創作・人妻と奥さんとトドの群れ


                      written by カメ山カメ吉

 若い人とか独身の人にはちょっと分からないかもしれませんが、結婚して一家を  構えたりすると、それに付随して色々と面倒なしがらみが発生してくるものです。  好むと好まざるとに関係なく、急に世間が広くなってしまうのですね。  それらのしがらみの中で、親戚との付き合いを別にすれば、町内会とPTAが双  璧ではないかと思われます。  そこで今日は、この二つについて考えてみようと思います。  ちなみに私の住んでいる某××市にはいくつかの区が有り、その下に町内があり、  さらにその下がたくさんの隣組に分かれています。  役員は持ち回りで、嫌でもやらなくてはいけません。  積極的に、とまではいいませんけど、ある程度はやらないと仕方ないようなとこ  ろがあります。  団地とかアパートとかに住んでいる人は、仮住居という気があるのでわりといい  加減ですが、家を建ててそこに永住するとか、代々そこに住んでいる場合だとあ  まりいい加減なことは出来ないんですよね。  かくいう私もその口でして、実家にいた頃にはそういった苦労は何もなくて、隣  組などとはまったく無縁でした。  それが、結婚して家を出て一家を構えると、関係無いなどとは言ってられなくな  るんですよ。  家を建てて引っ越したその年に、いきなり町内会長という大役を押し付けられ、  ビビりまくったものですが、皆それぞれに事情があって、「お宅しかやり手がい  ない」などと言われるともう逃げられません。  「ここでやっておけばもう一生やらなくてもいいから」などと巧いこと乗せられ  て、結局はやらざるを得ない状況になってしまったのでした。  田舎の町内といえども、近くに団地があるので軒数は思ったよりも多く、なんと  150軒。これには参いりました。  引っ越してきたばかりで、この150軒をすべて把握するのは無理だぞ……と唸っ  たのですが、そこはそれ、虎の巻みたいなのが有るんですよ。  町内の全部の家庭に名簿を提出してもらうんですね。これを見ると皆さんのお宅  の家族構成とか、年令、勤め先などが分かります。  名簿は二部出してもらい、一部は区に提出し、もう一部は町内会長が保管します。  町内会長のところに来れば、住民の状況が分かるわけです。  余談ですが、ある日突然私服の刑事さんがやってきて、「選挙がらみの怪文書に  ついて聞き込みをやってるんですが、何か情報はありませんか?」と聞かれたり、  制服のお巡りさんがやってきて、「巡回の資料に加えたいから」と新しく引っ越  してきた家の住所や氏名と、家族構成などを聞かれたことも有りました。  ちゃんと警察手帳も見せてもらったし、まさかお巡りさんが悪用するとは考えら  れないのでそのまま見せてあげましたけど、あんなのも凄いといえば凄い。  町内会長ならではで、滅多に経験出来る事じゃないですね。  別に私は見たかったわけでは無いですけど、一応義務だし、間違いが有ってはい  けないから、名簿をチェックしました。  するとこれが、ちょっと、覗き趣味みたいで面白いんですよ。  あのお宅の奥さんは若そうに見えるけど、実はもう40過ぎている、とか、あの  ちょっと感じのいい奥さんが実は50近いとか、あのちょいと垢抜けた奥さんは  やっぱりその手のお店に勤めているんだ〜、とか。本来は使い道が違うのかも知  れませんが、このくらいは役目ってことで問題ないでしょう。  寄付金集めの時などには、この150軒をほとんど訪問したのですが、家庭とか  家族構成なんてのも実に様々だな〜と思いました。  どう見ても新婚さんのような若夫婦のところに、妹らしき可愛い娘さんが同居し  ていたりすると、さてこの娘さんは夫婦のどちらの妹なんだろ? などと気になっ  て、さっそく家族の名簿をあたるわけです。  妹だけ姓が違ってたから、たぶん奥さんの妹なんだろうけど、危なくないですか  ね〜? 夫とその可愛らしい妹に間違いがないと言い切れるのか? 町内会長と  しては許せん気がしたものです(ん〜?)。  他人事ながら、あのパターンはちょいとしたハーレムみたいで、男としてはいい  かも知れない。  