温      その背中で ぼくから遠ざかるなら      ゆるやかな眠り 微熱の中とまどう      その頬で 冷たいひざで      そのくちびるで ぼくを冷やしてくれ      その手のひらで ぼくを眠らせてくれ

Copyright (C) 1996 by 山口良文

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