実際に間違いが起きたら修羅場なんでしょうけど、もし私だったら、生活にスリ  ルが有って楽しいかも知れませんね。  結婚している人なら分かると思いますが、ウチなんかの場合でも、愚妻の親戚の  娘さんなどが我が家に泊まる、などという嬉しい出来事も稀には有るんですよ。  これはね〜、なかなかに来るモノがあります。愚妻にとっては従妹でも、私にとっ  てはまったくの赤の他人なんですから。  「二十歳の親戚の娘さんが我が家のお風呂に入っている」の図などを想像してみ  てください。  この時の私のソワソワした気分ったら、そりゃもう半端じゃない。  ウチの風呂場から、若干二十歳のお姉ちゃんが立てている水音が聞こえてくるん  ですぜ〜。たまりませんよ。  もちろん表面は知らんぷりしてる訳ですけど、私の耳はもう集音マイクと化して、  お風呂の水音にイッちゃってるわけです。  今どの辺を洗ってるんだろう? とか、あんなとこを泡だらけにしてあんなふう  に洗ってるんだろうか? とか……。  で、自分もまだ風呂に入ってなかったりすると、次に俺が入ってもいいのかな?  などと妄想は果てしなく膨らむわけで、いや〜もう大変ですよ。  おっと、話がズレましたね。  ということで、さまざまなご家庭に様々な奥さんがいて、これらを見て回ったお  かげでなかなか楽しませてもらいました。  皆とはいいませんが、中には見るからに「人妻」といった風情の奥さんなんかも  居るのですよ。  色白ですらりとしたK川さんの奥さんとか、歳の割りには若く見えるN山さんの  奥さんとか、ちょっと小柄だけどむっちりした身体が魅力的なF田さんの奥さん  とか……数え上げれば切りが有りません。  よその奥さんを呼ぶとき、普通は「人妻」とは呼ばないでしょうが、この響きは  独特でいいですよね〜。「人妻」いいな〜。何とも言えません。  「奥様」というのはどうでしょう? 私としましては、「奥様」というのにもけっ  こうクラクラしますね。  「若奥様」とか、よくあるじゃないですか。人妻ほどではないにろ、ちょっと意  味ありげで悪くない。  一番平凡なのが「奥さん」でしょうか。  この「人妻」と「奥さん」と「奥様」の違いについてちょっと考えてみましょう。  魅力的な人妻さんも出てくるけれど、世の中そんなに甘くないというか、もの凄  い代物が出てくる事もあるんですね。  お相撲さんみたいな奥さんとか、凄っげえ厚化粧に金歯をギラギラ光らせてる奥  さんとか、全身が筋の束みたいで、鶏ガラみたいにパサパサとした水気のない奥  さんとか……。  あれらは、とてもじゃないけど「人妻」とか「奥様」とかは呼べません。出来れ  ば「奥さん」とも呼びたくないくらいです。  勝手に呼ばせてもらえるならば、やはり「トド」とか「ガラ」でしょうか。  ちょっと想像してみてください。  貴方が役員だったとして、ご家庭を回っていたらいきなりソレが出てきました。  どうです? 恐ろしいでしょう。チャイムを押して、玄関あけたら、そこにトド  が立っているんですよ……。  「これは……なに?」、と思ってしまうは必定。  本当に物凄い、冗談抜きに「もしかしてトド?」とか思うようなのが出てくるの  ですから、驚くなという方が無理な相談です。  そんなのに遭遇すると、ついその旦那さんに同情してしまいます。  可哀相というか、なんで「こんなの」と結婚したのだろうかと、我が身に重ね合  わせて情けなくなってしまうんですね。  例えばH川さんの奥さんなんかはいつも、最近流行っている(?)スパッツとか  いう身体のラインがくっきりと出るパンツみたいなのを穿いてたりするのですが、  その姿がなんというか……人間離れしてるんですよ。  ウエストなんかなくて、肉の塊みたいな体型はほとんどトドなんですね。  それが、本人には自覚がないのか、勘違いして似合っていると思っているのか、  ぴっちりしたスパッツを穿いてるものだから、どうにもなりません。  悲惨を通り越し、ただもう「見たくない」の世界であります。  ケツの辺りなんか布地が弾けそうで、ブクブクのボンレスハム状態で、でっかい  パンツのラインがくっきりと浮かび上がってるわけです。  それを嫌でも見せられるこっちの身にもなって貰いたい。  見たくなければ見なけりゃいいと思うかも知れませんが、そこはそれ、男の習性  か、嫌でも視線が行ってしまうという悲しい性はどうにもなりません……。  あまりきついことは言いたくないですが、もう少しその贅肉を取れ!  他人の私はまだいいけど、旦那はどうしてるんだろう? あのトドを見ながら毎  日暮らしていて、なんともないのだろうか? 信じられません。  もっと信じられないのは、夜の生活ですけど、アレの旦那さんは、あのトドとえっ  ちをいたしているのでしょうか? マジで? 出来るのか?! アレと?  おそらく年に何回か、ひょっとしたら何年に一度とかのレベルでしょうが、稀に  は有るであろうその恐るべき夜の情景を思い浮かべるとき、私としては、背中に  冷たいものを感じるのをどうにも出来ないぞ〜。  思わず心の中で、旦那に問い掛けてしまいます。  「あんた、やるのか? あのトドと出来るのか? 本当に出来るのか?」と。  「どう見てもアレはトドじゃないか! あんなのとどうやってやるんだ? 立つ  のか? あのトドが相手であんたは立つのか?」と。  「前からやるのか? 腹の肉が邪魔にならないか? まさか後から? ケツの肉  が邪魔にならないか? ひょっとして上に乗せる? 潰されないか?」……と。  それ以前に、なぜあんなのとやらなければいけないんだ? と同情してしまいま  すが、慣れてさえしまえば割と平気で出来るのかどうか……なんにせよ恐ろしい  事でございます。  これについて、ちょっと面白い話が有るので書いてみましょう。  とある隣組の寄り合いですが、各家庭から奥さんか旦那さんが一人ずつ出る事に  なっていて、いつも男女が半々くらい集まります。  で、旦那連中と奥さん連中が寄り集まって酒飲んで騒いでると思ってください。  一番若いのが私で、あとは皆さんオジさんやオバさんばかりです。  連れ合いを亡くしている人も何人か居りまして、お酒が入るたびに話題が下の方  に下りて行きます。  「どこそこのふ〜ぞくはいい姉ちゃんばかり揃えている」とか、「どこそこのソー  プに行ったら物凄いサービスをしてくれた」とか、旦那連中が鼻の下を伸ばして  自慢げに言うわけです。  中には外国に買いに行ったオジさんなんてのもいまして、酒の席では、この手の  話題が何よりも盛り上がりますね。  若い奥さんなどがいたら恥ずかしがるのでしょうが、迎え撃つのがいい歳こいた  奥さん連中だから負けてません。  「男の人って本当にバカだよね〜」とやり返す訳です。  「そりゃあ若い女の人はいいかもしれないけど、高い金はらってさ〜」  「そうそう、そんなとこで何万も出してまで遊びたいもんかね〜?」  「千円や二千円じゃないでしょう? もったいない」となるわけです。  「ほんとほんと、いくら掛かるか知らないけど、そんなとこで何万も出すくらい  なら、私がいくらでもやってやるのにさ〜」と……。  「そうそう、二万も三万も勿体ない。そのお金を私にくれたら、なんだってやっ  てやるのにね〜」って、おいおいオバさん、本気か〜?  うら若い魅力的な人妻さんならともかく、どう見てもトドとしか思えないような  オバさん連中の会話だからやんなっちゃいます。  私もよくは知らないのですが、最近のふ〜ぞくの相場は、いわゆる本番有りで3  万くらい、高級店だと5万以上。本番なしのヘルスなどだと1〜2万くらいなの  だそうですね。  たとえばですよ、「2万なり3万なりをこのトドに払って色んなサービスをして  もらう」という状況を想像すると、これはもう居たたまりませんぜ。  あんな事とかこんな事をこのトドにされると思うと、生きた心地がしないという  か、とてもじゃないけど苦行としか思えない。  その上に金まで払わされるなんて、冗談じゃないぞまったく〜。  その前に、実際問題として、このトド相手にはたして私なら立つだろうかと、思  うじゃないですか。  で、連中のY談を聞きながら、思わず、目の前で酒をかっ食らいながら大口開け  て笑ってるトドにポコチン擦られたり銜えられたりしている自分を想像してしまっ  たのですが、金払うどころか、札束積まれてもダメかもしれない。  何が悲しくてこの金歯光らせたトドに、大事なポコチンを弄らせなくてはならな  いのだろうかと、やりきれない気分になってしまいました。  男達がふ〜ぞくなどで高い金出すのは、それなりに若くて魅力のあるお姉ちゃん  にあんな事とかこんな事をして貰えるからなんだな、やっぱり。  家にゴロゴロしているトドではダメなんだ、きっと。  トドが相手でも慣れれば出来ないことはないのかもしれないけど、少なくも、金  払ってまでそんなこと出来るか〜!  根本的に、あのトド達は勘違いしてるぞ。  そう思いながら眺めていると、連中がもう完全なトドの群れに見えてきました。  酒飲みながら、トドの群れが下ネタに興じているのです。  そうしている間にもY談はさらにエスカレートして、某未亡人がとんでもない事  を言い出したんですよ。  「わたしゃ一度もモーテルっちゅうとこに行ったことがないんだけど、一度でい  いから行ってみたいもんだわ」とかなんとか。  未亡人といえば聞こえはいいのですが、歯茎を剥出しにして金歯を光らせた60  近いオバさんが言うのだからげんなりしてしまいます。  オっさん連中の一人が私に水を向けて、「カメ山さん、若いところで連れてって  やったらどうだい?」などと言い出したんですけど、勘弁してくれ〜……。  この60近い、金歯を光らせた未亡人を、何が悲しくて私がモーテルに連れて行っ  てあげないといかんの? 行けばやっぱり、えっちとかもしてあげないといけな  いわけでしょ?  自分の母親に近いようなオバさんとやれるかどうか、自信無いぞ……などと考え  込んでいたら、話題はさっさと次に移ってました。あ〜、頭痛えや。  ともあれ、まあ私としても、そんなに偉そうなことは言えないにしろ、田舎の町  内会には本当に、なんでこんなのと……、と、亭主に同情してしまうようなのが  ゴロゴロしてるんですよね。  もう、こうなったら遠慮なく言うぞ! 金歯光らせて、髪の毛ボサボサで、ブク  ブクのボンレスハム状態のスパッツから下着をはみ出させて平気でその辺を歩い  てるトド達よ、お前ら表を歩くな!  その見苦しい腹の肉を何とかするまで人前に出るな〜! ったく……。  とはいえ、たとえ太っている奥さんでも、トドとはちょっと違うというか、感じ  のいい「奥さん」という雰囲気の人もいる事はいますね。  どこが違うのかな?  これはたぶん、「母親のイメージが先に出るようなタイプ」だと思われます。  そういうタイプはそれでいいでしょう。  そんなお母さんの夜の姿はあまり想像できないし、考えたくもないものです。  これからもずっと、ご近所の、いいお母さんでいてください。  意外とあんなのが豹変して、夜になると物凄いのかもしれませんが、まあいいか。  トドは出来るだけ見ないことにして、観賞するとしたらやはり、見るからにそそ  られる「人妻」と言ったタイプがいいですね。  これだけ軒数があると、美形もいれば、ナイスバディもいれば、娘さんかと思う  くらいにロリロリした奥さんもいます。げせわな話、ふ〜ぞくで充分に稼げるん  じゃないか? と思うくらいのいかした人妻さんもいるわけです。  これらの魅力的な奥さんは、その夜の様子を容易に想像できるというか、想像し  ただけで涎が出てきます。  金もらっても遠慮したいトド達と違って、5万くらいなら出してもいいな〜とか、  中には、それこそ何でもしてくれるというのなら、本当になんでもしてくれるな  ら、10万くらいなら工面しないでもないぞ、と思わせるような色っぽい奥様も  何人かはいるんですよね。  あれらの亭主は、あの奥様を相手に毎晩あんな事とかこんな事とかをしたりされ  たりしているのだろうか? と、妄想を逞しくしてしまうんだけど、まあそれは  ないんでしょうね。  いくら美形が相手でも、やはり飽きるだろうし、男の体力って限りがあるから。  しかし、トドと奥様の違いを考えてみるに、この差は限り無く大きいとは思うの  ですよ。取りあえずは一生付いて回る訳ですから。  テレビのベッドシーンなんかを見ててムラムラっときて、たまにはイッパツやろ  うか、とか思ったときに、美形とかナイスバディの奥さんがそこにいたらすぐに  出来るじゃないですか。  だけど、ムラムラっと来たとき、目の前にトドがゴロリとケツ向けて寝ていたと  したらどうでしょう? まあいいや、と諦めて寝てしまうのではないでしょうか?  美形とかナイスバディの奥様相手だとムラムラを持続できるけど、トドが相手で  は難しいんじゃないかな〜?  この幸不幸の割合はどのくらいかというと、私のみたところでは、これなら充分  にイケるぞ、と思うような魅力のある「人妻」さんは1割くらいかな。  で、標準的というか普通というか、金出すのはやだけど只ならやってみてもいい  かな、と思うくらいの奥さんが3〜4割。  残りはトドとガラの群れ、と言ったところでしょうかね〜。  多少見苦しくても、まだ若ければイケるかもしれせんが、オバさんになってしま  うと苦し過ぎるかもしれません。  しかし、このランクは何度も見ているうちに変わってはきます。  トドも見慣れるとあまり違和感がなくなるのか、免疫が出来るのか、中の下くら  いの奥さんに見えてくることがあるんですよ。  表情などに、ふっと、生々しい魅力を感じる事が有るんです。  意外にこんなのが、爛れた関係になったりすると面白い一面を見せてくれるかも  しれないなとか、一見ただのトドっぽいけど、その実は情が深いのかもしれない  なとか、見かけはガラでも腰の動きは凄いかもしれないな、とか……。  そして、普通の「奥さん」が見慣れてくると、結構イケそうな「人妻」さんに見  えてきたりするから不思議と言えば不思議です。  このあたりが、「美人は三日見れば飽きるけど、ブスは三日見ると慣れる」と言  われる所以でしょうか。  ただし、「美人は三日見ると飽きるけど、ブスは三日見てると絞め殺したくなる」  という説もあるから、何とも言えませんかね〜。  さて、次にPTAなどの話をしてみましょうか。  保育園の父母会などでは、なかなかに見るものがあります。  まだ子供が小さいので、そのお母さんも充分に若いのですね。  中にはそれこそ、二十歳そこそこの若い母親も居たりします。  小学校とか中学校とかのお母さん連中と並べてみると、この差がよく分かります。  保育園で20代だった奥さん達なら、小学校で20代後半から30代、中学では  30代の後半から40代になります。  単純に年代だけでも、保育園の父母会と中学のPTAでは、もうまるきり違うの  が分かりますよね。  中学などは、へたすると、せっかく出掛けても見るものは何もなく、トド達の腹  の出具合を見比べて帰ってくる、という状況も有り得るのです。  見るのならやはり、保育園の父母会でしょう。  視覚的に言うと、かなり嬉しいモノが有ります。  まず第一に、保母さんがいますね。これはいいぞ〜。  この道ウン十年のベテランもいるのですが、若い娘さんも結構います。  ただ、残念なことに、担任については私はあまりいい思いをしていません。  娘二人を保育園から始まって、中学まで通わせていますが、その中で当たりはたっ  たの一人。  後はスカばかり(私にとって、ですが)でありました。  もう何年も前になりますが、初めて上の娘を保育園に出すときのトキメキは、そ  れはもう大変なものでした。  なんたって、保母さんとお近付きになれるのですからね〜。  ところが、ウチの娘の担任になる保母さんを一目見て、その希望はガラガラと崩  れ去ったのであります。  その方は、この道ウン十年の大ベテランでいらっしゃって、当然お歳の方も大ベ  テラン。そろそろ園長先生になるのではないかという話も有ったくらいでした。  これには泣けました。  隣のクラスを見てみれば、まだガッコウを出たばかりのピチピチギャル! こん  なのはっきり言って、差別じゃないですかね〜?  保育参観一つ取ってみても、この差がどれだけ大きいか分かります。  経験者ならお分りになると思いますが、保育園の参観などというものは、10分  も見れば飽きてしまいます。(私には幼女を観賞して喜ぶといった趣味はないの  です)  一旦飽きてしまうと、その後に残る楽しみといったら保母さんの観賞くらいしか  ないんですよ。  ここで、幸不幸がくっきりと浮かび上がってくるわけです。  せっかくだから、ちょっと保母さんのコスチュームに触れてみましょう。  上は園児服(子供が着ているブルーの制服)のデカいやつで、下はタイツが普通  みたいです。  このタイツというのが曲者でして、下半身のラインがモロに出るんですね。  もう、パンツのラインなどはくっきりすっきり、縁取りのレースの模様みたいな  のまで手に取るように分かるわけです。  ですから、ガッコウを出立てのピチピチギャルのパンツのラインを観賞出来る隣  のクラスと、大ベテランのセンセの下着のラインを「見させられる」こちらのク  ラスの境遇の違いときたら、まさに天国と地獄であります。  クラス分けが自分で選べるものなら文句は言わないんですけど、これが他人によっ  て勝手に決められるから面白くないんですよね。  とは言っても、私にも幸福な時期がまったく無かったわけでは有りません。  上の娘が年長さんになったときの1年だけ、実にオイシイ時期がありました。  家庭の事情で保育園を替わったのですが、この時の担任が二十代半ばの色白美人  でして、かのキコさんに似た清楚な雰囲気の方でした。  いま思い出しても、あん時は良かったな〜。  もう、パンツのラインは言うに及ばず、その奥に有るであろう××××とか、オ  ケツの*の辺りなんて、それこそ気合いを入れて透視してやろうと、穴が開きそ  うなほどの眼力で睨み倒してたもんです。  しかし、あの1年間で運を使い果したのか、その後はメロメロでした。  上の娘が小学校に上がり、どんな担任かと胸をときめかしたのに、大々ベテラン  の男の先生で、そろそろ教頭にとかいう話も出ていた立派な教育者でした。  子供のためには良かったのですが、私にとってはまあ……。  その時の隣のクラスの担任が、これまたガッコウを出たばかりの若い女の先生。  この時すでに、保育園からの不運の影を引きずっている私の行く手には、黒雲が  垂れ篭めていたと言えるのでしょうね〜。  大したことないと思う人もいるかも知れませんが、それこそ雲泥の差で、何年に  も渡って、参観日、懇談会、家庭訪問などの全てに付いて回るわけです。  何がって? まあちょっと想像してみてください。  参観日に行くじゃないですか。するとこちらのクラスでは、だいぶ薄くなった頭  を気にしながら、大ベテランの男の先生が、いかめしい顔を無理して崩し、歪な  作り笑いで似合わない愛敬を振りまいているわけです。  背筋がこそばゆくなるような思いで、ふと隣のクラスを見ると、まだ二十代前半  の新任の女先生が「初々しく照れながらも懸命に愛敬を振りまく」、の図が垣間  見られるわけです。本当に、羨ましかったものですよ。あ〜……。  その後も不幸は相次ぎまして、下の娘の担任の保母さんがこれまた(あ〜ぁ)大  ベテラン。  その時の隣のクラスがやはり、なりたてのピチピチ保母さんでした。  忘れもしない父親参観日、廊下で待っていると、こちらのクラスは大ベテランの  保母さんに「お父さんたち、みんな入ってもいいっすよ〜」と太い声で呼ばれる  のに対し、隣のクラスは初々しいギャルみたいな保母さんがちょいとはにかみな  がら「お父様方〜、どうぞお入りになってください〜」とかなんとか消え入りそ  うな声で呼んでる訳ですよ。  この差は絶大に大きいですぜょ〜!  「いいな〜あいつら、あっちに行っちゃおうかな」と思ったのは私だけではない  はずです(きっぱり!)。  私なんかもう、ついふらふらとそっちに入り掛けた程ですが、ウチの娘がこっち  の教室にいるので。やっとの事で思い止まりました。  上の娘の担任がその翌年替わったのですが、今度来たのは私よりいくつか上の男  の先生。  これで最後の望みは、いよいよ下の娘の小学校入学に絞られました。  私は入学式には出ませんでしたけど、愚妻から「二つあるクラスの担任はどちら  も女の先生だ」と聞かされて、そわそわしたものです。  入学式の写真が出来てきて、見てみたら、女の先生が二人並んで写っていました。  そのうちのお一人は、写真で見てもはっとするほどの、五十嵐淳子さんを彷彿と  させる綺麗な先生であられました。しかし、もうお一人は……まあ、かなり体格  がよく、お歳もめしてらして、人生色々〜ってとこですか。  で、ドキドキしながら娘に訊ねたわけです。「どっちが担任なの?」と。  すると娘はためらわずに「こっちだよ」と、お歳をめした方の先生を指差したん  だよ〜。  あ〜ぁ。つまらん。  その後実際に、嫌でも担任の先生の実物を見ることになるのですが、実際に見て  みると写真よりはるかにトドに近い方でいらっしゃり、悲しみはさらに募ったも  のでした。  こうなるともう、楽しみも何も有ったもんではありません。  しかしまあ、そこはそれ、捨てる神ありゃ拾う神もある、と。  まだ同級生のお母様方が残っていました。  私の考察によりますと、クラスごとのお母様方の美人度はまずまずのバラツキだ  と思われます。特に美形ぞろいのクラスとか、不美形揃いのクラスとかはありま  せん。  大体どのクラスでも「をを、旦那が羨ましい!」と思うような「人妻」さんが2〜  3人くらいはいらっしゃいます。  これと反対に、旦那が可哀相……とつい同情してしまうようなのがやはり数人。  残りはまあ、どうでもいいや、居たければ居れば〜、ってとこですか。  美形のお母様を見るのは実にいいですよ。目の保養になるというか、たまりませ  んね。本気で愚妻とトレードしてはもらえまいかと、思ってしまいます。  なんならいくらか上乗せしてもいいからぜひトレードを、とか、それが無理なら、  高級店の相場の金額を出すから一回お願い出来ないものだろうか……とか、妄想  が限りなく広がっていってしまう自分がいとおしい?  こういった美形のお母様は、おそらくは自分が美しいというのをよ〜く分かって  いるらしくて、いい格好をしてるんですよね。  結構短いスカートを穿いてその脚線美を惜し気もなく披露していたり、ぴっちり  としたニットのセーターで乳の膨らみを強調していたりする。  授業参観というのが主目的とすれば、これは明らかに邪道でしょうが、あの手の  奥様はその辺をどう思っているんだろう? 魅力を強調するような格好をしてい  るという事は、やはり見てほしいんだろうかな〜? だとすれば、見てやるのが  礼儀だろうから、失礼にならないようにしっかりと見て上げるしかないですね。  で、あの手の奥様は家でもあんなふうなのでしょうか? とすると、旦那さんは  たまらんでしょうな〜。  「週に何回ですか?」とか聞いてみたくなります。  これと反対に、どうしようもないようなお母さんはもう、あ〜見たくない!  身の程を分かっていて、それなりの格好をしてくるお母さんはまだいいんですよ。  問題は、何か勘違いしているらしくて、とんでもない格好をしてくるトド達が居  る事です。  前述のボンレスハム状態で来るヤツとか、異様に短いスカートを穿いて、丸太ん  棒みたいな脚を剥出しにしてくるヤツとか。  あんなのはもう、誰かが忠告してやればいいと思うんだけど、どうでしょう?  心の準備が出来ないままにソレを見せられると、参ってしまいます。  そんな太い脚でそんな短いスカートを穿くなよ。毛だらけの大根が野ざらしになっ  てるじゃないか。頼むから勘弁してくれ〜と悲鳴を上げたくなってしまうんです  よね。  しょうがないから、その手のお母さんはなるべく見ないようにしているのですが、  つい見てしまう事もあります。そんな時はもう、口直しに美形のお母様を見なお  してバランスを取るしかないですね。  とと……、行数が残り少なくなってきたので、この辺でまとめてみましょう。  いくら私でも、女性が全て美形でナイスバディでなければいけないなどとは思っ  ていません。ただ、身の程を知らないトドに成り下がってはいけないと思います。  年に何回か、気紛でお父さんがムラムラっとしたときに、まあいいかと諦めて寝  てしまうような奥さんになってはいけませぬ。  そこの奥さん、思い当る節があるなら、ぜひご一考を。  (注:ちょっと危ない部分があるので、この駄文は一応創作という事にさせて頂     きます)

Copyright (C) 1996 by カメ山カメ吉

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